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第三章 街に潜む蜘蛛
第37話 隠し通路
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俺とアベルは手分けして屋敷の中を探索し始めた。なんだか廃墟荒らししているみたいで気が引けるが、仕方ない。アベルが1階部分を探索しているので、俺は2階を探索することにした。
2階には、書庫がありそこの本棚には年代物の貴重な本があった。既に廃墟になってかなりの年月が経っているはずなのに、誰にも持ち出されていないのだ。もし、持ち出して売れば一般的な商人の1年分の収入にはなるくらい貴重な古書があった。と言っても俺は鑑定士ではないので、保存状態等を含めた減価償却の分を見極められない。もしかしたら、そこまで価値がないのかもしれない。
まあ、廃墟荒らしをしている盗人は本の価値なんてわからないだろう。その辺はやはり教育の差というものだ。まともな教育を受けていれば、盗人なんてしなくても食っていけるだけの職には就ける。
俺はなんとはなしにその中の一冊の本を手に取った。Sランク冒険者……? なんだこの本は。Sランクってなんだ? 冒険者はA~Fランクまでしかないはずだ。SってことはFより下か?
その本は保存状態が悪く、ボロボロでところどころ日焼けしている。文字はかろうじて読める状態だが、古本屋に売るにしても二束三文で買いたたかれるのがオチだろう。
Sランク冒険者は、アタッカー、タンク、バッファー、ヒーラー、レンジャーのいずれにも属さない特殊な役割を与えられる。Sランク認定された者は、死亡するか本人の意思で退任する以外にはランクが変動することはない。
Sランク冒険者は世界で12人しかいないAランク冒険者よりも更に希少な存在であり、この世に5人しか存在することができない。それぞれの5人のロールは、聖騎士、賢帝、勇者、剣神…………
ここから先は文字が掠れて読めない。なんだ。最後の1人はどんなロールの名前なんだ? 気になるな。
まあ、実際にSランク冒険者なんて存在はないし、昔の神話かこの地方に伝わる子供のおとぎ話かなんかだろう。
俺は深く気にせず本を棚に戻して、探索を続行することにした。
書庫から出るとアベルが血相抱えて俺の元に近寄ってきた。
「リオンさん! リオンさん! 大変です!」
「おお、どうしたアベル? ネズミが変な虫を齧ってるグロテスクな光景でも見つけたか?」
「そんなんじゃありませんって! 見つけたんですよ! 隠し通路です! 隠し通路!」
「なんだって?」
この屋敷に隠し通路がある? つまり、その先にアラクノフォビアがいるということか?
「リオンさん! すぐにその隠し通路に向かいましょう!」
アベルは俺の腕を掴みぐいぐいと引っ張った。俺は思わず転びそうになったが、なんとか踏ん張って耐える。
「お、おい。落ち着けってアベル!」
「これが落ち着いていられますか! ぐずぐずしていたらまた逃げられます!」
「アベル。さっきと同じ失敗を繰り返すつもりか? 1度冷静になれ。慌てたところで良いことはなにもない」
俺の言葉に思うところがあったのか、アベルは少し固まった後に俺の腕を離した。
「すみません。レンジャーの僕が冷静さを欠いたらダメですよね」
「ああ。とりあえず、今日のところは引き上げよう」
「なぜですか! アラクノフォビアを追いつめるチャンスですよ!」
「冷静になれアベル。奴がいつからこのブルムの街にいるのか知らないが、ここまで見つかってないってことはなにか理由があるはずだ。例えば、出入り口付近に罠を仕掛けてあったりとかな」
「あ……」
アベルはハッとした表情をした。
「アベルは既にパレーツで魔力を消耗しきっている。万全な状態とは言えない。罠を感知できるレンジャーのアベルがそんな状態では、俺たちが罠にかかって全滅する恐れがある。きっちり、魔力を完全回復させてから挑むべきだ」
「はい。すみません」
アベルはシュンとして落ち込んでしまった。
「とりあえず、セオドアがやってくるまで待とう。アイツと打ち合わせをして、この屋敷に乗り込む日取りを決めるぞ」
「はい」
◇
アベルの魔力も完全に回復し、万全の状態になり屋敷に乗り込む算段がついた。屋敷の探索許可はセオドアがギルドに手続きをしてくれた。流石にモンスターの討伐目的とはいえ、廃墟に不法侵入するのは後々問題になるだろう。その心配をしなくて済むようになったのはありがたいことだ。Bランク冒険者の地位様様といったところか。
