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第四章
第12話 愛すれど切なく
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俺が『銀次』に着くと、めずらしく直子は泥酔していた。
「遅ーい! いつまで私を待たせ るつもりー!」
理知的で俺の前ではあまり酒を飲まない直子がだ。
「随分とご機嫌だな? 何かいいことでもあったのか?」
「ありましたよーだ。とってもうれしいことが! あはははは」
そう言って直子が冷酒を飲もうとした時、俺はその酒を取り上げ、飲み干した。
「何をするのよ! 私のお酒を!」
銀次が詫びた。
「すみません社長、どうしても飲みたいと仰るもので。
社長がお迎えに来るからと」
「迷惑を掛けてすまなかった。
勘定をしてくれ、コイツを連れて帰るから」
「いつもありがとうございます」
銀次とは長い付き合いだった。
この男も運転手の角田と同様、俺をいつも守ってくれる。
「私、帰らないわよー。今日はまだ飲むんだから!」
「いいから来い」
俺は直子の手を引いて、待たせて置いたタクシーに乗せた。
俺が時々仕事部屋に使っている、汐留のホテルに向かった。
「ごめんなさい・・・、あなたに凄く会いたくて・・・」
「ずっと会えなかったからな? ごめんな?」
直子は俺の肩に凭れ、泣いた。
部屋に入ると冷蔵庫からミネラルウォーターを出して直子に渡した。
「ありがとう、ございます」
「それを一気に飲んで、トイレで吐いて来い。
そうすれば少しはラクになるから」
直子は水を飲むと、すぐにトイレに駆け込んだ。
気持ち悪いのを我慢していたのだろう。
私はトイレを抱えて嘔吐している直子の背中を摩ってやった。
「すみません、もう、大丈夫です」
直子は口をすすぎ、歯を磨いた。
直子はソファの俺の隣に座り、残った水をゆっくりと飲んだ。
大体の話は察しがついていた。
おそらく祥子が俺と寝たことを直子に話したせいだろう。
女房や他の女なら許せても、祥子は許せなかったはずだ。
それはお互いがよく似ていたからだ。
「祥子と寝たんですってね? 祥子が自慢していました」
「そうか? 俺は誰の物でもねえけどな? でも直子は俺の物だ」
「私、都合のいい女ですか?」
「放ってはおけない女だ」
「どうして?」
「俺に必要な女だからだ」
「たまにしか会えなくてもですか?」
「それじゃイヤか?」
「寂しいです・・・」
直子は俺に跪き、太腿に顔を載せた。
「それでも好き、あなたのことが・・・」
俺は直子の頭をやさしく撫でた。
「抱いて、思いっきり。祥子の時よりも」
直子は服を脱ぎ捨てると下着姿のまま、シャワーを浴びに行こうとした。
俺はそれを制した。
「シャワーは浴びなくていい、そのままのお前が欲しい」
「だって今日は汗も掻いたし・・・」
「激しく抱いて欲しいんだろう?」
俺はそのまま少し乱暴に、直子をベッドに押し倒した。
そしてネクタイで直子の両手を万歳させて縛り上げた。
黒のブラジャーを荒々しくたくし上げると乳首を吸い、少し強めに噛んでみせた。
「はあ、はあ、はあ、はあ・・・、あっ」
俺は直子の本当の女を覚醒させてみたい衝動に駆られた。
この上品な女を穢してみたくなったのだ。
俺も服を脱ぎ、直子のカラダに跨った。
直子はこれからの行為を期待し、目を閉じた。
俺は彼女のブラを外し、直子の胸を鷲掴みに強く揉んだ。
直子の顔が快感に歪む。
痛い様子はなかった。
俺はキスをし、入念に直子のカラダを舐め続けた。
すでにショーツは蜜で濡れていた。
ショーツを乱暴に脱がせ、熟した桃にしゃぶり付くように直子の蜜口を吸い、陰核を舐めた。
「あん、はうっ、いい、すごく・・・、はあ、はあ・・・、あ、あ、あっ」
スタッカートのような喘ぎ声が次第にハイトーン・ボイスに変わっていった。
前戯もそこそこに俺は自身を挿入し、律動を開始した。
「あん、あん・・・、ねえ?」
「どうした?」
「愛してる?」
「ああ」
「愛してるって言って! 約束した、じゃ、ない、ですか!」
直子が俺を睨んで眉をしかめた。
俺は直子の腕を縛ったネクタイを外した。
直子は俺に腕を回し、俺は腰を動かしたまま直子の耳元で囁いた。
「愛しているよ、直子」
「うれしい・・・、私も愛してるわ。今日は中にちょうだい。あ、あ、あ、あ・・・。
イキそうなの、一緒に、お願い・・・」
直子のカラダが硬直し、震え出した。
私は射精の寸前でペニスを抜き取り、直子の腹部にそれを放出した。
直子の痙攣はより強くなった。
「中に欲しいって言ったのに・・・」
「俺は女としても子供は作らないことにしている。生まれて来る子供が気の毒だからだ」
「じゃあ遥は?」
「遥は特別だ。遥は大切な俺の娘だ」
「ありがとう。でも私はあなたの子供が欲しい。
それは祥子も、他の人たちも同じだと思う。
現実的に私はもう無理かもしれないけれど、それでもあなたと私の子供が欲しい。
認知なんて望まない。
ただ大好きなあなたの子供が欲しい・・・」
