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第1章
19.師匠
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ベッドの上?
「な、なんで?ここは──俺の部屋?」
見慣れた天井、壁紙に家具の配置。
肺炎を起こした時のように、殿下の部屋で殿下が横にいる訳じゃない。
その事にちょっと、ホッとしてしまう。
セドリック殿下に抱きかかえられて?
ソファで?
んんー?
眠くて、眠くて…
「なんか気持ち良くて…げっ───殿下の腕の中で寝たの?」
やってしまった感がすごい。
寝かしつけられたのかな?疲れてたの、すぐバレた?
なんか、役に立ってないよね?仮にも、側近になんだよ?
──良いのかなコレで。
さすさすと、鎖骨の部分を手で摩りながら…セドリック殿下…ちょっと魔法使ったよね?キツく吸われて痛みが走った。なんだかんだ話しているうちに、寝た。
本当に失態だと思う。
俺を休ませる為の魔法──多分眠らせたんだ。
兄様に言われた。
警戒心がないと。殿下がそんなことしないって、思っている時点で駄目なのかも。
まさか、魔法で眠らされるなんて。
このままじゃ、何かあった時に俺を護って殿下が盾になってしまいそうだ。
セドリック殿下は妙に俺に甘い。
なんでそうなのかは、よく分からない…幼馴染的な存在だからとは、思うんだけど。なんせ、流行り病の頃はよく分からないから。
こんなんなのに。誰からも責められたりしないのも駄目だ。
『──レイリア。息子を頼むよ。誰も寄せ付けないんだ。』って、陛下に言われたのは、いつだったっけ。
だとしても。
「失格だよ。」
頭を抱えてしまう。自分より強い人の側近なら、せめて時間稼ぎの盾になれないと駄目なのに。
冒険者なんて大きな事を言って、兄様に反対されるのも当たり前だよ。
歯を食いしばる。両頬をパンっ!と叩き、ベッドから降りる。
まだ、時間はある。
今は。弱い。
だけど、強くなって見せる。
誰かを護れるくらいに。そして自分自身もちゃんと護る。
自分が傷つく事で誰かを泣かせたり、2度と大切な人を1人にしない。
身だしなみを整えて、今は夕食前で殿下は部屋にいるはずだからと足早に廊下を進む。
殿下の部屋の前に──宰相閣下が反対側から歩いて来て立ち止まる。側に護衛がいる。この人は閣下の部屋で見た人だ。
俺を視界に入れた瞬間、柔らかく笑う。
近づくと、「ちょっとね。挨拶しとこうかと。」
ポンって頭に手が置かれる。
「そうなんですね。
なら、外で待っています。」
「いや。一緒に行こう。」
殿下の部屋のドアが開いて入室の許可が出た。
3人で、入室した途端──
「護衛は外で。人払いをしてくれ。」
椅子に座って、こちらを見ている。
「だめだよ。セドリック。私を護ってくれる大切な護衛だ。防音は、張るし…それに万が一こいつが裏切ったとしても俺の方が強いから問題ない。」
まるで、俺とセドリック殿下の関係みたい…いいの?それで。
そんな気持ちが通じたのか、宰相閣下に声をかけられた。
「いいの。いいの。
それにユアンは、裏切ったりしないよ。近くにいる奴まで疑ってたら、精神的に削られるからね。
まぁ、その時は俺の見る目が無かったって思うしかないけどね。」
きっと、宰相閣下も沢山の人に裏切られ、傷つけられて来た人なんだ。
「そうなんですね。俺、セドリック殿下より弱いので…魔力は多分多いんのですが、体力がなくて。あまり役に立ててないと思うんです。せめて学園でくらい盾になりたいです。」
「そう?気になるかい?」
思わず頷く。
「セドリック。レイリアが休んでいる時にエースが側近してただろう?
