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次元の腕
調律者
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僕は、植生のあべこべな草原を抜けて、例の大理石の宮殿を登ると、例の女はそこにいた。
「こんにちは、魔王様気分はどうかな? 」
「最悪だよ。テメェのせいでな。」
ティアマトは薄ら笑いを浮かべると、人差し指で僕のディアストの方をツンツンと突いた。
「お前が、人間に対して反抗しなければ、フェイカーは、もっと穏便にことを済ませたかも知れないわね。」
「お前が仕向けたことだろ。アスィールを処刑させる気だったな。」
「そうだよ。ことが済めば、キミも、そこの魔法使いもね。」
「英雄システムをデザインして、導入したのは、ボクじゃなくてアプスー。そう思えば、ボクとアイツは元から同じ方向を向いていなかったのかも知れない。」
僕は彼女を払いのけると、彼女は再び玉座に戻った。
「なぜ、世界を調律しようとする? 」
「それがボクの仕事だから。ボクは、君たちを聡く導こうと思っていたのに、君たちは、争いばかり。そのための魔族だった。」
「ボクは人間にアメを沢山与えたはずだよ。」
「だけどね、人間は醜く、そのアメに群がるだけだ。」
「蛆虫のようにね。」
「もう良いよ。お前に神を名乗る資格はない。」
「キミにはあるのかな? 」
「僕の資格は、今、そこにあるよ。」
女神は嗜虐的な笑みを浮かべると、無数の黒い渦を出現させる。
「魔法……だけどそれはキミの能力じゃないな。ふっ……借り物か。」
「調子に乗るなよクソガキ。お前のソレも、元はと言えば、アプスーのモノだ。お前の力じゃない。」
「コレは僕の力。僕の魔法。師匠から受け継いだモノです。」
飛鷹はディアストにとって負担が大きい。
ここは、事前に付けておいた、ワームホールで……
[神威]
「ディアスト!! 」
「お前、俺にキイ使ってんだろ? そう言うことされるのが、まっぴらなんだよ!! 」
黒い渦が展開し、大理石を全て吸い込む。
僕は、光よりも速く、その渦から逃れた。
目の前にあった光景は早々に姿を消し、当たり一体に夜空が広がる。
ティアマトは、両手で黒い球体を作り出すと、ソレを勢いよく飛ばしてくる。
神威と慧眼の力を駆使して、ソレを避ける。
「この数じゃ捌ききれねえぞ。」
---雷斬--- [裏斬]
僕たちには同時に二つの魔導剣を呼び出すと、その黒い球体を斬り刻んだ。
超重力の球体が、魔導剣に触れるたびに、ソレは音もなく崩れ去る。
その度に僕らは新しい刀を打った。
彼女との無限に近い距離をカンマ五秒で詰めると、彼女へと斬りかかる。
---[紫電斬]---
「こい!!グラビィティア!! 」
漆黒の球体の一つが崩れ、両刃の剣へと形を変えて、僕たちの刀を受け止めた。
彼女は左手にもう一つを出現させると、ソレで僕たちの魔導剣を砕いた。
「最初からこうしておけば良かった。」
彼女は明らかに力を使いこなすことに慣れていない。
ならば、コチラにも勝機はあった。
[ジゴ・エルダー]
僕たちもなんの考えも無しに、神に挑もうとしたわけではない。
エスカリーナがそうしたように、僕たちも魔王城の文献を読み漁った。
先代の魔王が、ティアマトと契約を結べた理由。
ジゴ・エルダーは、ティアマトの両手の剣に触れると、大きな爆発を起こして、消え去った。
もちのろん、こんなことで神が死ぬとは思っていない。
コレは牽制だ。
奴がアレを使えなくなれば、手数の多い、コチラの方が有利になる。
「ゴホゴホ、ちょこざいな。」
彼女は足元に黒い渦を出現させると、全身をバネのように使い、コチラへと突っ込んできた。
彼女の拳を両手で受け止めて、押し返す。
よろめいたところに、回し蹴りを喰らわせる。
彼女は等速直線移動で、宇宙の果てに吹っ飛ぶと、自身の力で少しずつ勢いを殺しながら停止した。
そこに僕たちが突っ込む。
僕たちは二対の彗星となりながら、宇宙の中を駆け巡り、互いに互いをぶつけ合った。
殴られたアザを、片っ端から回復魔術で再生していく。
対して、彼女は、僕たちに殴られるたびに、どんどん傷の数を増やしていく。
行ける!!
