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第4章【ずっとずっと大切な人】
28罪 おねがい②
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「俺達も、今日はいろいろあったことだし早めに寝るか」
「真さんの言葉に私も賛成です。しっかりと体を休めて、明日に備えましょう」
真の言葉に賛同するように頷きながら白卯はゆっくりと立ち上がった。そして、まだ焚火の前で座ったままのヴェル達を見下ろしながら、にっこりと優し気に微笑んだ。
今ここで無理をしても何の意味もない。明日からの旅の足取りが遅くなっては本末転倒だ。
なによりも、これからも雪と静を守りながら前世の記憶と力を取り戻す旅を続けていくのならば、二人が力を取り戻すまではヴェルや白卯達が先陣を切って守って戦わなくてはならないのだから、今のうちに体を休めるのは重要な事だった。
「そう、だね。心配は心配だけど……俺達にはどうすることも出来ないし」
そう呟くと、ヴェルも自分のテントに向かうべく立ち上がろうと膝に手を置き力を込めた。
「ねえ、ヴェルくん」
「なに? 静ちゃん」
自分だけが呼び止められたということに気付き、ヴェルは立ち上がることを一旦やめて視線を声のした方へ向けた。
そこには座るヴェルを見下ろし、近づいてくる静の姿があった。
ヴェルに声をかけた事で、それぞれテントに向かおうとしていた真と白卯の動きも止めた。いったい何の用があるというのだろうか。
「ヴェルくんにお願いがあるのよ」
「……お願い?」
訝しげに問い返してしまうのは、きっと今までの事があったからだろう。身構えてしまうのは仕方のないことだ。
だけど、それを真も白卯も知らない。知る由もないことだ。だからこそ、間をあけて少しトーンの落ちた声で問い返すヴェルの反応が理解できずに二人は一瞬だけ顔を見合わせた。
「ヴェルくんにしか頼めないことなの」
「真や白卯にも頼めないこと?」
「ええ、そうよ」
はっきりと言葉にして静に問いかけた。そして、返ってきた言葉ははっきりと肯定するものだった。
ヴェルはほんの少しだけ大きくため息をつきたそうに息を吸い込み、こらえてゆっくりとか細い息を吐いた。
「何?」
「雪ちゃんの様子を一緒に見に行ってもらえないかしら?」
「――――え?」
「聞こえなかった? 雪ちゃんの様子を――――――」
「いや、聞こえてたから‼」
再度“お願い”の内容を言葉にしようとする静を遮るように、ヴェルは大きな声を上げた。
その反応に、真も白卯も驚きの表情を浮かべてヴェルを見つめた。
「ヴェル……?」
「ヴェルさん?」
ヴェルと静の関係を、ただの恋人同士としか知らない二人からすればヴェルが声を荒らげる理由が理解できなかった。
ただの痴話げんかにしか聞こえないのだ。そのことを理解しているからこそ、ヴェルはバツの悪そうな表情を浮かべた。
「真さんの言葉に私も賛成です。しっかりと体を休めて、明日に備えましょう」
真の言葉に賛同するように頷きながら白卯はゆっくりと立ち上がった。そして、まだ焚火の前で座ったままのヴェル達を見下ろしながら、にっこりと優し気に微笑んだ。
今ここで無理をしても何の意味もない。明日からの旅の足取りが遅くなっては本末転倒だ。
なによりも、これからも雪と静を守りながら前世の記憶と力を取り戻す旅を続けていくのならば、二人が力を取り戻すまではヴェルや白卯達が先陣を切って守って戦わなくてはならないのだから、今のうちに体を休めるのは重要な事だった。
「そう、だね。心配は心配だけど……俺達にはどうすることも出来ないし」
そう呟くと、ヴェルも自分のテントに向かうべく立ち上がろうと膝に手を置き力を込めた。
「ねえ、ヴェルくん」
「なに? 静ちゃん」
自分だけが呼び止められたということに気付き、ヴェルは立ち上がることを一旦やめて視線を声のした方へ向けた。
そこには座るヴェルを見下ろし、近づいてくる静の姿があった。
ヴェルに声をかけた事で、それぞれテントに向かおうとしていた真と白卯の動きも止めた。いったい何の用があるというのだろうか。
「ヴェルくんにお願いがあるのよ」
「……お願い?」
訝しげに問い返してしまうのは、きっと今までの事があったからだろう。身構えてしまうのは仕方のないことだ。
だけど、それを真も白卯も知らない。知る由もないことだ。だからこそ、間をあけて少しトーンの落ちた声で問い返すヴェルの反応が理解できずに二人は一瞬だけ顔を見合わせた。
「ヴェルくんにしか頼めないことなの」
「真や白卯にも頼めないこと?」
「ええ、そうよ」
はっきりと言葉にして静に問いかけた。そして、返ってきた言葉ははっきりと肯定するものだった。
ヴェルはほんの少しだけ大きくため息をつきたそうに息を吸い込み、こらえてゆっくりとか細い息を吐いた。
「何?」
「雪ちゃんの様子を一緒に見に行ってもらえないかしら?」
「――――え?」
「聞こえなかった? 雪ちゃんの様子を――――――」
「いや、聞こえてたから‼」
再度“お願い”の内容を言葉にしようとする静を遮るように、ヴェルは大きな声を上げた。
その反応に、真も白卯も驚きの表情を浮かべてヴェルを見つめた。
「ヴェル……?」
「ヴェルさん?」
ヴェルと静の関係を、ただの恋人同士としか知らない二人からすればヴェルが声を荒らげる理由が理解できなかった。
ただの痴話げんかにしか聞こえないのだ。そのことを理解しているからこそ、ヴェルはバツの悪そうな表情を浮かべた。
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