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第7章【愛の言葉】
55罪 在りし日の過去を垣間見よ・3 (5)②
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「…………ともなくない」
「え? ちゃんと言ってくれないとわかりませんよー? ハルナ様―?」
そう言って、ケタケタと笑う一人のメイド。
「あ。ねえねえ、このこと、王城中に流さない? それでもここでいい暮らしをしようと体を売るのか、気にならない?」
「あ、確かにー! それはいいわね。ハルナ様のお母様は、お金が欲しいから不特定多数の男に股開いてまーすって。エッチするのが大好きなアバズレでーす。お金をくれれば何回だってヤらせてくれますよーって」
「あんた、噂の内容えげつなー」
そう言いながらフルフルと小さく震え続けるだけのハルナに興味を失った二人のメイドは踵を返して、ハドリー達のいる部屋の前から立ち去ろうとした。
行かせてしまったら、恐らくメイド達の言う内容のうわさがこの王城の中で飛び交うだろう。そして、いろんな人からそういう目でハドリーは見られることになるだろう。
セックスをするのが好きなアバズレと、ずっとずっと言われ続けるだろう。もしかしたら、ハドリーが望まないところで、いい暮らしをするためとは無関係に、体の関係を迫られるかもしれない。
幼いながらも、その噂がハドリーにとって『良い』ものではないことを、即座に理解した。そして同時に、そんな事を企てるメイド達に怒りを覚えた。
(おかあさまは……おかあさまは…………そんなんじゃ…………)
ぐらっ。
「きゃっ!?」
歩いていたメイド達が悲鳴を上げてその場に倒れこんだ。まるでバランスを崩したように床に座り込み、困惑した表情を浮かべていた。
そして、ハルナの方を見た瞬間――――
「ば……」
(ば?)
「バケモ――――――」
バケモノ、と言おうとしたのだろう。けれどその言葉はすべてを紡ぐことなく消え去った。
それはなぜか。ハルナは分かっていなかった。ただ、自分の両手を見つめて、それから自身の足元から生まれた少し紫がかった黒い四本の触手のような手を見つめた。その黒い手の中に、先ほどまでハルナとハドリーに対して意地悪をしていたメイドの顔が握られていた。
「……ぇ?」
かすれた声を漏らし、床に倒れこんでいる二人のメイドに視線を向けた。
「え? ちゃんと言ってくれないとわかりませんよー? ハルナ様―?」
そう言って、ケタケタと笑う一人のメイド。
「あ。ねえねえ、このこと、王城中に流さない? それでもここでいい暮らしをしようと体を売るのか、気にならない?」
「あ、確かにー! それはいいわね。ハルナ様のお母様は、お金が欲しいから不特定多数の男に股開いてまーすって。エッチするのが大好きなアバズレでーす。お金をくれれば何回だってヤらせてくれますよーって」
「あんた、噂の内容えげつなー」
そう言いながらフルフルと小さく震え続けるだけのハルナに興味を失った二人のメイドは踵を返して、ハドリー達のいる部屋の前から立ち去ろうとした。
行かせてしまったら、恐らくメイド達の言う内容のうわさがこの王城の中で飛び交うだろう。そして、いろんな人からそういう目でハドリーは見られることになるだろう。
セックスをするのが好きなアバズレと、ずっとずっと言われ続けるだろう。もしかしたら、ハドリーが望まないところで、いい暮らしをするためとは無関係に、体の関係を迫られるかもしれない。
幼いながらも、その噂がハドリーにとって『良い』ものではないことを、即座に理解した。そして同時に、そんな事を企てるメイド達に怒りを覚えた。
(おかあさまは……おかあさまは…………そんなんじゃ…………)
ぐらっ。
「きゃっ!?」
歩いていたメイド達が悲鳴を上げてその場に倒れこんだ。まるでバランスを崩したように床に座り込み、困惑した表情を浮かべていた。
そして、ハルナの方を見た瞬間――――
「ば……」
(ば?)
「バケモ――――――」
バケモノ、と言おうとしたのだろう。けれどその言葉はすべてを紡ぐことなく消え去った。
それはなぜか。ハルナは分かっていなかった。ただ、自分の両手を見つめて、それから自身の足元から生まれた少し紫がかった黒い四本の触手のような手を見つめた。その黒い手の中に、先ほどまでハルナとハドリーに対して意地悪をしていたメイドの顔が握られていた。
「……ぇ?」
かすれた声を漏らし、床に倒れこんでいる二人のメイドに視線を向けた。
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