「リオンの旦那もアベルの坊やも準備はいいか?」
セオドアが帽子の唾を指で押し上げるいつもの仕草をする。
「はい」
「ああ。大丈夫だ」
「よし。それでは作戦のおさらいだ。今回の目的は当然のことながらアラクノフォビアの討伐だ。この中にはアタッカーのロールを持っているやつはいない。だから、誰が止めを刺しても問題はない。そこまではいいか?」
「ああ」
今回の依頼主はセオドアだ。つまり、セオドアの意向に沿う必要がある。セオドアも経験豊富なBランク冒険者だ。作戦に穴があるような心配事はしていない。
「ヒーラーのリオンの旦那は回復。俺様はバフをかける。普段の戦闘ならランク維持のためにこれらをする必要があるが、今回はそういうのは意識しなくていい。バフはかけたいやつがかければいいし、回復もできるやつが行うのが筋ってものだ。俺様も一応は回復魔法の心得はある。と言っても応急手当くらいにしかならないけどな」
Bランク冒険者ともなると万一の時に備えて、自分のロール以外のこともできるようになっているものだ。セオドアも低ランクのヒーラーやアタッカーに負けないくらいの技量は持っていると思っていい。
「ただ、開幕のバフは俺様がかける。これはバフが重複することを避けるためだ。別にランク維持を気にしての行動じゃないぜ」
セオドアが小粋なギャグを挟む。まあ、それがランク維持が目的かどうかなんてのは俺からしたらどうでもいいことだ。
「前衛はリオンの旦那と俺様が担う。アベルの坊やは後衛で支援してな」
「はい」
アベルはグッとボウガンを握りしめた。
「アベル。気持ちはわかるが、自分で止めを刺そうだなんて思うなよ」
「わかってますリオンさん。僕の目的はアラクノフォビアの血清を手に入れることです。兄さんの仇だとかそういうことは思わないようにしてます」
「ああ。わかればいいんだ。それとアベル。もう1つ言っておくことがある。もし……万一だ。前衛の俺とセオドアがやられたら、真っ先に逃げろ」
「え?」
アベルは呆気にとられたような顔をした。
「おいおい。リオンの旦那よぉ。随分と弱気じゃねえのか? 俺様たちがやられるわけねえだろうが」
「ああ。俺もやられるとは思ってはいない。ただ、万一の時のことでもしっかりと打ち合わせをしておかないと、人間はいざという時動けなくなるものだ。俺とセオドアと同年代の冒険者は既に引退しているものもいる。俺たちはそういう歳だ。若年層を守るために散ったところで悔いはない。ただ、アベル。お前はまだ若い。何度だってやり直せる機会はあるんだ。まずは自分が生き残ることを考えろ。生きてさえいれば再挑戦できる……その時は、俺たちより強い冒険者を連れてもう1度アラクノフォビアに挑むといい」
これは大切なことだ。アラクノフォビアの実力が未知数な以上は起こりえる未来。その時に全員死亡したとなったら笑い話にもならない。誰かが生き残ってさえくれれば未来に繋がる。
「面白い冗談だなリオンの旦那。俺たち以上の冒険者がそう簡単に見つかるかってんだ。それこそAランク冒険者が出動する事態になるぜ?」
「ああ……最悪そうなるかもな」
場の空気が一瞬にして重くなる。だが、俺は間違ったことは言ったつもりはない。
「や、辞めて下さいよリオンさん。そんな縁起でもないこと。みんなで一緒に帰りましょうよ」
「ふっ……そうだな。それが一番だ」
「ははは。ちげえねえぜ?」
重くなった場の空気が少し和らいだ。
「さあ、行くぞ。2人共。蜘蛛野郎に俺たちの実力を見せつけてやろうぜ」
2階には、書庫がありそこの本棚には年代物の貴重な本があった。既に廃墟になってかなりの年月が経っているはずなのに、誰にも持ち出されていないのだ。もし、持ち出して売れば一般的な商人の1年分の収入にはなるくらい貴重な古書があった。と言っても俺は鑑定士ではないので、保存状態等を含めた減価償却の分を見極められない。もしかしたら、そこまで価値がないのかもしれない。
まあ、廃墟荒らしをしている盗人は本の価値なんてわからないだろう。その辺はやはり教育の差というものだ。まともな教育を受けていれば、盗人なんてしなくても食っていけるだけの職には就ける。
俺はなんとはなしにその中の一冊の本を手に取った。Sランク冒険者……? なんだこの本は。Sランクってなんだ? 冒険者はA~Fランクまでしかないはずだ。SってことはFより下か?
