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第7章【愛の言葉】
55罪 在りし日の過去を垣間見よ・3 (5)①
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「おかあ……さま?」
そんな様子を扉の隙間から見つめていたハルナは、か細く声を漏らして一歩後ずさった。
それでも、秘密を知れるという好奇心から完全に扉の前から退くことが出来なかった。そうしているうちに、ハドリーは神国王である深月の下腹部に顔を埋めた。それが何をしているのか、四歳のハルナには全くもって意味が分からなかった。
今度は四つん這いになり顔を埋めているハドリーのおしりのあたりに一人の男が膝立ちで近寄った。体がぴったりと密着した瞬間、ハドリーの身体が大きく前に揺れた。深月の下腹部に埋めていた顔が、一瞬あがり、口を大きく開けてハクハクと何かを呟いているようにも見えた。
「……なにを、してる……の?」
何をしているのか分からない。ただ、ハドリーから聞かされていた、大切な人以外には絶対見せてはいけない、触らせてはいけないという部分をさらけ出し、複数の男性に触らせ、そして複数の男性のものを触っているという事実だけは理解できた。
(たいせつなひとだけにしか……だめって……いってた、のに?)
ダメと言っていた事をしているハドリーを見ていると、上手に、不自由なく生きるためには触らせた方がいいのではないかと、幼いながらもそんな事を考えた。だって、駄目だと言っていたハドリーがそうしているのだから。ハドリーがしていることが間違っているはずがない。そう結論付けるしかなかった。
だって、大好きな父である神国王だけでなく、見知らぬ男二人にも体の余すところなく触らせているのだから。
「――――――あぁっ」
その瞬間、聞こえたハドリーの声はいつも聞いている優しくて凛とした声ではなかった。
甘く、甲高く、艶っぽい、ハルナの聞いたことのない声。
びくっと肩を揺らして、扉の中へもう一度食い入るように視線を向けた。
上手に、なに不自由なく生きる為に、ハルナはハドリーのしている行為を覚えようと思った。子は、親の背中を見て育つ――――誰かが言った言葉だった。
「あらあら。やっぱり親子ってことかしら……? こんなに夢中になっちゃって……」
「ほーんと。不特定多数の男とあんな風に関係を持ってる母親を見て平然としてるんだもの」
「あんな風にはなりたくないわよねぇ」
「わかるわー。私は絶対大好きになった人一筋よっ」
ハドリーのしていることを馬鹿にしながら笑うメイドの言葉に、ハルナはピクリと反応を示した。
ハドリーは生きていくためにしていることなのに、なぜここまで言われなければいけないのか。幼いハルナがそこまでのことを考えたのかは分からない。けれど、少なからずハルナの心に引っかかるものを覚えたのだ。
「おかあさまを……馬鹿にしないで……」
「――――ぇ? なんて?」
「馬鹿にしないでって言ったのかしら、ハルナ様? 馬鹿にしないでと言われてもねぇ……あんなみっともない事して、私達よりいい暮らしをしてるなんて……ちょっとおかしいじゃない」
ふるふると震えながら呟くハルナに、メイドの一人は腕を組んで仁王立ちの姿でハルナを見下ろした。
どんなハドリーの姿を見せても心の折れないその様子に、メイド達は少なからず苛立ちを募らせていた。
そんな様子を扉の隙間から見つめていたハルナは、か細く声を漏らして一歩後ずさった。
それでも、秘密を知れるという好奇心から完全に扉の前から退くことが出来なかった。そうしているうちに、ハドリーは神国王である深月の下腹部に顔を埋めた。それが何をしているのか、四歳のハルナには全くもって意味が分からなかった。
今度は四つん這いになり顔を埋めているハドリーのおしりのあたりに一人の男が膝立ちで近寄った。体がぴったりと密着した瞬間、ハドリーの身体が大きく前に揺れた。深月の下腹部に埋めていた顔が、一瞬あがり、口を大きく開けてハクハクと何かを呟いているようにも見えた。
「……なにを、してる……の?」
何をしているのか分からない。ただ、ハドリーから聞かされていた、大切な人以外には絶対見せてはいけない、触らせてはいけないという部分をさらけ出し、複数の男性に触らせ、そして複数の男性のものを触っているという事実だけは理解できた。
(たいせつなひとだけにしか……だめって……いってた、のに?)
ダメと言っていた事をしているハドリーを見ていると、上手に、不自由なく生きるためには触らせた方がいいのではないかと、幼いながらもそんな事を考えた。だって、駄目だと言っていたハドリーがそうしているのだから。ハドリーがしていることが間違っているはずがない。そう結論付けるしかなかった。
だって、大好きな父である神国王だけでなく、見知らぬ男二人にも体の余すところなく触らせているのだから。
「――――――あぁっ」
その瞬間、聞こえたハドリーの声はいつも聞いている優しくて凛とした声ではなかった。
甘く、甲高く、艶っぽい、ハルナの聞いたことのない声。
びくっと肩を揺らして、扉の中へもう一度食い入るように視線を向けた。
上手に、なに不自由なく生きる為に、ハルナはハドリーのしている行為を覚えようと思った。子は、親の背中を見て育つ――――誰かが言った言葉だった。
「あらあら。やっぱり親子ってことかしら……? こんなに夢中になっちゃって……」
「ほーんと。不特定多数の男とあんな風に関係を持ってる母親を見て平然としてるんだもの」
「あんな風にはなりたくないわよねぇ」
「わかるわー。私は絶対大好きになった人一筋よっ」
ハドリーのしていることを馬鹿にしながら笑うメイドの言葉に、ハルナはピクリと反応を示した。
ハドリーは生きていくためにしていることなのに、なぜここまで言われなければいけないのか。幼いハルナがそこまでのことを考えたのかは分からない。けれど、少なからずハルナの心に引っかかるものを覚えたのだ。
「おかあさまを……馬鹿にしないで……」
「――――ぇ? なんて?」
「馬鹿にしないでって言ったのかしら、ハルナ様? 馬鹿にしないでと言われてもねぇ……あんなみっともない事して、私達よりいい暮らしをしてるなんて……ちょっとおかしいじゃない」
ふるふると震えながら呟くハルナに、メイドの一人は腕を組んで仁王立ちの姿でハルナを見下ろした。
どんなハドリーの姿を見せても心の折れないその様子に、メイド達は少なからず苛立ちを募らせていた。
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