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プロローグ

今日も良い天気!

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『新しい朝が来た~希望の朝が~喜びに~・・・・、ラジオ体操第一よ~い・・・』
・・・・ 
・・・
・・
「フウ、やっぱり1日の始まりはラジオ体操に限るわね」
汗と泥にまみれた全身を熱々のシャワーで綺麗に流した後はお気に入りの椅子に腰を掛けて渇いた喉を紅茶で潤す。
テーブルに新聞を広げて適当に読み流しながら紅茶を嗜む。
この無意味に時間を浪費する穏やかな時を私は愛おしく思っている。

「お早う、お姉ちゃん」
「あら、お早う望(のぞみ)」
私の可愛い妹が起きてきた見たい。
「はぁ・・・お姉ちゃん・・・」
望が可愛い顔を曇らせてタメ息を着いている。どうしたのかしら?悩み事?ここは姉として相談に乗るべきね!
「どうしたの望?何か悩み事でもあるのかしら?何でも私に相談して良いのよ」
可愛い妹の悲しむ顔なんて見たくはありませんものね。
「・・・お姉ちゃん、私何時も言ってるわよね!此処はリビングなんだから何か服を着てって」
あ、なるほど
「フフ、どうりで動きやすいと思ったわ。有り難う望、身体が冷える所だったわ」
ほんと、望はしっかり者に育ったものだわ。
「もう、はいコレ、早く着て」
そう言う望の手には私のスウェットが有った。
流石私の妹ね、こう言うのを以心伝心って言うのね。嬉しいわ。
「有り難う」
ニッコリと微笑んでスウェットを受け取ると素早く身に付ける。
「貴方も紅茶を飲む?」
私の憩いの一時を妹と共有したく声を掛けて見た。
「紅茶も良いけどそろそろ朝食の準備をしなくちゃ」
そう言う望の言葉に時計に目をやると確かにそんな時間だった。
「あら本当ね、今日は何にしようかしら」
人差し指を顎に当てて考える。
「今朝はサンドイッチよ、昨日材料買ってきたんだから」
「あら。そうなの?ならホットサンドでお願いね、今朝はホットな気分なの」
サクッとトーストしたパンとトロッとした半熟スクランブルエッグの食感が口に広がる。
「はいはい」
そう言い望がキッチンに向かう。
さて、私は味噌汁でも作りましょうか。


「では頂きましょうか」
「「頂きます」」
ホットサンドを口に運び一口噛る。
サクッとしたトーストされたパンを通り過ぎるとシャキッとしたレタス、そして溢れる半熟スクランブルエッグとトマトケチャップが口一杯に広がる。
軽く炙った厚切りハムの香ばしさと辛子マヨネーズが後から追い掛けてきて鼻腔を抜けていく。
はぁ、至高だわ。
望は将来シェフにでもなるのかしら。
次に味噌汁に口を着ける。
私も捨てたものじゃ無いわね。
「お姉ちゃん、前々から聞きたかったのだけど、どうして毎朝必ず味噌汁を作るの?」
朝食を堪能しているとフとそんな疑問を望が聞いてきた。
「望はお味噌汁が好きではないの?」
少しショックを受けたけど顔には出さない。
「ううん、そうじゃ無いんだけど。和洋どんなメニューでも必ず朝はお味噌汁をつくるから、ほらサンドイッチとかだと普通はスープじゃない?」
「ほら昔から日本人の朝は味噌汁で始まるって言うじゃない。ほら、アレよ、あの・・・温故知新?アレ」
「う~ん、そんな物なのかな?」
「それにね、昔、ママとパパに褒められた事があったの、遥のお味噌汁は美味しいねって」
「・・・そうなんだ、ママとパパに」
・・・

*******
私、白鷺遥しらさぎはるかと妹のぞみの両親は、5年前の私が13才、望が11才の時にこの世を去った。
厳密に言えば行方不明なのだけども。
当時、共働きで同じ職場で働いていた両親はどうしても2人一緒に出張しなければならない仕事があり、仕方無く私達を近所に住んでいた叔母(母親の妹)に預けて行った。
2人が乗った飛行機は太平洋上で行方不明となり大掛かりな捜索にも関わらず結局発見出来ず、捜索打ち切り、そして両親は死亡扱いとなった。
私達はそのまま叔母が面倒を見てくれる事となったのだか、元々近所だった事や、保険金や両親が結構な貯金を残してくれていた事も有り、叔母は私達に今まで通り私達の家に住まわせてくれた。
勿論、寂しさ、悲しさ、悔しさ、色々有ったけど、叔母を始め、親戚が本当に良くしてくれたので私達は不自由無く暮らすことが出来た。


***********
食事を終えれば食器をシンクに置いて食器には水を張っておく。
各々の部屋に戻って身嗜みを整えて制服に着替えていると部屋のドアをノックする音が聞こえる。
「お姉~ちゃん!」
「は~い」
上着を羽織り、カバンを手にするとドアを開ける。
「ゴメンなさい、おまたせ」
ドアの前には同じ制服と色違いの上着を羽織った望が立っている。
二人揃って玄関に降り靴を履く。
「さぁ、行こっか」
「ええ」
望の声に返事を返すと私は玄関のドアを開く。
そこから見える雲の無い綺麗な青空。
私はゆっくりと息を吸い込んだ。
「あ~、今日も良い天気ね!」
「本当ね!」
新鮮な朝の空気に清々しさを満喫しながら外へと足を踏み出し、



そして、私は光に飲み込まれた。

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