確信を得た僕らは、聖なる雷と地獄の雷を同時に放った。
[シャドラバ]
二対の雷は、グルグルと螺旋を描くと、やがて鮮やかな紫色に変色し、ティアマトを襲った。
「ああああ!! 」
ティアマトは雷に身を焼かれて、丸焦げになる。
僕たちはゆっくりと彼女へと詰め寄ると、魔王城の宝物庫にあった古びた短剣を取り出すと、彼女へと突き刺そうとした。
その間際、彼女は、肘を勢いよく後ろに突き出し、何かを押すような動作を行う。
ソレと同時に宇宙が底から徐々に崩れていき、僕たちを飲み込んだ。
その間際、ディアストが、ジゴ・エルダーを必死に放っていたのを覚えている。
僕は先に意識を失ってしまい。
気がついた時には、魔王城の玉座で、足を組んでいた。
「おはようございますアポカリプス様。神殺しは終わりましたか? 」
「あと一歩というところで……逃してしまった。」
彼女はクスクスと笑った。
「でしょうね。さぁ、食事にしましょう。エスカリーナ様がお待ちですよ。」
「済まない。すぐに行く。」
「こんにちは、魔王様気分はどうかな? 」
「最悪だよ。テメェのせいでな。」
ティアマトは薄ら笑いを浮かべると、人差し指で僕のディアストの方をツンツンと突いた。
「お前が、人間に対して反抗しなければ、フェイカーは、もっと穏便にことを済ませたかも知れないわね。」
「お前が仕向けたことだろ。アスィールを処刑させる気だったな。」
「そうだよ。ことが済めば、キミも、そこの魔法使いもね。」
「英雄システムをデザインして、導入したのは、ボクじゃなくてアプスー。そう思えば、ボクとアイツは元から同じ方向を向いていなかったのかも知れない。」
僕は彼女を払いのけると、彼女は再び玉座に戻った。
「なぜ、世界を調律しようとする? 」
「それがボクの仕事だから。ボクは、君たちを聡く導こうと思っていたのに、君たちは、争いばかり。そのための魔族だった。」
「ボクは人間にアメを沢山与えたはずだよ。」
「だけどね、人間は醜く、そのアメに群がるだけだ。」
「蛆虫のようにね。」
「もう良いよ。お前に神を名乗る資格はない。」
「キミにはあるのかな? 」
「僕の資格は、今、そこにあるよ。」
女神は嗜虐的な笑みを浮かべると、無数の黒い渦を出現させる。
「魔法……だけどそれはキミの能力じゃないな。ふっ……借り物か。」
「調子に乗るなよクソガキ。お前のソレも、元はと言えば、アプスーのモノだ。お前の力じゃない。」
「コレは僕の力。僕の魔法。師匠から受け継いだモノです。」
飛鷹はディアストにとって負担が大きい。
ここは、事前に付けておいた、ワームホールで……
[神威]
「ディアスト!! 」
「お前、俺にキイ使ってんだろ? そう言うことされるのが、まっぴらなんだよ!! 」
黒い渦が展開し、大理石を全て吸い込む。
僕は、光よりも速く、その渦から逃れた。
目の前にあった光景は早々に姿を消し、当たり一体に夜空が広がる。
ティアマトは、両手で黒い球体を作り出すと、ソレを勢いよく飛ばしてくる。
神威と慧眼の力を駆使して、ソレを避ける。
「この数じゃ捌ききれねえぞ。」
---雷斬--- [裏斬]
僕たちには同時に二つの魔導剣を呼び出すと、その黒い球体を斬り刻んだ。
超重力の球体が、魔導剣に触れるたびに、ソレは音もなく崩れ去る。
その度に僕らは新しい刀を打った。
彼女との無限に近い距離をカンマ五秒で詰めると、彼女へと斬りかかる。
---[紫電斬]---
「こい!!グラビィティア!! 」
漆黒の球体の一つが崩れ、両刃の剣へと形を変えて、僕たちの刀を受け止めた。
彼女は左手にもう一つを出現させると、ソレで僕たちの魔導剣を砕いた。
「最初からこうしておけば良かった。」
彼女は明らかに力を使いこなすことに慣れていない。
ならば、コチラにも勝機はあった。
[ジゴ・エルダー]
僕たちもなんの考えも無しに、神に挑もうとしたわけではない。
エスカリーナがそうしたように、僕たちも魔王城の文献を読み漁った。
先代の魔王が、ティアマトと契約を結べた理由。
ジゴ・エルダーは、ティアマトの両手の剣に触れると、大きな爆発を起こして、消え去った。
もちのろん、こんなことで神が死ぬとは思っていない。
コレは牽制だ。
奴がアレを使えなくなれば、手数の多い、コチラの方が有利になる。
「ゴホゴホ、ちょこざいな。」
彼女は足元に黒い渦を出現させると、全身をバネのように使い、コチラへと突っ込んできた。
彼女の拳を両手で受け止めて、押し返す。
よろめいたところに、回し蹴りを喰らわせる。
彼女は等速直線移動で、宇宙の果てに吹っ飛ぶと、自身の力で少しずつ勢いを殺しながら停止した。
そこに僕たちが突っ込む。
僕たちは二対の彗星となりながら、宇宙の中を駆け巡り、互いに互いをぶつけ合った。
殴られたアザを、片っ端から回復魔術で再生していく。
対して、彼女は、僕たちに殴られるたびに、どんどん傷の数を増やしていく。
行ける!!
確信を得た僕らは、聖なる雷と地獄の雷を同時に放った。
[シャドラバ]
二対の雷は、グルグルと螺旋を描くと、やがて鮮やかな紫色に変色し、ティアマトを襲った。
「ああああ!! 」
ティアマトは雷に身を焼かれて、丸焦げになる。
僕たちはゆっくりと彼女へと詰め寄ると、魔王城の宝物庫にあった古びた短剣を取り出すと、彼女へと突き刺そうとした。
その間際、彼女は、肘を勢いよく後ろに突き出し、何かを押すような動作を行う。
ソレと同時に宇宙が底から徐々に崩れていき、僕たちを飲み込んだ。
その間際、ディアストが、ジゴ・エルダーを必死に放っていたのを覚えている。
僕は先に意識を失ってしまい。
気がついた時には、魔王城の玉座で、足を組んでいた。
「おはようございますアポカリプス様。神殺しは終わりましたか? 」
「あと一歩というところで……逃してしまった。」
彼女はクスクスと笑った。
「でしょうね。さぁ、食事にしましょう。エスカリーナ様がお待ちですよ。」
「済まない。すぐに行く。」
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