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第8話
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蘭子と大徳寺は獣のように愛し合った。
軋むベッド、蘭子の喘ぎ声が部屋を彷徨っていた。
ありきたりでワンパターンの夫のセックスでは味わえない、激しいエクスタシーに蘭子は幾度も気を失いかけた。
普段の物静かで知的な大徳寺からは想像も出来ないほどの超絶技巧に蘭子は翻弄され続けた。
まるで南国の甘いトロピカルフルーツにむしゃぶりつくように、大徳寺は蘭子を求めた。
そしてふたりの愛のシンフォニーは遂にクライマックスを迎えた。
「蘭子さん、僕は最高の芸術が「愛」であることを確信しました。
愛は道徳も貞淑も、そして常識をも超える存在だということを。
それをあなたが僕に教えてくれたのです」
「先生、お恥ずかしい話ですけれど私、こんなに感じたことはありませんでした。
もうクタクタ。セックスでイッた経験がありませんでした。
私は淫らな女ですね?」
「そうではありません。愛のある行為は気高いものです、孤高の行為なのです。
そして美しく、体が、脳が快楽に痺れます。
愛のある性行為は卑猥でも淫らでもありません。
愛し合うことは本能であり、人間の持つ美徳なのです。
特に日本人は性に対して閉鎖的で、汚らわしい行為だと子供の頃から教えられて育ちます。
もっと正しく性を教えるべきなのに」
「私たち、ついに扉を開けてしまいましたね?
これからどうすればいいのでしょう? 私たち・・・」
「それは私にもわかりません。
ただ理屈ではなく、僕はあなたを本気で愛してしまいました。
始めから覚悟は出来ています。どんな罰を受けようとも、僕は蘭子さんを全力でお守りします。
その事実はこれからも変わることはありません」
「大徳寺先生・・・」
再びふたりは抱き合い、何度もお互いを求め合った。
仕事を終え、稔が帰って来た。
「どうだった? 先生との美術館デートは?」
「嫌だわ、デートだなんて。ただぐるっと館内を見て回っただけよ。
別にわざわざ行くまでもなかったわ」
蘭子は嘘を吐いた。
「そうか? また何か凄いサプライズでもあったのかと思ったよ」
「さあお食事にしましょう。今日はあなたの大好きな中華三昧よ。
酢豚に天津飯、それからエビチリにシュウマイまで作っちゃったの。
たくさん食べてね、今、キンキンに冷えたビールを持って来るから」
人間は疚しい事があると、それを隠すために見せかけの愛情でそれを埋めようとする。
それが真に今の蘭子だった。
「すごいなあ、今日はごちそうだね?」
「ご馳走なのはいつもの事でしょう?」
蘭子はレードルを持ったまま、稔に 「偽りのキス」をした。
それは大徳寺との愛をカムフラージュするためのキスだった。
夜、蘭子は積極的に稔に奉仕した。
「ラン、今日はどうしたんだ? 今までそんなことしてくれたことなんかなかったのにどうした? 突然」
「いいからこのままお口に出していいから」
ジュプジュプ
稔はすぐに果ててしまった。
「うっ、ごめん、ラン」
蘭子はそれを咥えたまま頷き、稔が蘭子の口内にそれを放出するとそれを飲み干した。
精液が出し尽くされても、稔のペニスは蘭子の口の中で脈打っていた。
それは今日の大徳寺との不貞を犯した自分に対する、自分に課した罰であり、償いだった。
(会いたい、先生に会いたい)
蘭子はバスルームで熱いシャワーを浴び、何度も口を漱ぎ、大徳寺に触れられたところを指でなぞった。
蘭子のカラダは再び熱くなり、下腹部が濡れ始めた。
軋むベッド、蘭子の喘ぎ声が部屋を彷徨っていた。
ありきたりでワンパターンの夫のセックスでは味わえない、激しいエクスタシーに蘭子は幾度も気を失いかけた。
普段の物静かで知的な大徳寺からは想像も出来ないほどの超絶技巧に蘭子は翻弄され続けた。
まるで南国の甘いトロピカルフルーツにむしゃぶりつくように、大徳寺は蘭子を求めた。
そしてふたりの愛のシンフォニーは遂にクライマックスを迎えた。
「蘭子さん、僕は最高の芸術が「愛」であることを確信しました。
愛は道徳も貞淑も、そして常識をも超える存在だということを。
それをあなたが僕に教えてくれたのです」
「先生、お恥ずかしい話ですけれど私、こんなに感じたことはありませんでした。
もうクタクタ。セックスでイッた経験がありませんでした。
私は淫らな女ですね?」
「そうではありません。愛のある行為は気高いものです、孤高の行為なのです。
そして美しく、体が、脳が快楽に痺れます。
愛のある性行為は卑猥でも淫らでもありません。
愛し合うことは本能であり、人間の持つ美徳なのです。
特に日本人は性に対して閉鎖的で、汚らわしい行為だと子供の頃から教えられて育ちます。
もっと正しく性を教えるべきなのに」
「私たち、ついに扉を開けてしまいましたね?
これからどうすればいいのでしょう? 私たち・・・」
「それは私にもわかりません。
ただ理屈ではなく、僕はあなたを本気で愛してしまいました。
始めから覚悟は出来ています。どんな罰を受けようとも、僕は蘭子さんを全力でお守りします。
その事実はこれからも変わることはありません」
「大徳寺先生・・・」
再びふたりは抱き合い、何度もお互いを求め合った。
仕事を終え、稔が帰って来た。
「どうだった? 先生との美術館デートは?」
「嫌だわ、デートだなんて。ただぐるっと館内を見て回っただけよ。
別にわざわざ行くまでもなかったわ」
蘭子は嘘を吐いた。
「そうか? また何か凄いサプライズでもあったのかと思ったよ」
「さあお食事にしましょう。今日はあなたの大好きな中華三昧よ。
酢豚に天津飯、それからエビチリにシュウマイまで作っちゃったの。
たくさん食べてね、今、キンキンに冷えたビールを持って来るから」
人間は疚しい事があると、それを隠すために見せかけの愛情でそれを埋めようとする。
それが真に今の蘭子だった。
「すごいなあ、今日はごちそうだね?」
「ご馳走なのはいつもの事でしょう?」
蘭子はレードルを持ったまま、稔に 「偽りのキス」をした。
それは大徳寺との愛をカムフラージュするためのキスだった。
夜、蘭子は積極的に稔に奉仕した。
「ラン、今日はどうしたんだ? 今までそんなことしてくれたことなんかなかったのにどうした? 突然」
「いいからこのままお口に出していいから」
ジュプジュプ
稔はすぐに果ててしまった。
「うっ、ごめん、ラン」
蘭子はそれを咥えたまま頷き、稔が蘭子の口内にそれを放出するとそれを飲み干した。
精液が出し尽くされても、稔のペニスは蘭子の口の中で脈打っていた。
それは今日の大徳寺との不貞を犯した自分に対する、自分に課した罰であり、償いだった。
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蘭子はバスルームで熱いシャワーを浴び、何度も口を漱ぎ、大徳寺に触れられたところを指でなぞった。
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