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第7話
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清彦と静香は酒を飲んでいた。
「清彦さんは再婚は考えていらっしゃらないの?」
「考えていませんねえ? 多分もう結婚は一生しないと思います」
「どうしてですか?」
「もう誰も失いたくないからです」
「私は死にませんよ、絶対に。
清彦さんより先になんか絶対に死ぬもんですか」
そう言って静香はテキーラを飲んだ。
「でも人はいつかは死ぬんです。病院にいるとつくづく思います。
医者の僕が言うのもなんですが、人は死ぬんですよ、必ず」
「そりゃあいつかは死ぬでしょうけど、私は清彦よりも先には死にませんから絶対に!
私はあなたのことが好きだから! 大好きだから! あはははは 私、武田鉄矢みたいでしょ?」
「『101回目のプロポーズ』ですか?」
「そうそう、だから先生、私と結婚して下さい! 私、本気ですよ! 本気の本気! ホンキー・コングだから!」
「先生は美人でやさしい女性です、僕のような子持ちバツイチと結婚しなくても、素敵な男性は沢山いますよ」
「私は先生がいいの! それに奈々ちゃんは私のことを母親のように慕ってくれています。だから先生、私を清彦のお嫁さんにして! お願い! 清彦とならアブノーマルなプレイもお付き合いするからさあ」
「それは出来ません」
「どうして?」
「僕は今でも妻を愛しているからです」
「死んだ人はもう戻っては来ませんよーだ」
静香はテキーラにライムを絞って一気に呷った。
「研修医をしている時、救命救急にいました。
血だらけで頭蓋骨が割れて運ばれて来る患者さんもいました。でも死なない。
そして平気で会話をして歩いているひとが5分後、突然心停止してしまい、亡くなってしまう。
私はそんな現場に何度も立会いました。
先生は素敵な人です、しあわせになって下さい」
「ねえ先生、私としてみない?」
「セックスをですか?」
「そう。してみない? この私と。 結構評判いいのよ、私」
静香は清彦の膝の上に向かい合わせに座った。
「先生、娘たちが見たらびっくりしますよ」
「大丈夫、あの娘たちは2階でお勉強しているから」
「ダメですよ静香先生」
「いいじゃないのよ~、減るもんじゃないんだから」
「止めて下さい静香先生、早く降りて下さい」
「チュウしちゃうもんねー」
そこへ奈々と春菜がすっ飛んでやって来た。
「いーけないんだあ、いけないんだ~。 セーンセイに言ってやろう」
「チッ うるさいわね~、今はプライベートなの! アンタたちは2階でお勉強でもしているか、チョコミント・
アイスでも食べてAVでも観ていなさい!」
「さっきコンソメ・キックを奈々と食べて観たからもういいです」
「コレは大人の話なの、子供は邪魔しないで!」
「それじゃあ先生、今日はもう遅いから寝ましょうよ」
「寝るわよ、これから清彦とチョメチョメしながら」
「私たちも一緒に寝まーす! パパと静香先生と一緒に!」
「5P? いえ、そうなると乱交? 乱交パーティなのね?」
「静香先生、アダルトビデオの見過ぎですよ。いいから早くお風呂に入って一緒に寝ましょうよ、修学旅行の時みたいに恋バナしたり枕投げしましょうよ~」
「あはははは。そうだね? 今日は客間でみんなで寝ようか?」
「うん、そうしましょうよ! 奈々、パパ、私、そして静香先生の順で」
「何をバカなこと言っているの? 清彦と私が同じお布団でアンタたちはずっと端、廊下で寝なさい!」
「先生ばっかりずるーい。みんなのパパさんだよ」
「私の清彦よ!」
「私のパパだよ!」
「まあまあ、それじゃあ「あみだくじ」で決めようじゃないか?」
清彦はメモ用紙に「あみだくじ」を引いた。
「私はここ」
「それじゃあ私はここね?」
「となると静香先生はここかあ。文句はないわよね?」
すると結果は同じだった。
奈々、清彦、春菜、静香の順になった。
「チッ お風呂入って来る!」
「先生行ってらっしゃーい」
静香は風呂場に行った。
「パパ、ごめんなさいね? 邪魔しちゃって」
「ありがとう奈々、春菜ちゃん。お陰で助かったよ」
「でも本当はしたかったりして?」
「あはははは もう僕にそんな元気はないよ」
「パパはママ一筋だもんね?」
「そうだね? 奈々」
だがその時のパパは少し寂しそうだった。
「清彦さんは再婚は考えていらっしゃらないの?」
「考えていませんねえ? 多分もう結婚は一生しないと思います」
「どうしてですか?」
「もう誰も失いたくないからです」
「私は死にませんよ、絶対に。
清彦さんより先になんか絶対に死ぬもんですか」
そう言って静香はテキーラを飲んだ。
「でも人はいつかは死ぬんです。病院にいるとつくづく思います。
医者の僕が言うのもなんですが、人は死ぬんですよ、必ず」
「そりゃあいつかは死ぬでしょうけど、私は清彦よりも先には死にませんから絶対に!
