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第4章 1年の締めくくりと次のステップ ~青い1日と温かな雪~
56・3時間目 出会いの新年
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「新年、あけましておめでとうー!」
「「「「「「「「「おめでとうー!!」」」」」」」」」
喫茶MISHIHANAの店長である三島さんの掛け声で俺達は新年の祝いの乾杯をする。
今日はMISHIHANAで新年のパーティーをやっている。
厨房近くに、三島さん、その彼女さんである花園さん、黒沢センパイ、神谷さんの大人組が座っており、店内中央には俺、裕太、遼太郎、女郎、森山が座っている。
ついつい会話をしていても、森山の方に目がいってしまうのは彼氏の特権であり、たまに目が合うとお互い微笑む。
森山ってやっぱり可愛いよな。
「そういえばね、杏ちゃん」
神谷さんは今日初めて花園さんに会ったらしいが、タメ語で話して普通に友達のように接している。
こういう所を見ると、神谷さんはかなりモテるんだろうなと俺は思う。
「高橋君と小春ちゃん付き合ったのよ!」
マジか! この人、言いやがった。
「へぇ~、良かったね。高橋君。……あなたが小春ちゃん? ふふっ、初々しいわ。昔の私達みたい」
森山は顔を真っ赤にして、俯いている。
「ちょっ、神谷さん。あなたすごいっすね!? 秒でバラシますね?!」
「ハッハッハ……。神谷さんは山崎みたいだね。山崎もすぐに俺が杏と付き合っている事、高校の友達にバラしたもんね」
「ふふっ、懐かしいわね。そういえば、そんな事もあったわね。あの時の楓は手すら握れなかったもんね」
「ちょー、もー、やめてぇ。恥ずかしかったの! 俺は!」
三島さんと花園さんのイチャイチャを見せられて、俺はなんとも言えない気持ちになった。
でも、俺と森山が目指すのは冷える事のない愛。
初々しくても、お互いを気持ちよく愛せるくらいの恋。
神谷さんの目こっわ!
めっちゃ冷ややかな目してんすけど?!
「……あー……。皆ごめん。んんっ!」
「それにしてもよォ、楓ェ、このパエリア美味ェな」
あ、黒沢センパイ普通に呼び捨てなんすか。
そういや、この人敬語全然使わねぇわ。
クレーマーに対しても態度ヤバかったし。
まぁ、そのおかげで俺は救われたんだけどね。
「ありがとう睡蓮。それにしても、もうすぐバレンタインか……。会社の子がなんかガチで俺の事狙いに来てるんだよね……。まぁ、俺は杏以外に振り向かないけど」
この人も裕太並みにモテてんだな。
「三島さん、中学の頃から絶対モテてますよね?! 俺の知り合いなんでモテるやつ多いんすか?!」
「いやいや、俺は全然だよ。中学の頃なんか、ね、杏。俺めっちゃひねくれていたよね。でも、杏に出会ってから変わった。正確には、3年間杏の隣の席だったから変わった。大切な人が居るから自分もしっかりしなきゃって思ってさ。杏は元々はこんなに明るくなくて、それが俺のおかげで変わって。俺は杏が離れてほしくないから山崎にも相談して、やっとの思いで想いを伝えた。そして、ここまでこれた……かな。でも、俺一人じゃここまで来れなかった。山崎やいくつもの偶然が重なって俺は今でも、杏の隣に居るんだ」
俺も、裕太や遼太郎のおかげで森山の横に居る。
もし、俺と森山が同じ中学じゃなければ。
あの日の出来事が起こらなければ。
森山が転校しなければ。
時が流れなければ。
夏休み最終日に会わなければ。
そのどれかひとつでも欠けていたら、俺達はこうして同じ時間を過ごさなかった今があるのかも知れない。
友情もそう、入学式の時に裕太とぶつかっていなければ。
遼太郎が話すのを躊躇っていたら。
俺達は親友になれなかった未来もあったはずだ。
