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第二章 乗っ取られた国

42 下山なんてしないよ?

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 「ま、まぁ、まずは街の状況を知らないと」 
 
 謎の(コノハにとって)沈黙を破ったのは他でもない本人だった。
 さっき二人に説明されて大体の状況は理解できたが、まずは人々の様子を見なければ。
 そのおかしくなったところを知って相手のしていることを探らなければならないのだから。
 
 (聖女のことも気になるしね)
 
 不確定要素が多すぎるため、流石にコノハも正面突破はしなかった。
 案のなかには浮かんでいたが。
 
 「……そうですね。では、下山しますか?」
 「え?何で?」
 「え?」
 「え?」
 
 メリアローズの提案はもっともだが、コノハは即行でそれを蹴った。
 下山なんていう面倒なことはしない。
 別に下山してわざわざ街に赴く必要はない。
 要は街を見れたらいいのである。
 
 だが、メリアローズはコノハの返しの意味が分かっていなかった。
 当たり前だ。街を見るには降りる必要があるのだから。
 
 考え方の違いが「??」を生む。
 
 コノハは「?」を浮かべながら、マジックボックスの中からある魔道具を取り出す。
 『遠見』の魔道具。
 小さめの丸い水晶で出来ており、青く透明なそれが遠くを写し出すというもの。
 勿論、コノハが作った。
 下山する必要がないのはこれがあるためである。
 
 「これを使います。『遠見』の魔道具です」
 「ああ、成る程。これならここで見れますね」
 「……なぁ、これ、どこの誰が作った?」
 
 ジークが魔道具をまじまじと見ながら聞く。
 
 「え?私です」
 「…………」
 「……お兄様?」
 「……何でもない、続けてくれ」
 「はぁ……」
 
 ジークが聞いた理由は簡単。
 この魔道具のサイズが小さすぎるのだ。
 
 (手のひらサイズの『遠見』の魔道具とか聞いたことねぇぞ……)
 
 普通は大人数で運ぶほどに部品数が多く、その分、それなりの大きさを誇る。
 利用としては国の見張り台に設置する。
 持ち運びとかあり得ないのだ。
 
 メリアローズはこのことを知らなかったらしい。
 しかし、ジークは第四王子であるため、政治には関われないので、軍に所属している。
 そのためにこのようなことも知っているのだ。
 
 改めて彼女の異常さを知ったジークだった。



―――――――――――――
どうもです。柊レイです。

更新のペースはこれ以上上げられません……ごめんなさい。
お盆休みに頑張りたいっ!(希望的)

補足説明。
ジークの言っている魔道具のイメージは天体望遠鏡な感じです。
コノハが作ったのは占いの時に使うイメージの水晶を二周りくらい小さくした感じです。

……コノハチートっ!
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