俺は直子を強く抱き締めた。
「ありがとう、直子」
俺たちはそのまま、深い眠りに落ちて行った。
「遅ーい! いつまで私を待たせ るつもりー!」
理知的で俺の前ではあまり酒を飲まない直子がだ。
「随分とご機嫌だな? 何かいいことでもあったのか?」
「ありましたよーだ。とってもうれしいことが! あはははは」
そう言って直子が冷酒を飲もうとした時、俺はその酒を取り上げ、飲み干した。
「何をするのよ! 私のお酒を!」
銀次が詫びた。
「すみません社長、どうしても飲みたいと仰るもので。
社長がお迎えに来るからと」
「迷惑を掛けてすまなかった。
勘定をしてくれ、コイツを連れて帰るから」
「いつもありがとうございます」
銀次とは長い付き合いだった。
この男も運転手の角田と同様、俺をいつも守ってくれる。
「私、帰らないわよー。今日はまだ飲むんだから!」
「いいから来い」
俺は直子の手を引いて、待たせて置いたタクシーに乗せた。
俺が時々仕事部屋に使っている、汐留のホテルに向かった。
「ごめんなさい・・・、あなたに凄く会いたくて・・・」
「ずっと会えなかったからな? ごめんな?」
直子は俺の肩に凭れ、泣いた。
部屋に入ると冷蔵庫からミネラルウォーターを出して直子に渡した。
「ありがとう、ございます」
「それを一気に飲んで、トイレで吐いて来い。
そうすれば少しはラクになるから」
直子は水を飲むと、すぐにトイレに駆け込んだ。
気持ち悪いのを我慢していたのだろう。
私はトイレを抱えて嘔吐している直子の背中を摩ってやった。
「すみません、もう、大丈夫です」
直子は口をすすぎ、歯を磨いた。
直子はソファの俺の隣に座り、残った水をゆっくりと飲んだ。
大体の話は察しがついていた。
おそらく祥子が俺と寝たことを直子に話したせいだろう。
女房や他の女なら許せても、祥子は許せなかったはずだ。
それはお互いがよく似ていたからだ。
「祥子と寝たんですってね? 祥子が自慢していました」
「そうか? 俺は誰の物でもねえけどな? でも直子は俺の物だ」
「私、都合のいい女ですか?」
「放ってはおけない女だ」
「どうして?」
「俺に必要な女だからだ」
「たまにしか会えなくてもですか?」
「それじゃイヤか?」
「寂しいです・・・」
直子は俺に跪き、太腿に顔を載せた。
「それでも好き、あなたのことが・・・」
俺は直子の頭をやさしく撫でた。
「抱いて、思いっきり。祥子の時よりも」
直子は服を脱ぎ捨てると下着姿のまま、シャワーを浴びに行こうとした。
俺はそれを制した。
「シャワーは浴びなくていい、そのままのお前が欲しい」
「だって今日は汗も掻いたし・・・」
「激しく抱いて欲しいんだろう?」
俺はそのまま少し乱暴に、直子をベッドに押し倒した。
そしてネクタイで直子の両手を万歳させて縛り上げた。
黒のブラジャーを荒々しくたくし上げると乳首を吸い、少し強めに噛んでみせた。
「はあ、はあ、はあ、はあ・・・、あっ」
俺は直子の本当の女を覚醒させてみたい衝動に駆られた。
この上品な女を穢してみたくなったのだ。
俺も服を脱ぎ、直子のカラダに跨った。
直子はこれからの行為を期待し、目を閉じた。
俺は彼女のブラを外し、直子の胸を鷲掴みに強く揉んだ。
直子の顔が快感に歪む。
痛い様子はなかった。
俺はキスをし、入念に直子のカラダを舐め続けた。
すでにショーツは蜜で濡れていた。
ショーツを乱暴に脱がせ、熟した桃にしゃぶり付くように直子の蜜口を吸い、陰核を舐めた。
「あん、はうっ、いい、すごく・・・、はあ、はあ・・・、あ、あ、あっ」
スタッカートのような喘ぎ声が次第にハイトーン・ボイスに変わっていった。
前戯もそこそこに俺は自身を挿入し、律動を開始した。
「あん、あん・・・、ねえ?」
「どうした?」
「愛してる?」
「ああ」
「愛してるって言って! 約束した、じゃ、ない、ですか!」
直子が俺を睨んで眉をしかめた。
俺は直子の腕を縛ったネクタイを外した。
直子は俺に腕を回し、俺は腰を動かしたまま直子の耳元で囁いた。
「愛しているよ、直子」
「うれしい・・・、私も愛してるわ。今日は中にちょうだい。あ、あ、あ、あ・・・。
イキそうなの、一緒に、お願い・・・」
直子のカラダが硬直し、震え出した。
私は射精の寸前でペニスを抜き取り、直子の腹部にそれを放出した。
直子の痙攣はより強くなった。
「中に欲しいって言ったのに・・・」
「俺は女としても子供は作らないことにしている。生まれて来る子供が気の毒だからだ」
「じゃあ遥は?」
「遥は特別だ。遥は大切な俺の娘だ」
「ありがとう。でも私はあなたの子供が欲しい。
それは祥子も、他の人たちも同じだと思う。
現実的に私はもう無理かもしれないけれど、それでもあなたと私の子供が欲しい。
認知なんて望まない。
ただ大好きなあなたの子供が欲しい・・・」
俺は直子を強く抱き締めた。
「ありがとう、直子」
俺たちはそのまま、深い眠りに落ちて行った。
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