4 / 15
第三話
しおりを挟む「ラウ、婚姻届受理してもらったよ。」
「はやっ!」
まだ2分経ってないくらいでもうルーンが戻ってきた。
「結婚式とお披露目はまだ先になっちゃうけど……。あと陛下が一ヶ月後の夜会に必ず二人ででろだってさ。」
夜会……?…夜会?!結婚式とお披露目はどうでもいいまでは言わないけど今じゃないとして。
「夜会?!ドレスないよ、私。」
「それは大丈夫。今回ドレスを着るのは私だから。ラウには私が服を選んで送るから安心して。なんならラウも私のドレス選んでいいよ?」
「?!い、いやいいよ。お金かかるし私よくわかんない…。」
「大丈夫、お金は私が出すから。ドレスのことがよくわからなくてもせめて色だけは一緒に選ばない?」
……なんだろう。見えるはずのない耳と尻尾がしゅんってしてるような?性格も私の好みとかどうなってるんだろう。理想像ぴったり。女装の件は置いておいて。
「わかったよ、色だけね。」
私のイシ、ヨワイ。
「ありがとう。あ、そういえばラウってどんなドレス持ってるの?」
「ドレス?ドレスはデビュタントの時に着てたやつしかないよ。あとは騎士服とかかな。」
「………………。」
え、急に動かなくなった?
「ルーン?」
「ラウ、今すぐ服飾店に行こう。転移するには魔力が足りないからちょっともらうね。」
ルーンがそういうとグッと手を引っ張られる。唇が重なり合う。
「?!?!」
「よし、これで転移できる。いくよ、ラウ。」
『転移』
頭が、色々追いつかないんだけど……?今キスされた?
「ラウ、入ろう。お金は私が持つから。」
手をグイグイ引っ張られながら中に入る。ルーン、ここ王家御用達のところじゃない?高くて品質がいいって噂の……。
「すみませーん。予約してないんですけど大丈夫ですか?」
そういいながらルーンが家紋の入ったものを見せている。
「リー公爵家?!ご案内します。」
「ラウ、行こう?」
私は無。私は無。私は無。ここにあるものの値段を考えちゃいけない。
「針子とデザイナーを呼んでくるので少々お待ちください。既製品のカタログもおいておきますので。」
「ルーン…?ここにあるもの高くない?私の家の財力じゃ絶対手が出ないよ...。」
「そう?総帥やってるくらいだから給金いいと思うけどな。あ、ほらこの色なんかラウに合うんじゃない?」
カタログを見た柄ルーンが指差したのは深緑色と青色だ。ルーンの髪と瞳の色と同じような気もするけど。
「お待たせしましたー。本日はどのようなものがご希望でしょか?」
「まずは彼女の普段用のドレスを十着ほど、そして一ヶ月後の夜会に間に合うように僕のドレスと彼女に男装用の礼服をお願いしたい。」
「これはまた……変わった要望ですね。ですが承りました。リー様の方は色と形を決めていただければすぐにお作りいたします。そちらの彼女様はまず採寸からさせていただきます。では、隣の部屋へどうぞ。」
「は、はい。」
そして私は別室へと連行されていった。ちょっと怖い……。
1
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
シスターと孤児くん
汐凪吟
恋愛
ある日、私は一人の孤児を見ました。最近は領主様のおかげで孤児も減りつつあったのに......。
「神よ、どうかこの子に御加護を、幸せをそう願うことをお許しください。」
皇帝陛下は身ごもった寵姫を再愛する
真木
恋愛
燐砂宮が雪景色に覆われる頃、佳南は紫貴帝の御子を身ごもった。子の未来に不安を抱く佳南だったが、皇帝の溺愛は日に日に増して……。※「燐砂宮の秘めごと」のエピローグですが、単体でも読めます。
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
この罰は永遠に
豆狸
恋愛
「オードリー、そなたはいつも私達を見ているが、一体なにが楽しいんだ?」
「クロード様の黄金色の髪が光を浴びて、キラキラ輝いているのを見るのが好きなのです」
「……ふうん」
その灰色の瞳には、いつもクロードが映っていた。
なろう様でも公開中です。
貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後
空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。
魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。
そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。
すると、キースの態度が豹変して……?
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
たとえこの想いが届かなくても
白雲八鈴
恋愛
恋に落ちるというのはこういう事なのでしょうか。ああ、でもそれは駄目なこと、目の前の人物は隣国の王で、私はこの国の王太子妃。報われぬ恋。たとえこの想いが届かなくても・・・。
王太子は愛妾を愛し、自分はお飾りの王太子妃。しかし、自分の立場ではこの思いを言葉にすることはできないと恋心を己の中に押し込めていく。そんな彼女の生き様とは。
*いつもどおり誤字脱字はほどほどにあります。
*主人公に少々問題があるかもしれません。(これもいつもどおり?)
お母様が国王陛下に見染められて再婚することになったら、美麗だけど残念な義兄の王太子殿下に婚姻を迫られました!
奏音 美都
恋愛
まだ夜の冷気が残る早朝、焼かれたパンを店に並べていると、いつもは慌ただしく動き回っている母さんが、私の後ろに立っていた。
「エリー、実は……国王陛下に見染められて、婚姻を交わすことになったんだけど、貴女も王宮に入ってくれるかしら?」
国王陛下に見染められて……って。国王陛下が母さんを好きになって、求婚したってこと!? え、で……私も王宮にって、王室の一員になれってこと!?
国王陛下に挨拶に伺うと、そこには美しい顔立ちの王太子殿下がいた。
「エリー、どうか僕と結婚してくれ! 君こそ、僕の妻に相応しい!」
え……私、貴方の妹になるんですけど?
どこから突っ込んでいいのか分かんない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる