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49.浄化同行②

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 ジェイドとの魔力循環は、溶けてしまいそうになる。口付けられている間に、何かの魔法をかけられているはずだ。

 俺ばっかり、大切に扱われている。歳上なんだから、甘えて欲しいのに。どの位時間が経ったのか分からない。でも少しづつ魔法が解けてきたみたいで、ゆっくりと覚醒して行くのが分かった。

「琥珀!魔物を検知した。ごめん、起きて」

 突然緊迫した声で、微睡みが一瞬で消え去る。

 何だ、この感じ?肌に何か嫌な空気がまとわりつくようだった。
 やっぱり探索サーチの能力が低いんだ。

「俺も、ごめん。なんか肌に感じてたのに伝えられなかった」

 野営の場所にほど近いらしく、馬車を停めても問題ない。馬に乗ったまま対応する者と剣や指揮棒ワンド細長杖ロッドを持って聖女やエドワード殿下を護る者に別れる。

 何かが近付いてくる。自分も探りを入れるが、数は五頭位か? 魔獣のように感じるが、ぼんやりとしか分からない。本当にチートが欲しい。
 (だって、誰も怪我して欲しくない)

「ジェイド……四~五頭はいるよね?何か分かる?」
「俺が分かる範囲で五頭。双頭黒犬オルトロスっぽい。この魔物なら、魔法騎士で対応出来るはずだ」

「怪我した場合の治癒とかに備えたらいい?  浄化ポイントはまだ先だよね?」

「ああ、明日に行く予定だったから。でも、ここで魔物が出てくるなら、先は不味いかも」

 緊張するが、皆が倒せるレベルの魔物みたいだ。野営の場所付近でさえ安全ではないのだ。

 聖女の姿が見える。馬車から出て来た。皆緊張しているのに、何故か微笑んでいるようにも見える。

 もしかして、浄化以外に魔物をする力に目覚めてたりするのかな? 本当に聖女にチートが出てくれたらいい。早くこの状態を正常化したい。

「それ、邪魔だから早く始末してね。私は浄化に来たんだから」

 (なんだよそれ)

 魔法師長が聖女を護りに入った。カークと他の魔法師が前の方に出て、魔法を放つ。五頭とも消滅すると、魔石が転がった。

 (皆強い。これなら……)
 でも、何か嫌な感じが消えないのはなぜだろう?

 どこから?──何かが近付いてくる感じがする。
 ざわり、ざわりと胸騒ぎがする。

「──ジェイド」
「琥珀?」

「何か──来る」
「琥珀、顔色が悪い。一体何が」

「地下だ。地下から来るっ」
「魔法師長!!  カーク!! 下から何か来る。聖女様と殿下を護れ!! 魔法騎士は、剣を抜いておけ!」

 警戒態勢に入った。馬から降りようとしたのにジェイドの腕によって捕まってしまう。

「駄目だ。囮になったら許さない」
「でも!」

 土が盛り上がりながら移動してきた。
食獣植物カーニヴォラスだ!」

 馬が暴れ、騎乗していた騎士が振り落とされた。カークが彼だけを浮かせると同時に土の中から、つたが伸びて来て馬だけを絡めとった。本体が大きな口を開けて馬を飲み込んだ。

 咀嚼する音が響く。
「な、何よこれっ。早く倒しなさいよ!!」

 真っ青な聖女の顔、魔法師長達が攻撃を開始したが、奴はまた潜ってしまった。






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