エースを側近にしないか?卒業後も、学園に残してお前の側にいさせる事は簡単だよ。
魔法師同士より、騎士を付けておくのも悪くないよ?」
「え?」そうなんだ。エース様なら安心…だよね。
それは、それで良い案だと思うのに、胸の辺りがモヤッとしてしまう。
「俺の側近は、レイリアだけでいい。」
エース様は、俺と違って安心感がある。騎士としての力だけじゃなくて、魔法もエース様は得意なはずだから。
俺みたいに弱くはない。
「あの、セドリック殿下。」
「裏切らない者として信じられるのは、レイリアだけです。」
そう、殿下は言い切った。
なんで、そんなに信じてくれるんだろう。俺何にも、してないよ?
「ほら、信じられている。それで、良いんだよ。レイリア。」
仕事の鬼である宰相閣下は、悪魔だの鬼畜だのって言われている。その美麗な顔は人形のようで、人前で笑う事が出来ると思っている人は少ないと思う。
笑うとこんなに優しいのに。陛下の為にきっと、笑顔を隠す仮面をつけて尽力しているのだ。
宰相閣下であり、俺の師匠になる人に存在を認めてもらえて嬉しい。
そして何より殿下に信じてもらえるのも、泣きそうだ。
「はい。」
ずっと昔から。変わらず思ってくれる人…だよ、ね。
「それでも、側近なら強いに越した事はないからね。
セドリック。
レイリアを俺の弟子にしたから、学園以外じゃ俺との時間優先ね!叔父として、お前の側近を鍛える事にしたから、安心しなさい。」
「は?」
「信じられる上に強いなんて最高だよ!あ、明日の放課後は、レイリアは俺と2人だけで訓練だよ。セドリックも、人馴れ練習として、今後放課後はエースに頼のんだから安心しなさい。」
「は、はい。宰相閣下。」
「ちがーう。師匠。ハ・リ・ス師匠って呼んでね。」
じゃーねー。と手を振って出て行ったんだけど、この気まずい雰囲気分かってますか?
なんか、セドリック殿下の顔が怖い。
師匠ーーー‼︎
「な、なんで?ここは──俺の部屋?」
見慣れた天井、壁紙に家具の配置。
肺炎を起こした時のように、殿下の部屋で殿下が横にいる訳じゃない。
その事にちょっと、ホッとしてしまう。
セドリック殿下に抱きかかえられて?
ソファで?
んんー?
眠くて、眠くて…
「なんか気持ち良くて…げっ───殿下の腕の中で寝たの?」
やってしまった感がすごい。
寝かしつけられたのかな?疲れてたの、すぐバレた?
なんか、役に立ってないよね?仮にも、側近になんだよ?
──良いのかなコレで。
さすさすと、鎖骨の部分を手で摩りながら…セドリック殿下…ちょっと魔法使ったよね?キツく吸われて痛みが走った。なんだかんだ話しているうちに、寝た。
本当に失態だと思う。
俺を休ませる為の魔法──多分眠らせたんだ。
兄様に言われた。
警戒心がないと。殿下がそんなことしないって、思っている時点で駄目なのかも。
まさか、魔法で眠らされるなんて。
このままじゃ、何かあった時に俺を護って殿下が盾になってしまいそうだ。
セドリック殿下は妙に俺に甘い。
なんでそうなのかは、よく分からない…幼馴染的な存在だからとは、思うんだけど。なんせ、流行り病の頃はよく分からないから。
こんなんなのに。誰からも責められたりしないのも駄目だ。
『──レイリア。息子を頼むよ。誰も寄せ付けないんだ。』って、陛下に言われたのは、いつだったっけ。
だとしても。
「失格だよ。」
頭を抱えてしまう。自分より強い人の側近なら、せめて時間稼ぎの盾になれないと駄目なのに。
冒険者なんて大きな事を言って、兄様に反対されるのも当たり前だよ。
歯を食いしばる。両頬をパンっ!と叩き、ベッドから降りる。
まだ、時間はある。
今は。弱い。
だけど、強くなって見せる。