私はあなたのことが好きだから! 大好きだから! あはははは 私、武田鉄矢みたいでしょ?」
「『101回目のプロポーズ』ですか?」
「そうそう、だから先生、私と結婚して下さい! 私、本気ですよ! 本気の本気! ホンキー・コングだから!」
「先生は美人でやさしい女性です、僕のような子持ちバツイチと結婚しなくても、素敵な男性は沢山いますよ」
「私は先生がいいの! それに奈々ちゃんは私のことを母親のように慕ってくれています。だから先生、私を清彦のお嫁さんにして! お願い! 清彦とならアブノーマルなプレイもお付き合いするからさあ」
「それは出来ません」
「どうして?」
「僕は今でも妻を愛しているからです」
「死んだ人はもう戻っては来ませんよーだ」
静香はテキーラにライムを絞って一気に呷った。
「研修医をしている時、救命救急にいました。
血だらけで頭蓋骨が割れて運ばれて来る患者さんもいました。でも死なない。
そして平気で会話をして歩いているひとが5分後、突然心停止してしまい、亡くなってしまう。
私はそんな現場に何度も立会いました。
先生は素敵な人です、しあわせになって下さい」
「ねえ先生、私としてみない?」
「セックスをですか?」
「そう。してみない? この私と。 結構評判いいのよ、私」
静香は清彦の膝の上に向かい合わせに座った。
「先生、娘たちが見たらびっくりしますよ」
「大丈夫、あの娘たちは2階でお勉強しているから」
「ダメですよ静香先生」
「いいじゃないのよ~、減るもんじゃないんだから」
「止めて下さい静香先生、早く降りて下さい」
「チュウしちゃうもんねー」
そこへ奈々と春菜がすっ飛んでやって来た。
「いーけないんだあ、いけないんだ~。 セーンセイに言ってやろう」
「チッ うるさいわね~、今はプライベートなの! アンタたちは2階でお勉強でもしているか、チョコミント・
アイスでも食べてAVでも観ていなさい!」
「さっきコンソメ・キックを奈々と食べて観たからもういいです」
「コレは大人の話なの、子供は邪魔しないで!」
「それじゃあ先生、今日はもう遅いから寝ましょうよ」
「寝るわよ、これから清彦とチョメチョメしながら」
「私たちも一緒に寝まーす! パパと静香先生と一緒に!」
「5P? いえ、そうなると乱交? 乱交パーティなのね?」
「静香先生、アダルトビデオの見過ぎですよ。いいから早くお風呂に入って一緒に寝ましょうよ、修学旅行の時みたいに恋バナしたり枕投げしましょうよ~」
「あはははは。そうだね? 今日は客間でみんなで寝ようか?」
「うん、そうしましょうよ! 奈々、パパ、私、そして静香先生の順で」
「何をバカなこと言っているの? 清彦と私が同じお布団でアンタたちはずっと端、廊下で寝なさい!」
「先生ばっかりずるーい。みんなのパパさんだよ」
「私の清彦よ!」
「私のパパだよ!」
「まあまあ、それじゃあ「あみだくじ」で決めようじゃないか?」
清彦はメモ用紙に「あみだくじ」を引いた。
「私はここ」
「それじゃあ私はここね?」
「となると静香先生はここかあ。文句はないわよね?」
すると結果は同じだった。
奈々、清彦、春菜、静香の順になった。
「チッ お風呂入って来る!」
「先生行ってらっしゃーい」
静香は風呂場に行った。
「パパ、ごめんなさいね? 邪魔しちゃって」
「ありがとう奈々、春菜ちゃん。お陰で助かったよ」
「でも本当はしたかったりして?」
「あはははは もう僕にそんな元気はないよ」
「パパはママ一筋だもんね?」
「そうだね? 奈々」
だがその時のパパは少し寂しそうだった。
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