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第7章 光ある文化祭 ─優しさと後悔の罪─
99・5時間目 やることはやってきた
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今年もあつにいの文化祭楽しみやなぁ! 去年は皆メイドさんの服着てメイドカフェをやったあとライブをしたけど……今年はどないなんやろ。
……おっと、いかんわ。私こと坂井南は、中学校へ向けて歩いてた。
もちろん、これは学校へ登校するためやけど、普段なら週末はダルくて気が滅入るけど本当に明日が楽しみでしゃあない。
それもそのはず、明日はあつにい達の文化祭があるから。
今年はマミーが大阪からあつにいん家に送ったあと、森山さんとその友達の女郎舞花さんと共に一緒に行くことになってる。
ちなみに、マミーは私のお母さんのあだ名や。小さい頃からそう呼んでいたから身に付いてもうた。
なんでも、女郎さんはすごく素敵な人らしくて一緒に住んでる黒沢さんたちのお手伝いをしてるんやって。
家政婦さん的な?
美人家政婦さん……そんなん最高やん。グヘヘ……。
……おっと、私の悪い癖がでちゃった。いかんなぁ。
そうこうしている間に学校に到着し、私は自分の教室に向かった。
「南ちゃん! おはよー!」
クラスメイトの子達が私に挨拶してくれる。
ちなみに、この子たちが標準語なのは私が通ってる中学校は私立の学校で色々なところから来る子達が多い。府内からの子がダントツで多いけど、それでも中部やったり、関東から来る子もチラホラいる。
「おはよー!」
私は元気に挨拶を返す。元気が取り柄な私はこのクラスのムードメーカー的な立ち位置におる。
正直、マミーの仕事の都合で転校が多かったけど、最近は安定してきて、少し不安やった学校生活にも慣れた。
今がすごく楽しいと思えてきてるし、新しいことに挑戦すればきっと成功すると思う。
だから、私はそろそろ離れないといけない。
もう人見知りじゃないからあつにいからはもう離れないと。
──
本来、時間というものは誰に対しても平等に流れるものだ。
だけど、意識の違いによってその速度は変わる──そう気づいたのはもう少し早かったらよかった。
「──!」
ドラム、ギター、ベースその音のどれもが余韻を残して、この体育館に響いている。
どうしようもなく感動していて、これが本番なんじゃないかと錯覚してしまうほど。
「すごい!すごいよ! ずっと歌っていたけど今日が一番歌いやすかったかも!」
ボーイッシュなクラスメイトが興奮した様子で話す。
汗がうっすらとでていて、ライトの当たり具合もあってか妙に艶かしい。
「そっか。よかったよ。でも、それは明日にしてほしいな」
学年一位の友人が冷静にでも、素直な感想を述べた。
「祐麻のギターがここまで上手くなるとはな。いや、元から人並みには上手かったけどさ。ロックは苦手だったじゃんか」
友人が、飾らない言葉を僕に伝えた。
誉めも貶しも、彼は自分に素直だから、僕は自分自身を高めるために彼の言葉をよく聞くようにしている。
「あぁ、そうだね」
ここまでやることはやってきた。
けど、明日。
切り捨てた青春を、手に入れた青春を、二度と失いたくない青春を、僕はこの身で体験しよう。
……おっと、いかんわ。私こと坂井南は、中学校へ向けて歩いてた。
もちろん、これは学校へ登校するためやけど、普段なら週末はダルくて気が滅入るけど本当に明日が楽しみでしゃあない。
それもそのはず、明日はあつにい達の文化祭があるから。
今年はマミーが大阪からあつにいん家に送ったあと、森山さんとその友達の女郎舞花さんと共に一緒に行くことになってる。
ちなみに、マミーは私のお母さんのあだ名や。小さい頃からそう呼んでいたから身に付いてもうた。
なんでも、女郎さんはすごく素敵な人らしくて一緒に住んでる黒沢さんたちのお手伝いをしてるんやって。
家政婦さん的な?
美人家政婦さん……そんなん最高やん。グヘヘ……。
……おっと、私の悪い癖がでちゃった。いかんなぁ。
そうこうしている間に学校に到着し、私は自分の教室に向かった。
「南ちゃん! おはよー!」
クラスメイトの子達が私に挨拶してくれる。
ちなみに、この子たちが標準語なのは私が通ってる中学校は私立の学校で色々なところから来る子達が多い。府内からの子がダントツで多いけど、それでも中部やったり、関東から来る子もチラホラいる。
「おはよー!」
私は元気に挨拶を返す。元気が取り柄な私はこのクラスのムードメーカー的な立ち位置におる。
正直、マミーの仕事の都合で転校が多かったけど、最近は安定してきて、少し不安やった学校生活にも慣れた。
今がすごく楽しいと思えてきてるし、新しいことに挑戦すればきっと成功すると思う。
だから、私はそろそろ離れないといけない。
もう人見知りじゃないからあつにいからはもう離れないと。
──
本来、時間というものは誰に対しても平等に流れるものだ。
だけど、意識の違いによってその速度は変わる──そう気づいたのはもう少し早かったらよかった。
「──!」
ドラム、ギター、ベースその音のどれもが余韻を残して、この体育館に響いている。
どうしようもなく感動していて、これが本番なんじゃないかと錯覚してしまうほど。
「すごい!すごいよ! ずっと歌っていたけど今日が一番歌いやすかったかも!」
ボーイッシュなクラスメイトが興奮した様子で話す。
汗がうっすらとでていて、ライトの当たり具合もあってか妙に艶かしい。
「そっか。よかったよ。でも、それは明日にしてほしいな」
学年一位の友人が冷静にでも、素直な感想を述べた。
「祐麻のギターがここまで上手くなるとはな。いや、元から人並みには上手かったけどさ。ロックは苦手だったじゃんか」
友人が、飾らない言葉を僕に伝えた。
誉めも貶しも、彼は自分に素直だから、僕は自分自身を高めるために彼の言葉をよく聞くようにしている。
「あぁ、そうだね」
ここまでやることはやってきた。
けど、明日。
切り捨てた青春を、手に入れた青春を、二度と失いたくない青春を、僕はこの身で体験しよう。
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