誰かを護れるくらいに。そして自分自身もちゃんと護る。
自分が傷つく事で誰かを泣かせたり、2度と大切な人を1人にしない。
身だしなみを整えて、今は夕食前で殿下は部屋にいるはずだからと足早に廊下を進む。
殿下の部屋の前に──宰相閣下が反対側から歩いて来て立ち止まる。側に護衛がいる。この人は閣下の部屋で見た人だ。
俺を視界に入れた瞬間、柔らかく笑う。
近づくと、「ちょっとね。挨拶しとこうかと。」
ポンって頭に手が置かれる。
「そうなんですね。
なら、外で待っています。」
「いや。一緒に行こう。」
殿下の部屋のドアが開いて入室の許可が出た。
3人で、入室した途端──
「護衛は外で。人払いをしてくれ。」
椅子に座って、こちらを見ている。
「だめだよ。セドリック。私を護ってくれる大切な護衛だ。防音は、張るし…それに万が一こいつが裏切ったとしても俺の方が強いから問題ない。」
まるで、俺とセドリック殿下の関係みたい…いいの?それで。
そんな気持ちが通じたのか、宰相閣下に声をかけられた。
「いいの。いいの。
それにユアンは、裏切ったりしないよ。近くにいる奴まで疑ってたら、精神的に削られるからね。
まぁ、その時は俺の見る目が無かったって思うしかないけどね。」
きっと、宰相閣下も沢山の人に裏切られ、傷つけられて来た人なんだ。
「そうなんですね。俺、セドリック殿下より弱いので…魔力は多分多いんのですが、体力がなくて。あまり役に立ててないと思うんです。せめて学園でくらい盾になりたいです。」
「そう?気になるかい?」
思わず頷く。
「セドリック。レイリアが休んでいる時にエースが側近してただろう?
エースを側近にしないか?卒業後も、学園に残してお前の側にいさせる事は簡単だよ。
魔法師同士より、騎士を付けておくのも悪くないよ?」
「え?」そうなんだ。エース様なら安心…だよね。
それは、それで良い案だと思うのに、胸の辺りがモヤッとしてしまう。
「俺の側近は、レイリアだけでいい。」
エース様は、俺と違って安心感がある。騎士としての力だけじゃなくて、魔法もエース様は得意なはずだから。
俺みたいに弱くはない。
「あの、セドリック殿下。」
「裏切らない者として信じられるのは、レイリアだけです。」
そう、殿下は言い切った。
なんで、そんなに信じてくれるんだろう。俺何にも、してないよ?
「ほら、信じられている。それで、良いんだよ。レイリア。」
仕事の鬼である宰相閣下は、悪魔だの鬼畜だのって言われている。その美麗な顔は人形のようで、人前で笑う事が出来ると思っている人は少ないと思う。
笑うとこんなに優しいのに。陛下の為にきっと、笑顔を隠す仮面をつけて尽力しているのだ。
宰相閣下であり、俺の師匠になる人に存在を認めてもらえて嬉しい。
そして何より殿下に信じてもらえるのも、泣きそうだ。
「はい。」
ずっと昔から。変わらず思ってくれる人…だよ、ね。
「それでも、側近なら強いに越した事はないからね。
セドリック。
レイリアを俺の弟子にしたから、学園以外じゃ俺との時間優先ね!叔父として、お前の側近を鍛える事にしたから、安心しなさい。」
「は?」
「信じられる上に強いなんて最高だよ!あ、明日の放課後は、レイリアは俺と2人だけで訓練だよ。セドリックも、人馴れ練習として、今後放課後はエースに頼のんだから安心しなさい。」
「は、はい。宰相閣下。」
「ちがーう。師匠。ハ・リ・ス師匠って呼んでね。」
じゃーねー。と手を振って出て行ったんだけど、この気まずい雰囲気分かってますか?
なんか、セドリック殿下の顔が怖い。
師匠ーーー‼︎
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