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第4章☆前世の2人編
11.崩壊の足音③
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side セディ
転移をして、こっそりと町へと向かった。
スィーツが食べたいって、本当に可愛いな。
焼き菓子か?ゼリーか?
畑にない果物も沢山買って帰ろう。
喜ばせたい。甘やかしたい。
やっと、あの場所に連れて行くと言ってくれた。
「俺を信用してくれた?」
ようやく心まで手に入れる事が出来るのだと、この時までは思っていた。
いつもの風景。
変わり映えのしない山道から、町へ近付いていく。
だが、人が少ない。
ここまでくれば、人通りがあってもいいのに。
違和感に気づくのが遅すぎた。
「止まって頂けますか?」
黒いローブは、光沢感があり平民とは思えない。フードの縁取りの銀色の刺繍が、何者かを知らせてくる。
すぐに思い出した。
──王国魔法師。
しかも、5人もいる。
この国の魔法師では、ない。
「──何か?道はあまり詳しくないので、町に入って尋ねたら良いと思いますよ。」
平静を装い、応えた。
攻撃されたら、いつでも反撃する。
逃げ道を考えろ。
「用事は、貴方様にあります。
大きくなられましたね。
セディリオ・ライムエード第1王子殿下。いえ、未来の国王陛下。」
魔法師とは別に現れた男が、変な事を言う。
「何の事でしょう?」
「嘘が下手ですね。セディリオ殿下。貴方を助けたのは、魔女の一族の1人だ。しかも銀色の。
イリアとか言う魔女だと聞いておりますよ。」
なんで、知られているんだ。
お酒を飲んだイリア様と急ぎ帰った日か?
何かに見られているような気がすると言わなかったか?
いつから監視されてた?
今、イリア様は無事なのか?
「誰のことを言っているのか分かりませんが…人違いですよ。
それに、あの国の王子は、行くへ知れずと聞いた事があります。生きているかどうか…」
ライムエード王国でクーデターが起きたと聞いた。
俺も殺しに来たのか?
すでに死んだ者扱いだっただろう?
今更過ぎる。
助けに来なかったじゃないか。
母上は、襲われて死んだのだ。
魔法がある程度自在に使えるようになり情報屋を探したんだ。
会いたい等思わなくなっていたし。ただ、自分の扱いがどうなっているか知りたかっただけだ。
イリア様は、1人で時々森の奥に行ってしまう。
その時が調べるのに都合が良かったんだ。
「王家の唯一の血筋は、貴方です。我が息子が遺した、唯一の希望がセディリオ様です。
王が病に倒れ崩御した後は、散々たるものだったのはご存知でしょう?
側妃も、第2王子派も排除しました。王国再建の為に来ていただきます。」
父上は、母上が全てだった。
俺の捜索は、便宜上続けていたようだが、徐々に側妃の実家である伯爵家が力をつけ始める。
前王…父上は病死のようだが、薬を盛られた可能性がある。
側妃であるファニアは、王妃にはなれなかったようだ。
腹違いの弟のリンドールが、前王崩御によって国王になったのもいいように使う為だろう。
前王妃の実家であるウィンターミスト侯爵家を筆頭に側妃を排除したのなら…
「クーデターを起こした貴方が統治したらいいのでは?俺は、今の生活に満足しているよ。」
「正義の統治者が、必要なんです。それは、正統な血筋である方が民に受け入れられるのです。
殺されたあの子も喜びます。息子である貴方が国王になるのですから。」
「いい加減に…」
魔法師以外に手練れらしい騎士が数名現れる。
「他の者は、森に向かいました。貴方を誑かした魔女の討伐へ。」
「な、」
魔力が溢れ出す。
騎士を吹き飛ばし、転移を試みるが魔法師達の結界に閉じ込められる。
「素晴らしい!!このように魔法を使えるようになっているとは!!あの魔女も役に立つ。」
腹の底から魔力の塊が膨れ上がる。
「イリア様に手を出すな!」
結界内から押し返し、1人、2人と吹き飛ばす。
「なら、ついて来て下さい。
この町の住人を火事の被災者に出来ますよ?銀色の魔女は、特別だと聞いています。王宮に呼び寄せましょう。王妃には出来ませんが、愛人くらいには出来ます。」
「何を言っているんだ?王妃など要らないし、愛人になんてしない!」
「そうですか?
