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第2話
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ここはコーンポタージュが自慢の店だった。
「どう? グルメクイーンさん?」
「美味しい、お替りしてもいい?」
「どうぞ、美沙子が褒めるんだからここは一流だね?」
「こんなに美味しいスープ、久しぶりよ」
「綺麗だよ、君の笑った顔」
「当たり前でしょう? だって私、綺麗だもん」
「否定出来ないのが、ちょっと悔しいな?
君のご主人はかなりいい男なんだろうな? 君が惚れた男だから」
「それはそうよ、彼ほどやさしい人はこの世にいないし、彼は一流の営業マン。
私が育てた男だもの」
「それは大変失礼いたしました」
私はそんな彼女を勝ち取った旦那に嫉妬し、美沙子に意地悪な質問をした。
「そんなにすばらしい旦那がいるのに、なんで俺と付き合っているの?」
「彼はおうちご飯、あなたはたまに食べたくなるフレンチだもの」
「良かった、ラーメンって言われなくて」
私はひと匙、スープを飲んだ。
「でもね、毎日だったらラーメンの方がいいかなあ。あなたはたまにでいいの。
美味しいけど食べた後、胃もたれしちゃうから」
「悪かったな? バターソースのクドイ男で」
「でも愛しているのはあなたよ。
あなたは愛人で、夫はパートナー。
好きだけど、愛していない・・・」
「俺にとっては君は恋人だけどね?」
「酷いじゃないの? 私は愛しているって言っているのに」
「だってその方がラクだから。
俺は俺なりに君を愛さないように生きている。
いや、愛しちゃいけないと思っている」
「どうして?」
「君は他人の奥さんだから」
「ヘンな人。だからドクターはイヤよ、面倒臭くて。
ねえお替り頼んでよ」
「はいはい」
帰りのクルマの中で、美沙子が言った。
「もし、私があなたを本気で愛したらどうする?」
「うれしいよ、それはそれで」
「ホントに? いきなりパパになるのよ、3人の子供のパパに?」
「手間が省けていいじゃないか? 俺、君の子供たちなら気に入られる自信はあるよ」
「会ったこともないくせに」
「会わなくてもわかるよ」
「どうして?」
「君の子供たちだから。
君が僕に惚れたように、君のお子さんたちも俺に惚れるさ」
「あなたも相当な自信家ね? そんなところ、嫌いじゃないけど」
美沙子は私の頬にキスをした。
「事故っちゃうだろ? そんなことしたら」
「じゃあこれはどう?」
美沙子は私の股間にやさしく触れた。
私はハザード・ランプを点滅させてクルマを路肩に寄せて停めた。
私たちは夢中でお互いを求め合った。
カーコンポからはフランク・シナトラの『Fly me to the moon』が流れていた。
「どう? グルメクイーンさん?」
「美味しい、お替りしてもいい?」
「どうぞ、美沙子が褒めるんだからここは一流だね?」
「こんなに美味しいスープ、久しぶりよ」
「綺麗だよ、君の笑った顔」
「当たり前でしょう? だって私、綺麗だもん」
「否定出来ないのが、ちょっと悔しいな?
君のご主人はかなりいい男なんだろうな? 君が惚れた男だから」
「それはそうよ、彼ほどやさしい人はこの世にいないし、彼は一流の営業マン。
私が育てた男だもの」
「それは大変失礼いたしました」
私はそんな彼女を勝ち取った旦那に嫉妬し、美沙子に意地悪な質問をした。
「そんなにすばらしい旦那がいるのに、なんで俺と付き合っているの?」
「彼はおうちご飯、あなたはたまに食べたくなるフレンチだもの」
「良かった、ラーメンって言われなくて」
私はひと匙、スープを飲んだ。
「でもね、毎日だったらラーメンの方がいいかなあ。あなたはたまにでいいの。
美味しいけど食べた後、胃もたれしちゃうから」
「悪かったな? バターソースのクドイ男で」
「でも愛しているのはあなたよ。
あなたは愛人で、夫はパートナー。
好きだけど、愛していない・・・」
「俺にとっては君は恋人だけどね?」
「酷いじゃないの? 私は愛しているって言っているのに」
「だってその方がラクだから。
俺は俺なりに君を愛さないように生きている。
いや、愛しちゃいけないと思っている」
「どうして?」
「君は他人の奥さんだから」
「ヘンな人。だからドクターはイヤよ、面倒臭くて。
ねえお替り頼んでよ」
「はいはい」
帰りのクルマの中で、美沙子が言った。
「もし、私があなたを本気で愛したらどうする?」
「うれしいよ、それはそれで」
「ホントに? いきなりパパになるのよ、3人の子供のパパに?」
「手間が省けていいじゃないか? 俺、君の子供たちなら気に入られる自信はあるよ」
「会ったこともないくせに」
「会わなくてもわかるよ」
「どうして?」
「君の子供たちだから。
君が僕に惚れたように、君のお子さんたちも俺に惚れるさ」
「あなたも相当な自信家ね? そんなところ、嫌いじゃないけど」
美沙子は私の頬にキスをした。
「事故っちゃうだろ? そんなことしたら」
「じゃあこれはどう?」
美沙子は私の股間にやさしく触れた。
私はハザード・ランプを点滅させてクルマを路肩に寄せて停めた。
私たちは夢中でお互いを求め合った。
カーコンポからはフランク・シナトラの『Fly me to the moon』が流れていた。
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