その本は保存状態が悪く、ボロボロでところどころ日焼けしている。文字はかろうじて読める状態だが、古本屋に売るにしても二束三文で買いたたかれるのがオチだろう。
Sランク冒険者は、アタッカー、タンク、バッファー、ヒーラー、レンジャーのいずれにも属さない特殊な役割を与えられる。Sランク認定された者は、死亡するか本人の意思で退任する以外にはランクが変動することはない。
Sランク冒険者は世界で12人しかいないAランク冒険者よりも更に希少な存在であり、この世に5人しか存在することができない。それぞれの5人のロールは、聖騎士、賢帝、勇者、剣神…………
ここから先は文字が掠れて読めない。なんだ。最後の1人はどんなロールの名前なんだ? 気になるな。
まあ、実際にSランク冒険者なんて存在はないし、昔の神話かこの地方に伝わる子供のおとぎ話かなんかだろう。
俺は深く気にせず本を棚に戻して、探索を続行することにした。
書庫から出るとアベルが血相抱えて俺の元に近寄ってきた。
「リオンさん! リオンさん! 大変です!」
「おお、どうしたアベル? ネズミが変な虫を齧ってるグロテスクな光景でも見つけたか?」
「そんなんじゃありませんって! 見つけたんですよ! 隠し通路です! 隠し通路!」
「なんだって?」
この屋敷に隠し通路がある? つまり、その先にアラクノフォビアがいるということか?
「リオンさん! すぐにその隠し通路に向かいましょう!」
アベルは俺の腕を掴みぐいぐいと引っ張った。俺は思わず転びそうになったが、なんとか踏ん張って耐える。
「お、おい。落ち着けってアベル!」
「これが落ち着いていられますか! ぐずぐずしていたらまた逃げられます!」
「アベル。さっきと同じ失敗を繰り返すつもりか? 1度冷静になれ。慌てたところで良いことはなにもない」
俺の言葉に思うところがあったのか、アベルは少し固まった後に俺の腕を離した。
「すみません。レンジャーの僕が冷静さを欠いたらダメですよね」
「ああ。とりあえず、今日のところは引き上げよう」
「なぜですか! アラクノフォビアを追いつめるチャンスですよ!」
「冷静になれアベル。奴がいつからこのブルムの街にいるのか知らないが、ここまで見つかってないってことはなにか理由があるはずだ。例えば、出入り口付近に罠を仕掛けてあったりとかな」
「あ……」
アベルはハッとした表情をした。
「アベルは既にパレーツで魔力を消耗しきっている。万全な状態とは言えない。罠を感知できるレンジャーのアベルがそんな状態では、俺たちが罠にかかって全滅する恐れがある。きっちり、魔力を完全回復させてから挑むべきだ」
「はい。すみません」
アベルはシュンとして落ち込んでしまった。
「とりあえず、セオドアがやってくるまで待とう。アイツと打ち合わせをして、この屋敷に乗り込む日取りを決めるぞ」
「はい」
◇
アベルの魔力も完全に回復し、万全の状態になり屋敷に乗り込む算段がついた。屋敷の探索許可はセオドアがギルドに手続きをしてくれた。流石にモンスターの討伐目的とはいえ、廃墟に不法侵入するのは後々問題になるだろう。その心配をしなくて済むようになったのはありがたいことだ。Bランク冒険者の地位様様といったところか。
「リオンの旦那もアベルの坊やも準備はいいか?」
セオドアが帽子の唾を指で押し上げるいつもの仕草をする。
「はい」