まぁ森に入ったとしても我々では、捕まえられない。試しに森に行かせただけです。
魔女の力は、特別のようだ。」
イリア様の結界なら、大丈夫なはずだ。
それでも万が一がある。
「殿下、抵抗は止めて考えて下さい。
もしも…町の住人に被害が起きたら、銀色の魔女はどうするでしょうか?
それに後は私が、あの魔女が森にいると拡めるだけでいいのです。さらに追手が増えますよ。
我が国だけではない…こちらの国も欲しがるはずだ。
王宮で今後の事を話しましょう?すぐに彼は、追ってくるはずです。
なんせ、とても貴方を慕っているとか。
どうしますか?捕まえて、私の物にしたいくらいです。以前、伯爵家も欲しがったと聞きます。
この町の住人を殺して魔女を捕らえるのと、王宮で話し合いをするのはどちらが建設的でしょうか?」
町の住人が殺される。
そんな事になれば、あの墓標のような所で1人泣くイリア様が…さらに傷つく。
無謀でも、イリア様と合流する手段は、それしかない。この町が焼かれれば、戦争にもなりかねない。
戦争だけは、回避したい。
魔力を抑えた。
「貴方は信用出来ない。イリア様に何かあれば、王国を滅ぼします。」
これは、脅しじゃない。
「息子の幸せは、殿下が立派な王になる事です。我が侯爵家が後ろ立てになり、貴方を王にする。セディリオ殿下さえ王位をついでいただければ、側に置くくらい構いませんよ。さすがに隷属の魔道具を使いたくありませんしね。」
この意味を理解していなかった。
合流出来れば、2人なら────どうにか出来ると思っていたんだ。
転移をして、こっそりと町へと向かった。
スィーツが食べたいって、本当に可愛いな。
焼き菓子か?ゼリーか?
畑にない果物も沢山買って帰ろう。
喜ばせたい。甘やかしたい。
やっと、あの場所に連れて行くと言ってくれた。
「俺を信用してくれた?」
ようやく心まで手に入れる事が出来るのだと、この時までは思っていた。
いつもの風景。
変わり映えのしない山道から、町へ近付いていく。
だが、人が少ない。
ここまでくれば、人通りがあってもいいのに。
違和感に気づくのが遅すぎた。
「止まって頂けますか?」
黒いローブは、光沢感があり平民とは思えない。フードの縁取りの銀色の刺繍が、何者かを知らせてくる。
すぐに思い出した。
──王国魔法師。
しかも、5人もいる。
この国の魔法師では、ない。
「──何か?道はあまり詳しくないので、町に入って尋ねたら良いと思いますよ。」
平静を装い、応えた。
攻撃されたら、いつでも反撃する。
逃げ道を考えろ。
「用事は、貴方様にあります。
大きくなられましたね。
セディリオ・ライムエード第1王子殿下。いえ、未来の国王陛下。」
魔法師とは別に現れた男が、変な事を言う。
「何の事でしょう?」
「嘘が下手ですね。セディリオ殿下。貴方を助けたのは、魔女の一族の1人だ。しかも銀色の。
イリアとか言う魔女だと聞いておりますよ。」
なんで、知られているんだ。
お酒を飲んだイリア様と急ぎ帰った日か?
何かに見られているような気がすると言わなかったか?
いつから監視されてた?
今、イリア様は無事なのか?
「誰のことを言っているのか分かりませんが…人違いですよ。
それに、あの国の王子は、行くへ知れずと聞いた事があります。生きているかどうか…」
ライムエード王国でクーデターが起きたと聞いた。
俺も殺しに来たのか?
すでに死んだ者扱いだっただろう?
