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28.自覚 sideエドワード
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大切な友人であるジェイド。無理矢理王国の為に戻したのだ。彼の想いを叶えたいと思うのに……神使様はなんて美しいのだろう。魔力の清廉さと魔法の色の美しさは、聖女の比にならないのだ。
琥珀様に出会った時から、感じていた想いの理由を自覚したのだ。俺が選ばれたいのだ。
琥珀様がジェイドに向ける表情を思い出す。そして、ジェイドの琥珀様を見つめる熱い視線から、間違いなくあの時の相手は琥珀様だと直感した。
「ミカエル、ジェイドは琥珀様と異世界で会っているんだよな?」
「多分としか。記憶が欠けているので、今は想像しか出来ません。いつも冷静なジェイド様が、人目もはばからず抱きしめるのですから、特別なの存在であるのは間違いないと思います」
「特別な二人か……」
「嫉妬しますか?」
「──そんな訳ないだろう。本物の神使様が、この世界に召喚出来たんだ。成功した事に感謝するだけだ」
琥珀様が選ぶのは、ジェイドだろう。それに嫉妬しても仕方がない。琥珀様を見つけたのは彼なのだから。
「聖女様は厄介だが、チートを発揮するかも知れない。最初に選ばれたのだから、少しは期待している。ただしチートもなかった時はかなり不味い。神殿が聖女様が来たと早々に公表してしまったからな……」
「本当に、使えない上司です」
「ジェイドも、琥珀様の傍にいれば回復する可能性がある。琥珀様の力は今でも圧倒的だから、ここから離れられるのは不味い。手放すなんて出来ない。他国に連れて行かれでもしたら、取り返しがつかない」
「まあ。ご本人も目立ちたくないようです。ならサポートとして居てもらう方が、どちらにも都合が良いですね」
「そうだな」
「──とにかく、今後のことですね。もう召喚の儀式は、我々の代で行うのは厳しいです。後戻りは出来ません。聖女様の力が目覚めなければ、琥珀様の力を借りるしかないんです。ジェイド様を利用してでも」
「本当に王国の事を優先してくれる。お前は流石だよ」
「友人も大切ですが、王国が無くなってしまったら……それこそ彼等を不幸せにしてしまいますからね」
「確かにミカエルの言う通りだ」
「さて、最難関ですね。エドワード殿下」
聖女の力は、浄化だけではなく生命力を与える力だ。これを我々は祝福と呼んでいる。この世界の女性の出生率がいつの頃から減少したのだ。
聖女の力により、男性体にも子を宿す身体の者が現れるように変化して行った。
確実ではないが、親が祝福持ちだと子供にも継承されやすい。
度々聖女を呼ぶのは子孫を残すための魔力……祝福を貰う事もふくまれていた。
ギフトの影響を受けた男性体には、印が出来る。子供を望まなければ、ギフト持ちでなくても構わない。
つまり今の時代は、男性体を好む者が増えているのだ。
我々も男性体を好むため……聖女の伴侶に選ばれる事を躊躇うのだ。
「聖女様には、帰路を見つけて差し上げたい。琥珀様なら、出来るかも知れないが。自分は残って、聖女だけ帰すのは……嫌かもしれないしな」
「現時点で帰す方法は、ゼロに近いのですよ?──最悪、誰かそばに付けたとしても、子を成す行為をしなければ良いのですよ。まあ、抱けないって言うのが本音ですけどね」
聖女が求める相手は、誰だろうか?
「ミカエル。聖女様は、ジェイドを好んでいるように見えるか?」
「あれは、意地のような……執着心のように見えますね」
「そうか……」
「エドワード様も、後悔しないように」
たどり着いた先のドアを、ミカエルがノックした。
「陛下にお取次ぎを」
琥珀様には、神使としてずっといてもらいたい。
せめて、この国にいてくれさえすれば。会うことができる。そう願ってしまうのを許して欲しい。
琥珀様に出会った時から、感じていた想いの理由を自覚したのだ。俺が選ばれたいのだ。
琥珀様がジェイドに向ける表情を思い出す。そして、ジェイドの琥珀様を見つめる熱い視線から、間違いなくあの時の相手は琥珀様だと直感した。
「ミカエル、ジェイドは琥珀様と異世界で会っているんだよな?」
「多分としか。記憶が欠けているので、今は想像しか出来ません。いつも冷静なジェイド様が、人目もはばからず抱きしめるのですから、特別なの存在であるのは間違いないと思います」
「特別な二人か……」
「嫉妬しますか?」
「──そんな訳ないだろう。本物の神使様が、この世界に召喚出来たんだ。成功した事に感謝するだけだ」
琥珀様が選ぶのは、ジェイドだろう。それに嫉妬しても仕方がない。琥珀様を見つけたのは彼なのだから。
「聖女様は厄介だが、チートを発揮するかも知れない。最初に選ばれたのだから、少しは期待している。ただしチートもなかった時はかなり不味い。神殿が聖女様が来たと早々に公表してしまったからな……」
「本当に、使えない上司です」
「ジェイドも、琥珀様の傍にいれば回復する可能性がある。琥珀様の力は今でも圧倒的だから、ここから離れられるのは不味い。手放すなんて出来ない。他国に連れて行かれでもしたら、取り返しがつかない」
「まあ。ご本人も目立ちたくないようです。ならサポートとして居てもらう方が、どちらにも都合が良いですね」
「そうだな」
「──とにかく、今後のことですね。もう召喚の儀式は、我々の代で行うのは厳しいです。後戻りは出来ません。聖女様の力が目覚めなければ、琥珀様の力を借りるしかないんです。ジェイド様を利用してでも」
「本当に王国の事を優先してくれる。お前は流石だよ」
「友人も大切ですが、王国が無くなってしまったら……それこそ彼等を不幸せにしてしまいますからね」
「確かにミカエルの言う通りだ」
「さて、最難関ですね。エドワード殿下」
聖女の力は、浄化だけではなく生命力を与える力だ。これを我々は祝福と呼んでいる。この世界の女性の出生率がいつの頃から減少したのだ。
聖女の力により、男性体にも子を宿す身体の者が現れるように変化して行った。
確実ではないが、親が祝福持ちだと子供にも継承されやすい。
度々聖女を呼ぶのは子孫を残すための魔力……祝福を貰う事もふくまれていた。
ギフトの影響を受けた男性体には、印が出来る。子供を望まなければ、ギフト持ちでなくても構わない。
つまり今の時代は、男性体を好む者が増えているのだ。
我々も男性体を好むため……聖女の伴侶に選ばれる事を躊躇うのだ。
「聖女様には、帰路を見つけて差し上げたい。琥珀様なら、出来るかも知れないが。自分は残って、聖女だけ帰すのは……嫌かもしれないしな」
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