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第6章【守護者二人の過去】

45罪 必要な人①

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「そして、それが出来るのはおそらく……天界人の血を引く者のみ」
「……聖月みづきだけって事だね」
「はい」

 ひかるの言葉に聖月みづきは小さく頷き返し、そして申し訳なさそうに表情を歪めた。
 ひかる耀ひかりもハルナとゑレ妃えれひのために何かしたいと考えていることを聖月みづきは理解していたからこそ、彼らに対して申し訳なさそうな表情を浮かべたのだ。
 聖月みづきの発言は、はっきりと彼らに対して『出来ることは何もない』と言っているようなものだったから。

(……二人が何もできないわけでは……実際にはないんですけどね)

 聖月みづきだけは分っていた。彼らにも出来ることがあることを。けれど、それを何も知らないひかる耀ひかりに言う事も強要することも出来ない。
 知らずにいられるなら、きっと知らずにいた方がいい『情報』だ。だからこそ、聖月みづきは何も言わなかった。言えなかった。

聖月みづき?」
「なんでしょうか?」
「もし仮に、ハルナちゃんとゑレ妃えれひちゃんの魂から、記憶と能力を分離させて別の物に移すことができたとして……」

 そこまで告げてから、ひかるは言っていいものかと少しだけ口ごもってしまった。けれど、その止まったのはほんの数秒。普通ならば『神妙に問うために間を空けた』とスルーしてしまうような間だった。
 それに気付けたのは、双子である耀ひかりだけ。

「……リスクもなく出来るものなんですか?」

 ひかるの言葉を受け継ぐように耀ひかり聖月みづきに問いかけた。
 人の命どころか、根本的な物に手を出す行為をなんのリスクも負わずに出来るものではないと、ひかる耀ひかりも考えていた。聖月みづきは自分たちに言わないだけで、そのリスクを自分一人で負おうとしているのだと気付いた。
 それに気付けたのも、おそらく彼らの付き合いが長いから……かもしれない。

「今の神国には聖月みづきさんが必要です」
「まさか、自分が犠牲になればいい……とか考えてないよね? 聖月みづきが犠牲になったあと、神国がどうなるか考えたことある?」

 二代目神国王である深月みつきと争っていたのは何のためだったのか。何のために、聖月みづきが三代目神国王になったのか。もし、聖月みづきに何かあり、神国王の座を辞さなければならなくなった場合……おそらくその座に就くのは、天界の息の根がかかったものだろう。
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