上 下
185 / 244
第7章 光ある文化祭 ─優しさと後悔の罪─

100・3時間目 恋人と従妹がいる文化祭

しおりを挟む
 鷹乃と別れたあと、俺は先程同様、二人の人物を探していた。

 しかし、去年は昼間はメイドカフェをやっていたから室内でいたから分からなかったが、グラウンドの人混みは半端じゃない。

 三年生の露店を食べる人やどこに行こうかと移動している人が多すぎて、結構探すのに苦労する。

「……集合場所決めときゃよかったな」

 去年は誘ってはいなかったが、二人の人物──小春と南──はたまたま出会って一緒にきた。

 それがキッカケで仲良くなった二人は今年は一緒にくると小春から電話が入ったのだが、その二人は見つからない。

 いったいどこにいるのか俺はがむしゃらに探しているが、一行に二人は見つからない。

「どこにいるんだよ……」

 俺は半分焦り、半分心配を持ちながら、校門前にたどり着き、キョロキョロとそこから見てみると、

「「わあっ!」」

 と二重の女子の声が聞こえて、ピョコンと小春と南が校門前でいた。

「……よかった。どこにいたんだ?」

 俺は心配しながらそう訪ねると、

「敦志君、反応薄いね……」

「あつにい、それはないわー。ほんまにその反応はないわー」

 小春からは苦笑を、南からはジト目で言われた。

「あぁ、ごめんて。いやでもよかった。二人ともちゃんと来てくれて」

「なんや? ウチらがこうへんと思ってたん?」

「そんな薄情なことしないよ。敦志君の文化祭だよ? 彼氏の文化祭だよ? 楽しみに決まってるから行かないわけないじゃん!」

 南から再びジト目を向けられる。そして小春はその気持ちは嬉しいが、こんな場所──結構人が集まっているところで言われるとめちゃくちゃ恥ずかしいから止めてほしい。

 あぁ、そこの女子のグループとかすごい顔になってるし!

 なんで高橋なんぞにあんな可愛い彼女がいるのよって顔してるし。

「……とりあえず、色々なところ見て回ろうぜ?」

「うんっ!」

「あっ、まってや! もー、二人のペースで行かんといてー!」

 置いてきぼりになりかけた南が慌ててついてくる。ごめんて。

 ……今更だが、南もちゃんとした服装を持っているんだなって思った。

 小春は、秋らしく白の薄手のブラウスの上に紫のカーディガン、薄いベージュのスカートといういかにも小春らしく、とても似合ってる……もっと言うなら、宇宙一似合ってる服装だ。

 南はいつもの半袖短パンという小学生が着ていそうな格好だと思っていたのだが、いつ買ってもらったのか可愛らしい秋冬物のジャケットを着て、デニムのズボンというボーイッシュな雰囲気を漂わせていた。

 南も成長したんだな。お兄ちゃん感動だよ。……従兄だけど。

 そんな冗談はさておき、俺は教室に財布を置き忘れていたことを思いだし、その主旨を小春たちに伝えると、彼女らはついていくと言い出した。

 俺は自由に回っていていいと言ったが、小春は裕太や遼太郎に挨拶したいからと言って、俺は彼女らと教室に行くことにした。

 挨拶か……結婚の挨拶かな?

 なんて俺のアホな妄想は早く現実になってくれともう見えない星に願っておいた。

 俺と小春と南は他愛もない会話を挟みながら、階段を上り、教室まで歩いたのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

私たち、博麗学園おしがまクラブ(非公認)です! 〜特大膀胱JKたちのおしがま記録〜

赤髪命
青春
街のはずれ、最寄り駅からも少し離れたところにある私立高校、博麗学園。そのある新入生のクラスのお嬢様・高橋玲菜、清楚で真面目・内海栞、人懐っこいギャル・宮内愛海の3人には、膀胱が同年代の女子に比べて非常に大きいという特徴があった。 これは、そんな学校で普段はトイレにほとんど行かない彼女たちの爆尿おしがまの記録。 友情あり、恋愛あり、おしがまあり、そしておもらしもあり!? そんなおしがまクラブのドタバタ青春小説!

孕ませねばならん ~イケメン執事の監禁セックス~

あさとよる
恋愛
傷モノになれば、この婚約は無くなるはずだ。 最愛のお嬢様が嫁ぐのを阻止? 過保護イケメン執事の執着H♡

『女になる』

新帯 繭
青春
わたしはLGBTQ+の女子……と名乗りたいけれど、わたしは周囲から見れば「男子」。生きていくためには「男」にならないといけない。……親の望む「ぼく」にならなくてはならない。だけど、本当にそれでいいのだろうか?いつか過ちとなるまでの物語。

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

【完結】真実の愛とやらに目覚めてしまった王太子のその後

綾森れん
恋愛
レオノーラ・ドゥランテ侯爵令嬢は夜会にて婚約者の王太子から、 「真実の愛に目覚めた」 と衝撃の告白をされる。 王太子の愛のお相手は男爵令嬢パミーナ。 婚約は破棄され、レオノーラは王太子の弟である公爵との婚約が決まる。 一方、今まで男爵令嬢としての教育しか受けていなかったパミーナには急遽、王妃教育がほどこされるが全く進まない。 文句ばかり言うわがままなパミーナに、王宮の人々は愛想を尽かす。 そんな中「真実の愛」で結ばれた王太子だけが愛する妃パミーナの面倒を見るが、それは不幸の始まりだった。 周囲の忠告を聞かず「真実の愛」とやらを貫いた王太子の末路とは?

彼氏と親友が思っていた以上に深い仲になっていたようなので縁を切ったら、彼らは別の縁を見つけたようです

珠宮さくら
青春
親の転勤で、引っ越しばかりをしていた佐久間凛。でも、高校の間は転校することはないと約束してくれていたこともあり、凛は友達を作って親友も作り、更には彼氏を作って青春を謳歌していた。 それが、再び転勤することになったと父に言われて現状を見つめるいいきっかけになるとは、凛自身も思ってもいなかった。

先輩に振られた。でも、いとこと幼馴染が結婚したいという想いを伝えてくる。俺を振った先輩は、間に合わない。恋、デレデレ、甘々でラブラブな青春。

のんびりとゆっくり
青春
俺、海春夢海(うみはるゆめうみ)。俺は高校一年生の時、先輩に振られた。高校二年生の始業式の日、俺は、いとこの春島紗緒里(はるしまさおり)ちゃんと再会を果たす。彼女は、幼い頃もかわいかったが、より一層かわいくなっていた。彼女は、俺に恋している。そして、婚約して結婚したい、と言ってきている。戸惑いながらも、彼女の熱い想いに、次第に彼女に傾いていく俺の心。そして、かわいい子で幼馴染の夏森寿々子(なつもりすずこ)ちゃんも、俺と婚約して結婚してほしい、という気持ちを伝えてきた。先輩は、その後、付き合ってほしいと言ってきたが、間に合わない。俺のデレデレ、甘々でラブラブな青春が、今始まろうとしている。この作品は、「小説家になろう」様「カクヨム」様にも投稿しています。「小説家になろう」様「カクヨム」様への投稿は、「先輩に振られた俺。でも、その後、いとこと幼馴染が婚約して結婚したい、という想いを一生懸命伝えてくる。俺を振った先輩が付き合ってほしいと言ってきても、間に合わない。恋、デレデレ、甘々でラブラブな青春。」という題名でしています。

処理中です...