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その14

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 「こんにちはー。私、「一本テレビ」の『あっちの料理長』を担当しているADの満腹太郎と申します。
 街中華の有名店を取材しているのですが、取材をさせていただいてもよろしいでしょうか?」
 「一本テレビ? ギャラはいくら出んの? 五味瓜ごみうりテレビさんだよね? 大食いQUEENのギャラくれさんとか、ゴルゴンゾーラさんの『激辛お尻からファイヤー』、村岡の『コレだけ食べていくらかな? 外れても局が支払うから大丈夫!』、ヒロ太とラッキョウ・ヘッドのやってる、『客に対する言葉遣いの悪い店』と、あとは関西弁丸出しの『凶本興業のあぶないお笑い芸人たち』、後は自民党に忖度して、大谷翔平の話がメインの報道お笑い番組、『教養ZERO』のあのテレビ局ですか?」
 「ちょっと失礼ですよ、本当ですけど」
 「少々お待ち下さい。パンダの料理長に訊いて来ますから」

 レッサーパンダのショウ・コウシュは料理長のラオ・チュウにそれを伝えた。

 「またテレビの取材ですけど、受けますか?」
 「そんなくだらないテレビ取材なんか受けるな」
 「やっぱり。料理長はテレビが大っ嫌いですもんね?」
 「テレビはみんなに夢を、希望を与えるべき責任と使命がある。
 あれが美味い、こんなに大盛り、これだけ激辛と言っては笑っている。
 アイツらは食い物で遊んでいるんだ。
 俺たちは命をいただいて生きているんだ。ベジタリアンだって野菜を殺して食べているんだから同罪だ。
 アフリカの子供は岸壁に落ちている小麦粉を手で集めて食べていた。
 日本の子供だって、給食を多く食べて飢えをしのいでいる子供もいるんだ。
 「子供食堂」を増やすのではなく、「子供食堂」がなくてもいい社会にしなければならない。
 今の日本ではせっかく稼いだカネの半分が税金などで国に取られてしまう。
 そしてその税金を裏金にして、自分の私腹を肥やし、権力を欲しがる政治家たち。
 昔の政治家もカネを集め、権力を欲しがった。でもそれは敗戦後の日本を復興させ、街から乞食こじきや貧困をなくすために命を賭けた政治家ばかりだった。
 今のような下劣な政治家を選んだ俺たちにも責任はある。
 自分のことしか考えないんだよ、国民も政治家も。
 元大学教授だった奴がリニアを妨害し、問題発言を繰り返して「退職金は受け取らない」と公言していた静岡の恥知らず県知事は堂々と言った。
 農家や漁師は下等な人間だと。学があるからエライのか? 政治家だから優秀なのか?
 食は生きるために、よく生きるために必要なんだ。
 だから五味瓜テレビの取材は受けない。そう伝えろ」
 「わかりました」

 ショウ・コウシュはADの満腹太郎のところへ行き、言った。

 「料理長は「帰れ! このウンコTV!」 だそうです。お引き取り下さい」
 「誰がこんなパンダとレッサーパンダがやってる店なんかに来るかよ!」
 「いいですよ、「テレるな東京」さんの『郵便屋さん 美味しいお店教えてよ』か、『アドマチック極楽』に出るから。はい帰った帰った。しっしっつ」


 ADの満腹太郎は会社に戻って、プロデューサーたちにメッチャ怒られたそうである。

 「バカ野郎! 喰い物番組は数字が取れんだよ! このボケ!」

 日本のテレビもすえである。

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