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ファイル:6 悪夢再び

降臨

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 慎二からの手紙が、一週間前に届き。
 天子とアスィールと会議を開いてから、兄さんたちと、話し合い、この地ローランド大陸に、民衆たちの目を盗んで野営地を建てた。
 そして生唾を飲んで待っていた『災厄』は、一閃の雷と共にこの地に舞い降りたわけだ。
『災厄』は地上に飛び降りるなり、その大樹へ向けて右手を掲げ、握り潰す。
 そう。彼が求めるモノ……
 慎二郎さんが作り上げた永久機関、インフィニティーだ。
「クククックククククッ。」
「待っていたぞ!! 慎ぅん二じぃ郎ぉぉぉぉぉぉぉう。」
 咆哮により、あたりの鳥たちが飛び立つ。
 自体を察した極東の人間が、民衆の誘導を始める。
 僕は腰のエクスカリバーを抜くと構えた。
「セイ!! 頼む。」
 吸血鬼の呪いが消えてしまった僕は、彼女の力を借りて、神器の力を解放する。
「任せてといて!! 」
「「---インフィニット・レイअमिताभ---」」
 溢れんばかりの光明が、彼の身体を貫いた。
 こんな、あっさり終わるはずがない。
 なら慎二は僕らに警告しなかっただろう。
「なんだ? お前は? 」
 認識した頃には、僕は厄災に首根っこをつかまれていた。
 九条念??
 そうだ。
 かつてこの世界を混乱させたテロリストが、今は、厄災の下僕と成り下がっている。
「すまんな九条。世の力も万全でないゆえ、このような芸道をさせてしまって。」
 災厄は横目で彼女を見る。
「いえいえ、さま。何卒お申し付けください。」
 首はさらに締め上げられる。
 意識が無くなるその刹那。
--- enchantment legionエンチャント・レギオン---
 インフィニティへと、自身の代行者の力を使い、潜伏していた兄さんたちに繋いだ。
 突如現れた四つの魔術反応。
 大兄弟助も、流石にあわわてて、僕から手を離すと、バックステップで下がった。
「させるかよぉ!! 」
 プラウド兄さんが、自身の能力で、水をムチのように扱うと、彼を捕える。
「へっ、ナイスアニキィ!! 」
 カインズ兄さんは、両手に気砲をためると、彼の胸目掛けて打ち出す。
 九条は……流石にこの状況にも慣れていた。
「なかなか反応が良いですね。」
 ブレイブ兄さんが魔法を発動させようとしている九条に、光を凝縮して放った。
 彼女の意識が掻き乱され、魔法が中断され、同時に彼女の視界を奪う。
 大兄弟助は自分を庇おうとする九条を弾き飛ばすと、気砲を全身で受け止めた。
 胸に大きな穴が穿つ。
 彼は涼しい顔をしながら地上に飛び降りると、身体をさせながら……
 どうやら僕らにようだった。
「お前だな。割田優が力を与えたという人物は。」
 僕はエクスカリバーを鞘にしまうと、軽くお辞儀をした。
「父……シド・ブレイクの子で代行者のカーミラ・ブレイクです。私に貴方と戦う理由はありません。引いていただけませんか? 」
 彼は嘲笑した。
「レプリカント風情が何を言い出すかと思いきや。」
「お前になくても世にはある。」
「それに、よ。なぜ下等生物に協力する? 」
「カーミラは、人間でありながら、神族の私に見下すこともなく、遜ることもなく、ただ平等に接してくれたただ一人の
 同胞? 
 僕はやっとのことでレンのことを言っているのだと確信した。
 神族……
 薄々気がついていた。
 なら彼にも魔法が?
「まぁ良い。それより返せ。を。」
 世が作った?
 考えるより先にジゲンキリが答える。
---断る。私はアドナイのパートナーだから。だから貴方の元には戻れない---
「剣がw 剣が意志を持つか!! 面白いな。ちょっと興味が湧いてきた。世が慎二郎を手に入れる前に、少し遊んでやる。」
「弟助さま!! 」
 九条が彼を止めた。
 彼女は、ことが長引くことで、事態が悪化することに気づいている。
「まぁそうせくな。お前も、世の介護ばかりで疲れただろう? 憂さ晴らしに遊んでみたらどうか? 」
良いんですけどね!! 」
 九条は、兄さんたちの元へとワープし、彼らを殴り始めた。
 大兄弟助はというと、右腕みぎかいなに真紅の剣を取り出し、僕に突きつけてくる。そしてそれから、彼は胸をさすると、もどかしそうにした。
「やはり、ゲイボルグにつけられた傷がまだ癒えぬな。」
 彼は大樹の根に触れた。
「やめろ!! それはみんなが生きるための力だ。慎二郎さんの世界に対する愛だ。」
「そんなこと誰が決めた? 力が全てじゃ。だからお前は今、皇帝として君臨しているのだろう? 」
「くだらない『ままごと』のためにな。」
 僕は…….僕は……「僕は、誰かを支配するために、力を使ったことなどありません。」
「ですが……貴方が、誰かを力で捩じ伏せようとするモノなら。」
「見過ごすわけには行けません。僕は代行者ですから。」
 そうだ。僕は神の代理。
 誰に対しても公平でなければならない。
 たとえ、この剣で誰かを傷つけるようになろうとも。
「そのような甘い考えでは身を滅ぼすぞ。世がそれを教えてやる。」
 平原に風が吹く。
 僕を撫でて、彼を撫でる。
 まるでそれは、ことの結末を待ち侘びるかのように。

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