だから、俺は大切にする。
出会いを。
そして、きっとこれを人はこう呼ぶのだろうな。
『運命』って。
「「「「「「「「「おめでとうー!!」」」」」」」」」
喫茶MISHIHANAの店長である三島さんの掛け声で俺達は新年の祝いの乾杯をする。
今日はMISHIHANAで新年のパーティーをやっている。
厨房近くに、三島さん、その彼女さんである花園さん、黒沢センパイ、神谷さんの大人組が座っており、店内中央には俺、裕太、遼太郎、女郎、森山が座っている。
ついつい会話をしていても、森山の方に目がいってしまうのは彼氏の特権であり、たまに目が合うとお互い微笑む。
森山ってやっぱり可愛いよな。
「そういえばね、杏ちゃん」
神谷さんは今日初めて花園さんに会ったらしいが、タメ語で話して普通に友達のように接している。
こういう所を見ると、神谷さんはかなりモテるんだろうなと俺は思う。
「高橋君と小春ちゃん付き合ったのよ!」
マジか! この人、言いやがった。
「へぇ~、良かったね。高橋君。……あなたが小春ちゃん? ふふっ、初々しいわ。昔の私達みたい」
森山は顔を真っ赤にして、俯いている。
「ちょっ、神谷さん。あなたすごいっすね!? 秒でバラシますね?!」
「ハッハッハ……。神谷さんは山崎みたいだね。山崎もすぐに俺が杏と付き合っている事、高校の友達にバラしたもんね」
「ふふっ、懐かしいわね。そういえば、そんな事もあったわね。あの時の楓は手すら握れなかったもんね」
「ちょー、もー、やめてぇ。恥ずかしかったの! 俺は!」
三島さんと花園さんのイチャイチャを見せられて、俺はなんとも言えない気持ちになった。
でも、俺と森山が目指すのは冷える事のない愛。
初々しくても、お互いを気持ちよく愛せるくらいの恋。
神谷さんの目こっわ!
めっちゃ冷ややかな目してんすけど?!
「……あー……。皆ごめん。んんっ!」
「それにしてもよォ、楓ェ、このパエリア美味ェな」
あ、黒沢センパイ普通に呼び捨てなんすか。
そういや、この人敬語全然使わねぇわ。
クレーマーに対しても態度ヤバかったし。
まぁ、そのおかげで俺は救われたんだけどね。
「ありがとう睡蓮。それにしても、もうすぐバレンタインか……。会社の子がなんかガチで俺の事狙いに来てるんだよね……。まぁ、俺は杏以外に振り向かないけど」
この人も裕太並みにモテてんだな。
「三島さん、中学の頃から絶対モテてますよね?! 俺の知り合いなんでモテるやつ多いんすか?!」
「いやいや、俺は全然だよ。中学の頃なんか、ね、杏。俺めっちゃひねくれていたよね。でも、杏に出会ってから変わった。正確には、3年間杏の隣の席だったから変わった。大切な人が居るから自分もしっかりしなきゃって思ってさ。杏は元々はこんなに明るくなくて、それが俺のおかげで変わって。俺は杏が離れてほしくないから山崎にも相談して、やっとの思いで想いを伝えた。そして、ここまでこれた……かな。でも、俺一人じゃここまで来れなかった。山崎やいくつもの偶然が重なって俺は今でも、杏の隣に居るんだ」
俺も、裕太や遼太郎のおかげで森山の横に居る。
もし、俺と森山が同じ中学じゃなければ。
あの日の出来事が起こらなければ。
森山が転校しなければ。
時が流れなければ。
夏休み最終日に会わなければ。
そのどれかひとつでも欠けていたら、俺達はこうして同じ時間を過ごさなかった今があるのかも知れない。
友情もそう、入学式の時に裕太とぶつかっていなければ。
遼太郎が話すのを躊躇っていたら。
俺達は親友になれなかった未来もあったはずだ。
だから、俺は大切にする。
出会いを。
そして、きっとこれを人はこう呼ぶのだろうな。
『運命』って。
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