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第3章【一途に想うからこそ】
20罪 在りし日の過去を垣間見よ・2⑭
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「燿っ! 耀、さんっ!」
『……待ってるよ。また……最初からだけどね』
『何度もそれを繰り返させるのは、酷だとは思いますが……また、会いましょう』
燿と耀さんがそう言った瞬間、今まで耐えていたはずの石碑が大きな音を立てて左右に真っ二つに割れた。
その瞬間、石碑の両側に佇んでいたはずの二人の姿が、泡のように消えた。
キラキラと、空に蛍が飛んでいくように。シャボン玉が上がっていくように。淡く儚く――彼らは消えた。
「――――っ」
なんでこんなに胸が痛いのか。まだ思い出してる記憶のピースでは分からない。
だけど、きっと、私のどこかの記憶の中で、この答えが分かるはずだ。分からなきゃいけない。分からなきゃおかしい。
その記憶を取り戻して初めて、私はちゃんとした意味で彼らに“久しぶり”と“会いたかった”と言えるのかもしれない。
「雪ちゃん……大丈夫?」
「うん……大丈夫、大丈夫だよ……心配してくれてありがとう、ヴェル君」
私に少しだけ近寄ってから心配そうに顔を覗き込むヴェル君に、私はにっこりと気丈に笑みを浮かべてみせた。
本当は泣きだしたいくらい私の心は悲しみを感じていた。私には戸惑うその感情を、私は心の中でひっそりと受け止めた。
だけどまだ、静やヴェル君、真兄には見せたくなかった。
私自身もまだ理解できていない、私の記憶の深いところ。そこを見せるのは、きっとまだ先だ。
「二人とも、雪ちゃんの事が大切だったのね」
「……実感、ないけどね」
静の言葉に、私は苦笑を浮かべて返した。
確かに、燿も耀さんも私の事を大切に思ってくれている節は感じていた。
だけど、記憶が取り戻せていない私には、なぜそんなに大切に思ってくれているのか理解出来なかった。
前世の私にいったい何があったのか、とても気になった。
「雪ちゃんは、今も昔も、皆に大切にされているのね」
「それは静も同じだと思うよ。それとも、酷い事されてる前世の記憶だったの!?」
静の発言を耳にして、私は少しだけ不安になった。
私が取り戻した二つの記憶のうち一つは凄く悲しいものだったけれど、それでも白卯が私の前世であるゑレ妃を大切にしてくれているのを感じたし、二個目の記憶も両親、白卯ともにゑレ妃を大切にしてくれているものだった。
だからこそ、静は違ったのかなと心配になった。
「ううん、大切にされてたわ。一個目も二個目も……愛されていたと、思う」
静は自分の胸に手を添えて、思い返すように瞳を閉じて呟いていた。
その時、地面が小さく揺れた。まるで何かが地面を駆けずり回っている様に、微弱だけれどよくわかる揺れ。
視線を割れた石碑の奥へと向けると、森の暗がりの先にキラリと光る何かが見えた。
『……待ってるよ。また……最初からだけどね』
『何度もそれを繰り返させるのは、酷だとは思いますが……また、会いましょう』
燿と耀さんがそう言った瞬間、今まで耐えていたはずの石碑が大きな音を立てて左右に真っ二つに割れた。
その瞬間、石碑の両側に佇んでいたはずの二人の姿が、泡のように消えた。
キラキラと、空に蛍が飛んでいくように。シャボン玉が上がっていくように。淡く儚く――彼らは消えた。
「――――っ」
なんでこんなに胸が痛いのか。まだ思い出してる記憶のピースでは分からない。
だけど、きっと、私のどこかの記憶の中で、この答えが分かるはずだ。分からなきゃいけない。分からなきゃおかしい。
その記憶を取り戻して初めて、私はちゃんとした意味で彼らに“久しぶり”と“会いたかった”と言えるのかもしれない。
「雪ちゃん……大丈夫?」
「うん……大丈夫、大丈夫だよ……心配してくれてありがとう、ヴェル君」
私に少しだけ近寄ってから心配そうに顔を覗き込むヴェル君に、私はにっこりと気丈に笑みを浮かべてみせた。
本当は泣きだしたいくらい私の心は悲しみを感じていた。私には戸惑うその感情を、私は心の中でひっそりと受け止めた。
だけどまだ、静やヴェル君、真兄には見せたくなかった。
私自身もまだ理解できていない、私の記憶の深いところ。そこを見せるのは、きっとまだ先だ。
「二人とも、雪ちゃんの事が大切だったのね」
「……実感、ないけどね」
静の言葉に、私は苦笑を浮かべて返した。
確かに、燿も耀さんも私の事を大切に思ってくれている節は感じていた。
だけど、記憶が取り戻せていない私には、なぜそんなに大切に思ってくれているのか理解出来なかった。
前世の私にいったい何があったのか、とても気になった。
「雪ちゃんは、今も昔も、皆に大切にされているのね」
「それは静も同じだと思うよ。それとも、酷い事されてる前世の記憶だったの!?」
静の発言を耳にして、私は少しだけ不安になった。
私が取り戻した二つの記憶のうち一つは凄く悲しいものだったけれど、それでも白卯が私の前世であるゑレ妃を大切にしてくれているのを感じたし、二個目の記憶も両親、白卯ともにゑレ妃を大切にしてくれているものだった。
だからこそ、静は違ったのかなと心配になった。
「ううん、大切にされてたわ。一個目も二個目も……愛されていたと、思う」
静は自分の胸に手を添えて、思い返すように瞳を閉じて呟いていた。
その時、地面が小さく揺れた。まるで何かが地面を駆けずり回っている様に、微弱だけれどよくわかる揺れ。
視線を割れた石碑の奥へと向けると、森の暗がりの先にキラリと光る何かが見えた。
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