上 下
112 / 283
第3章【一途に想うからこそ】

18罪 ハジメテ⑦ ❤︎‬

しおりを挟む
「な、こうなったら楽しんだもん勝ちだと思わねぇか?」
「おもわ、ないっ!」
「そう言うけどよ、ナカは気持ちいい、気持ちいいって締め付けてきてんぜ?」
「きもち、く……な、い!」
「嘘ついてんじゃねーよ。こんな甘―い声出しといてさ」

 律動を繰り返され、甘い声を必死に堪えながら、何度も何度も大柄な男の言葉を否定し続けた。
 諦めてしまえたらきっと一番楽なんだろうという事はよくわかるけど、諦めてしまいたくなんてなかった。大好きな人の目の前で知らない男との行為を楽しんでいる姿なんて見せたくなかった。こういう行為は、やっぱり好きな人……ヴェル君としたかった。ヴェル君と楽しみたかった。もちろん、その願いはもう絶対に叶わないことは分かっている。ヴェル君には静が居るって事をちゃんと理解しているから。だけど、それでも、私は諦めて男達の言うとおりになることだけは嫌だった。

「――――助けて!!」

 大きな声を張り上げた瞬間、ガラの悪そうな男に頬をビンタされた。

「うるせェんだよォ。黙って見られながら犯されとけよォ? アァ?」

 ジンジンとした痛みを頬に感じながら、私はガラの悪そうな男の事を睨み付けた。私がここで諦めちゃいけない。助けを求めることをやめちゃいけない。
 どんな風に助けてもらえるかは私には分からないけれど、諦めては、助けを求めることをやめてしまっては、我慢し続けていては、きっとみんな助けるために踏み出せなくなる。
 抗い続けないと、と私は震えて縮こまってしまいそうな心を必死に奮い立たせた。

「わた、し……はっ! 諦め、な……い!! 絶対、に……あなた達に、屈し、たり……しない、んだから……らぁ!」
「うぜェんだよ! 泣いて! よがって! 犯されろやァ!!」
「泣かない! よが、らないっ! 絶対、に……絶対に!!」
「おい、中出ししちまえ!!」

 助けが来るまで絶望していた私の瞳に一筋の光が灯った瞬間、ガラの悪そうな男はチッと舌打ちをすると大柄な男に指示を出した。
 もう待ってやる必要はない、と言い切ると大柄な男はニタリと気持ち悪い笑みを浮かべると私の腰をガシッと力強く掴むと先ほどとは比べ物にならないほどに早いペースで腰を打ち付けてきた。
 ぐちゅぐちゅと聞こえてきていた水音が、今はぱちゅん! ぱちゅん! と水音と肌がぶつかり合う二つの音が混ざり合って聞こえてきていた。

「うっ……ふ、ぅっ……!」

 唇を噛みしめながら顔を背け、必死に堪え続ける私の姿をどうすることも出来ずに見つめていたはずのヴェル君が動いたのが見えた。

「うぐ……?」

 大柄な男に指示を出していたガラの悪そうな男のくぐもった声が耳に届いた。一瞬過ぎて、私には何が起きたのか見えなかった。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

【R18】人気AV嬢だった私は乙ゲーのヒロインに転生したので、攻略キャラを全員美味しくいただくことにしました♪

奏音 美都
恋愛
「レイラちゃん、おつかれさまぁ。今日もよかったよ」 「おつかれさまでーす。シャワー浴びますね」 AV女優の私は、仕事を終えてシャワーを浴びてたんだけど、石鹸に滑って転んで頭を打って失神し……なぜか、乙女ゲームの世界に転生してた。 そこで、可愛くて美味しそうなDKたちに出会うんだけど、この乙ゲーって全対象年齢なのよね。 でも、誘惑に抗えるわけないでしょっ! 全員美味しくいただいちゃいまーす。

お母様が国王陛下に見染められて再婚することになったら、美麗だけど残念な義兄の王太子殿下に婚姻を迫られました!

奏音 美都
恋愛
 まだ夜の冷気が残る早朝、焼かれたパンを店に並べていると、いつもは慌ただしく動き回っている母さんが、私の後ろに立っていた。 「エリー、実は……国王陛下に見染められて、婚姻を交わすことになったんだけど、貴女も王宮に入ってくれるかしら?」  国王陛下に見染められて……って。国王陛下が母さんを好きになって、求婚したってこと!? え、で……私も王宮にって、王室の一員になれってこと!?  国王陛下に挨拶に伺うと、そこには美しい顔立ちの王太子殿下がいた。 「エリー、どうか僕と結婚してくれ! 君こそ、僕の妻に相応しい!」  え……私、貴方の妹になるんですけど?  どこから突っ込んでいいのか分かんない。

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

自習室の机の下で。

カゲ
恋愛
とある自習室の机の下での話。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】

Lynx🐈‍⬛
恋愛
 ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。  それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。  14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。 皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。 この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。 ※Hシーンは終盤しかありません。 ※この話は4部作で予定しています。 【私が欲しいのはこの皇子】 【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】 【放浪の花嫁】 本編は99話迄です。 番外編1話アリ。 ※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。

処理中です...