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1捨てられオメガと残りものアルファ
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いつも透に邪魔されて来た環は、Ωなら到底合格しないと言われた難関大学を必死に勉強して実力で合格した努力家だった。
どんなに頑張っても透のレベルでは行けない所が大事なのだ。推薦枠にも入れない所が良かった。寝る間を惜しんで必死に勉強した。弟にばれないように図書室に通う日々それは辛くは無く環にとって明るい未来だったのだ。
これ以上友人を奪われたく無かった。
それにここで出会った人なら、環自身を見てくれると思っていたことも大きい。
Ωとして物珍しく見られても、全然Ωの子がいない訳じゃない。努力の子達の集まりで、Ωの友人にも好感が持てた。透のようなアルファに依存するような子もいない。皆目標に向かって進む志しの高いΩ達だった。
ここに来て良かった。
大学に慣れた頃、研究室で出会ったのが、真面目な秀一だった。
物静かなアルファで落ち着いて見えた。
親しみやすさから、ぽつりぽつりと自分の悩みを打ち明けていく。
散々友人や好きな人、やっと恋人になった人も全部弟に取られて来たことを話た。
弟に会うと、皆弟を好きになるんだ。
「俺は、環がいいよ。写真見せてもらったけど、全然環の方が美人だ。努力してこの大学に入るのもすごい」
写真を見ても、環の方がいいと言ってくれた。それがきっかけで少しづつ二人は付き合うようになっていった。今までの経緯から環は、慎重に愛を育む事にしたのでヒートの際も抑制剤を飲み、絶対に頸を噛まないようにお願いしていた。
結納が終わってから番になって欲しい。だから大学を卒業後、この日を楽しみにしていたのだ。
一人暮らしのマンションで泣いた。家族も弟も大嫌いだ。
特に秀一が悪い訳ではない、分かっていてもなぜ二人が会ったのか悔しさでいっぱいになって胸の苦しさが取れない日々を送っていた。
数ヶ月実家にも帰らず過ごしていたある日、弟が環のマンションまでやって来た。
「環。ごめん秀一と結婚する事になったんだ」
首の包帯が無くなって、頸には噛み痕が目立っていた。
「これじゃ、隠せないでしょ?秀一は有名大学出で生活も安定してるから、母さんが良かったねってお祝いも言ってくれたよ。秀一の両親も、勉強出来すぎる環くんより、お似合いかもってオッケー出たんだ」
わなわなと震える身体を見て、透が笑った。
「環には、もっと素敵なアルファが現れるよ。だから、結婚式来てね。二次会も、秀一さんの知り合いのアルファがいっぱい来るから……もしかしたら運命の人が現れるかも」
にやにやとしながら手渡された招待状に絶望してる環にさらに追い討ちをかける一言を透は言った。
「出席しないと、皆変に思うから絶対でてよね。家族に祝ってもらえないなんて、悲しすぎるよね?」
足取り軽く、帰っていく後ろ姿にただただ悔しくて涙するしか無かったのだ。
どんなに頑張っても透のレベルでは行けない所が大事なのだ。推薦枠にも入れない所が良かった。寝る間を惜しんで必死に勉強した。弟にばれないように図書室に通う日々それは辛くは無く環にとって明るい未来だったのだ。
これ以上友人を奪われたく無かった。
それにここで出会った人なら、環自身を見てくれると思っていたことも大きい。
Ωとして物珍しく見られても、全然Ωの子がいない訳じゃない。努力の子達の集まりで、Ωの友人にも好感が持てた。透のようなアルファに依存するような子もいない。皆目標に向かって進む志しの高いΩ達だった。
ここに来て良かった。
大学に慣れた頃、研究室で出会ったのが、真面目な秀一だった。
物静かなアルファで落ち着いて見えた。
親しみやすさから、ぽつりぽつりと自分の悩みを打ち明けていく。
散々友人や好きな人、やっと恋人になった人も全部弟に取られて来たことを話た。
弟に会うと、皆弟を好きになるんだ。
「俺は、環がいいよ。写真見せてもらったけど、全然環の方が美人だ。努力してこの大学に入るのもすごい」
写真を見ても、環の方がいいと言ってくれた。それがきっかけで少しづつ二人は付き合うようになっていった。今までの経緯から環は、慎重に愛を育む事にしたのでヒートの際も抑制剤を飲み、絶対に頸を噛まないようにお願いしていた。
結納が終わってから番になって欲しい。だから大学を卒業後、この日を楽しみにしていたのだ。
一人暮らしのマンションで泣いた。家族も弟も大嫌いだ。
特に秀一が悪い訳ではない、分かっていてもなぜ二人が会ったのか悔しさでいっぱいになって胸の苦しさが取れない日々を送っていた。
数ヶ月実家にも帰らず過ごしていたある日、弟が環のマンションまでやって来た。
「環。ごめん秀一と結婚する事になったんだ」
首の包帯が無くなって、頸には噛み痕が目立っていた。
「これじゃ、隠せないでしょ?秀一は有名大学出で生活も安定してるから、母さんが良かったねってお祝いも言ってくれたよ。秀一の両親も、勉強出来すぎる環くんより、お似合いかもってオッケー出たんだ」
わなわなと震える身体を見て、透が笑った。
「環には、もっと素敵なアルファが現れるよ。だから、結婚式来てね。二次会も、秀一さんの知り合いのアルファがいっぱい来るから……もしかしたら運命の人が現れるかも」
にやにやとしながら手渡された招待状に絶望してる環にさらに追い討ちをかける一言を透は言った。
「出席しないと、皆変に思うから絶対でてよね。家族に祝ってもらえないなんて、悲しすぎるよね?」
足取り軽く、帰っていく後ろ姿にただただ悔しくて涙するしか無かったのだ。
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