Magical Twilight

摩由璃

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第一章

夏休み3

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思いっきり朝寝坊をして、二度寝間でしてLINEのコール音で本格的に起き出した絵梨はスマホを確認して思わず笑ってしまった。
学友たちのグループトークが流れに流れていた。
最後の方は反応のない絵梨宛の呼びかけが連なっている。
『今、起きた』
本気で心配してくれているようなので一言入れて…布団から出ようとして…こいつが居た~というのは心の声。
昨夜のことは夢ではなく、綺麗な銀髪妖精はまだそばに居た。近すぎる距離感で…
「おはよう、絵梨」
ニコニコの最強笑顔は今日も健在のよう。
「お布団の中までは遣り過ぎですって…もう妖精の倫理観ってどーなってるのかなぁ」
「倫理観?」
これは駄目だ…と絵梨は頭を抱えたくなった。
妖精には倫理観自体がない?!のではないかと…
確認するのは余りにも恥ずかし過ぎる~

『今日はパスするね』
LINEでのお誘いにそう返事して、普段は時間がかかるから出来ないことをする。
まずは掃除。
普段は使う部屋しかしてない。
比較的小さい洋館ではあるが、使っていない部屋は結構ある。
「絵梨?お掃除するの?手伝ってあげる」
フルールが上機嫌で言う。
「手伝い?」
絵梨はいやな予感しかしないがフルールに聞いてみる。
「そう、絵梨は私に力を分けてくれるだけで済むよ」
ニコニコ笑うフルールの笑顔をみれば懐疑心がわく。
ジッと絵梨がフルールを疑いの目で見ていると、フルールはすっと右手を出した。
「ほら、絵梨。手を…もう一杯力貰ったし、この位の手伝いなら手を繋ぐだけで充分だよ。」
絵梨がそっとフルールの手を取った。
「こちらに…」
フルールが絵梨の手を引いてベランダに出る。
「さあ、皆!絵梨のお手伝いをするんだよ!」
フルールの声に反応して可愛らしい姿のふわふわな衣装の小さなモノたちが出てくる。
「はーい、花のお方」
「いつも絵梨は大事に私達の世話をしてくださいますもの。否やはございません。」
出てきたのはウチの庭の花の精たちらしい。
「さあ、力は絵梨が分けてくれるから頑張れ!」
絵梨からフルール、フルールから花の精たちへと力が流れていくが、絵梨には余り負担にはならなかった。
数の力であっという間に掃除が済んだが、絵梨の疲れは掃除を一人でしたときの半分にもならなかった。
不思議そうな絵梨にフルールがふわふわと笑う。
「ここの皆は普段からあなたに力を貰ってるから、今日はあんまり要らなかったらしいよ。いつもお手伝いしたくて仕方なかったらしいし、皆喜んでるよ。」
「他にお手伝いすることはありませんか?」
それが証拠に皆ニコニコと用事がないか聞いてくる。
「後は作り置き料理だし、お手伝いは要らないよ」
絵梨の言葉にがっかりした様子の花の精たちの姿に、ちょっとかわいそうになる。
「でしたら、明日からも定期的にお掃除します!」
花の精たちからの提案に絵梨は慌てた。
「そんなに気にすることないよ」
「今までだってお手伝いしたかったの~でもいきなり片付いてたりしたら怖がられるかもって」
「この子たちにやらせてあげて、ね」
駄目押しのようにフルールが言うと皆は一緒に頷いた。
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