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第4章☆前世の2人編

2.準備

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「さてと、さっきの奴にまた絡まれないうちに…さっさと帰ろうかな?」

あー、子供の服が無いな。じっと見つめてしまう。

「なんだよ。なに?」

かと言って、このままお店に入るのは…断られそうだな。

「子供服が無いんだ。シャツとかは、私の昔のお古があるけど…やっぱり最低でもズボンと下着は買わないとね。それに靴とかローブも欲しいよね。」

「要らない。一緒に…居るの数日なんだし。」

「まぁ。そう言ったけど。仕事ちゃんと出来たら、お給金あげるよ。町に戻るとしても、お金あった方がいいでしょう?お金貯まるまで、しばらく住んでいいからね。見た目も大事だよ。そんなボロボロじゃ町でも仕事もらえないと思うよ。また、盗みをする事になっちゃうよ。いいの?」

驚いて目を見開いている。薄汚れていても、強い意志のある綺麗な青い瞳。

この瞳に妙に惹かれる。

「着替えを買うのは決定事項だね。サイズとか記憶したから大丈夫。」

「記憶した?」

「今の君は、門前払いされちゃうから…サイズを覚えたの。
で、ごめんね。絶対に元に戻すから…捻挫してる子とうろうろするのは、目立ち過ぎるんだよね。
いい?私から逃げたら元に戻れない。家に着いたら必ず戻すから、私の肩に乗ってね。」

「肩に乗る?元に戻す?」

「にゃー1回は、ハイ。にゃー2回で嫌とかイイエだよ。名前はなんだっけ?」

「セディだけど。にゃーがハイって何?」

「返事の事だよ。私はイリア。これからよろしくね。」
支えるように肩を貸して、建物の僅かな隙間へと連れて行く。周りには誰もいない。サーチしても、引っかからないな、よし大丈夫。
セディの足元に魔法陣が展開させて魔法を唱えた。


「なっ、待って…」
待てない、ごめんね。
小さな小さな、黒猫ちゃん。
青い瞳はそのままだ。

「セディ、ほら足痛いだろ。肩に乗っててよね。変身魔法だよ。駄目だって、暴れないの。ほら、我慢だよ。私から離れたら元に戻れないよ?分かった?分かった時は、なんて返事するの?」

「にゃーーーーー!!」
あは。尻尾が膨らんで可愛い。

思わず、すりすりしてしまう。
この青い瞳が、可愛いなぁ。
ブルースネークのうるうるな目より、綺麗だな。

何だろう。可愛くてたまらない。

チュッ。

尻尾がピン!と固まる。

「あ、ごめん。猫大好きなんだ。ついキスしちゃった。そうだね、中身セディだ…嫌だったね。」

袖口で口元を拭き取る。

肩に乗せてっと。

「子供服はあっちかな?」
もう一度、買い物へと向かう。




結構、買ってしまった。
楽しいな。人にあげる為の買い物って…初めてだ。

肩に乗せてたけど、疲れたかな?
痛みは、抑えているけど治療した訳じゃないから。

「ごめんね。時間かかっちゃった。」

肩から降ろして前足…いや、両脇の所に手を入れると、ビロ~ンと伸びて。

うわぁぁ。可愛い~。すりすりしたいよぉ。
怒られるかな?駄目だよね?我慢だよね?

荷物もマジックバッグにさっき全部入れたし問題ない。
黒猫セディを抱きしめて、この町を後にしょうと、歩み出す。



「イリア!」

この声…こんな時に厄介な奴が来た。

無視しようかと思ったのに、高身長の脚長男に前を塞がれる。

「何でしょうか?」


「イリア冷たいな。今日は春来祭だろ?なぁ、もっと町に来いよ。本当に1人で山奥にいるとか危ないだろ?祭りを見に来たついでにさ、こっちに住む所探さないか?見つかるまで、家に来いよ。なぁ…俺の家に泊まって酒とか呑もうぜ。」

私を誘わなくても、いっぱい後に可愛い女の子や綺麗な男の子がいるけど?
睨んでるよ。視線が痛すぎる。

「待っている子達と呑んだらどうかな?お酒なんて無理。私は、あの家が良いんだよ。薬師として薬草が豊富な場所は、譲れない。」

「なら、今日だけ付き合えよ。」

─しつこい。ため息が出そう。

「悪いけど。急いで帰らないと…雪も積もりそうで心配だから。猫のケガの世話もするからもう、帰るよ。」

腕の中を猫を強調して見せた。

「猫は、あの子達に預けたらいいよ。の頼みなら喜んで聞くからさ。それよりイリア…」
腕を掴まれた。
なんか触り方が気持ち悪い。

「ちょっと、離して。」

黒猫セディが、そいつの手の甲を引っ掻いた。掴まれてた手が離れた。

「なんだ!コイツ!!」

咄嗟に庇う。

「私の相棒だよ。大切な子なんだ。」

黒猫セディを抱き直して──距離を取る。


「悪いけど、急ぐから。!さよなら!!」

目立ちたく無いけど、ワザとあの人達に聞こえるように声を大きくする。

向きを変え早歩きでこの場を離れて行く。
追いかけて来そうな勢いだったけど、ここぞとばかりに遠巻きにしていた彼らが寄って来た。

良かった、追っかけて来ないで欲しい。

「イリア!」


綺麗な人達にすでに囲まれている。そうそう、その人を捕まえててよね。そっちで楽しくしてたらいいんだよ。
恋愛とか興味ないから。
家族を作っても失うとか、嫌だよ。


特別を作るのは、嫌だな。


でも、この子は、なんかほっとけないんだ。

泥棒とか辞めさせたい。


陽の当たる世界で、生きていって欲しいんだよね。



「今度こそ、帰ろセディ。」

町のはずれへ急ぐ。

──単なる薬師。

ここでは、そう言う事になっている。


魔法が使える事は、内緒にしているんだ。












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