「ああ。大丈夫だ」
「よし。それでは作戦のおさらいだ。今回の目的は当然のことながらアラクノフォビアの討伐だ。この中にはアタッカーのロールを持っているやつはいない。だから、誰が止めを刺しても問題はない。そこまではいいか?」
「ああ」
今回の依頼主はセオドアだ。つまり、セオドアの意向に沿う必要がある。セオドアも経験豊富なBランク冒険者だ。作戦に穴があるような心配事はしていない。
「ヒーラーのリオンの旦那は回復。俺様はバフをかける。普段の戦闘ならランク維持のためにこれらをする必要があるが、今回はそういうのは意識しなくていい。バフはかけたいやつがかければいいし、回復もできるやつが行うのが筋ってものだ。俺様も一応は回復魔法の心得はある。と言っても応急手当くらいにしかならないけどな」
Bランク冒険者ともなると万一の時に備えて、自分のロール以外のこともできるようになっているものだ。セオドアも低ランクのヒーラーやアタッカーに負けないくらいの技量は持っていると思っていい。
「ただ、開幕のバフは俺様がかける。これはバフが重複することを避けるためだ。別にランク維持を気にしての行動じゃないぜ」
セオドアが小粋なギャグを挟む。まあ、それがランク維持が目的かどうかなんてのは俺からしたらどうでもいいことだ。
「前衛はリオンの旦那と俺様が担う。アベルの坊やは後衛で支援してな」
「はい」
アベルはグッとボウガンを握りしめた。
「アベル。気持ちはわかるが、自分で止めを刺そうだなんて思うなよ」
「わかってますリオンさん。僕の目的はアラクノフォビアの血清を手に入れることです。兄さんの仇だとかそういうことは思わないようにしてます」
「ああ。わかればいいんだ。それとアベル。もう1つ言っておくことがある。もし……万一だ。前衛の俺とセオドアがやられたら、真っ先に逃げろ」
「え?」
アベルは呆気にとられたような顔をした。
「おいおい。リオンの旦那よぉ。随分と弱気じゃねえのか? 俺様たちがやられるわけねえだろうが」
「ああ。俺もやられるとは思ってはいない。ただ、万一の時のことでもしっかりと打ち合わせをしておかないと、人間はいざという時動けなくなるものだ。俺とセオドアと同年代の冒険者は既に引退しているものもいる。俺たちはそういう歳だ。若年層を守るために散ったところで悔いはない。ただ、アベル。お前はまだ若い。何度だってやり直せる機会はあるんだ。まずは自分が生き残ることを考えろ。生きてさえいれば再挑戦できる……その時は、俺たちより強い冒険者を連れてもう1度アラクノフォビアに挑むといい」
これは大切なことだ。アラクノフォビアの実力が未知数な以上は起こりえる未来。その時に全員死亡したとなったら笑い話にもならない。誰かが生き残ってさえくれれば未来に繋がる。
「面白い冗談だなリオンの旦那。俺たち以上の冒険者がそう簡単に見つかるかってんだ。それこそAランク冒険者が出動する事態になるぜ?」
「ああ……最悪そうなるかもな」
場の空気が一瞬にして重くなる。だが、俺は間違ったことは言ったつもりはない。
「や、辞めて下さいよリオンさん。そんな縁起でもないこと。みんなで一緒に帰りましょうよ」
「ふっ……そうだな。それが一番だ」
「ははは。ちげえねえぜ?」
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