今更過ぎる。
助けに来なかったじゃないか。
母上は、襲われて死んだのだ。
魔法がある程度自在に使えるようになり情報屋を探したんだ。
会いたい等思わなくなっていたし。ただ、自分の扱いがどうなっているか知りたかっただけだ。
イリア様は、1人で時々森の奥に行ってしまう。
その時が調べるのに都合が良かったんだ。
「王家の唯一の血筋は、貴方です。我が息子が遺した、唯一の希望がセディリオ様です。
王が病に倒れ崩御した後は、散々たるものだったのはご存知でしょう?
側妃も、第2王子派も排除しました。王国再建の為に来ていただきます。」
父上は、母上が全てだった。
俺の捜索は、便宜上続けていたようだが、徐々に側妃の実家である伯爵家が力をつけ始める。
前王…父上は病死のようだが、薬を盛られた可能性がある。
側妃であるファニアは、王妃にはなれなかったようだ。
腹違いの弟のリンドールが、前王崩御によって国王になったのもいいように使う為だろう。
前王妃の実家であるウィンターミスト侯爵家を筆頭に側妃を排除したのなら…
「クーデターを起こした貴方が統治したらいいのでは?俺は、今の生活に満足しているよ。」
「正義の統治者が、必要なんです。それは、正統な血筋である方が民に受け入れられるのです。
殺されたあの子も喜びます。息子である貴方が国王になるのですから。」
「いい加減に…」
魔法師以外に手練れらしい騎士が数名現れる。
「他の者は、森に向かいました。貴方を誑かした魔女の討伐へ。」
「な、」
魔力が溢れ出す。
騎士を吹き飛ばし、転移を試みるが魔法師達の結界に閉じ込められる。
「素晴らしい!!このように魔法を使えるようになっているとは!!あの魔女も役に立つ。」
腹の底から魔力の塊が膨れ上がる。
「イリア様に手を出すな!」
結界内から押し返し、1人、2人と吹き飛ばす。
「なら、ついて来て下さい。
この町の住人を火事の被災者に出来ますよ?銀色の魔女は、特別だと聞いています。王宮に呼び寄せましょう。王妃には出来ませんが、愛人くらいには出来ます。」
「何を言っているんだ?王妃など要らないし、愛人になんてしない!」
「そうですか?
まぁ森に入ったとしても我々では、捕まえられない。試しに森に行かせただけです。
魔女の力は、特別のようだ。」
イリア様の結界なら、大丈夫なはずだ。
それでも万が一がある。
「殿下、抵抗は止めて考えて下さい。
もしも…町の住人に被害が起きたら、銀色の魔女はどうするでしょうか?
それに後は私が、あの魔女が森にいると拡めるだけでいいのです。さらに追手が増えますよ。
我が国だけではない…こちらの国も欲しがるはずだ。
王宮で今後の事を話しましょう?すぐに彼は、追ってくるはずです。
なんせ、とても貴方を慕っているとか。
どうしますか?捕まえて、私の物にしたいくらいです。以前、伯爵家も欲しがったと聞きます。
この町の住人を殺して魔女を捕らえるのと、王宮で話し合いをするのはどちらが建設的でしょうか?」
町の住人が殺される。
そんな事になれば、あの墓標のような所で1人泣くイリア様が…さらに傷つく。
無謀でも、イリア様と合流する手段は、それしかない。この町が焼かれれば、戦争にもなりかねない。
戦争だけは、回避したい。
魔力を抑えた。
「貴方は信用出来ない。イリア様に何かあれば、王国を滅ぼします。」
これは、脅しじゃない。
「息子の幸せは、殿下が立派な王になる事です。我が侯爵家が後ろ立てになり、貴方を王にする。セディリオ殿下さえ王位をついでいただければ、側に置くくらい構いませんよ。さすがに隷属の魔道具を使いたくありませんしね。」
この意味を理解していなかった。
合流出来れば、2人なら────どうにか出来ると思っていたんだ。
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