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第4章 1年の締めくくりと次のステップ ~青い1日と温かな雪~
56時間目 新年の朝焼け
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「あと、1分だよっ!」
その言葉に、俺と裕太は一斉に時計を見る。
「今年も終わりか……」
「良い1年だったよぉー! 敦志に会わなきゃ俺、こんな高校生活送れてなかったかもなー!」
「いやぁ、僕もだよ。敦志と三石に会ってなければ、今の状況は無かったからね。本当にありがとう」
テレビには、人気アイドルが仕切っているカウントダウンが映し出されている。
「5」
「4」
「3っ!」
「「「2!!!」」」
「「「1!!!」」」
俺や裕太、遼太郎のスマホが何度も振動する。
俺達は顔を見合わせ、
「あけましておめでとう」
「あけましておめでとうございます」
「あけおめー!」
テレビの中でも新年を祝っている。
俺は、おもむろにスマホを見る。
黒沢センパイや、神谷さん、森山、南から主にLINEが来ていた。
【黒沢センパイ:あけおめ】【神谷さん:あけましておめでとう! 今年もよろしくね(*≧∀≦*)】【森山:敦志君、あけましておめでとう(*´ω`*) 今年もよろしくお願いします】【南:あつにい、あけおめ~! 今年こそバレンタイン貰えるとエエな】
南、一言余計だオイ。
「めっちゃ、着信来てる……」
「僕もだ」
「俺も~。あっ、菫さんから来てるやったー!」
俺は遼太郎のスマホを覗きこむ。
この人、LINEでも語尾「なの」使ってんのかよ。
俺達はそれぞれスマホとにらめっこをして、返事を返す。
それが終わり、ソファで俺はくつろいでいた。
遼太郎はカーペットに転がりながら漫画を読んで、裕太はパソコンで何かを調べている。
「裕太、何調べてんだ?」
俺はソファから抜け出して、裕太の横に座る。
「お雑煮かな。今日泊まるでしょ?」
「えっ? マジ?」
俺は泊まるなんて誰にも言っていない。
遼太郎は泊まる気なのだろうか。
「なぁ、遼太郎おまe……」
「泊まるよー。敦志もしかして準備していないの?」
「準備もしてねぇし、風呂も入ってねぇ。シャワーだけ来る時に浴びてきたけど。つーか、泊まるなら言えや」
「どうせ、布団とかで寝ないでしょ。僕ソファもーらい!」
「俺の占領地がっ!」
ドカッと裕太は、ソファにダイブする。
「カーペットは俺が頂いた! あばよ、とぅっぁーん!」
カーペットをゴロゴロと回り、遼太郎はカーペットの所有権を盗む。
誰がとぅっあんじゃゴラ。
人二人が寝れるくらいの大きさなのに、一人で取るなよ。
俺は強引に遼太郎のカーペットの所有権を半分奪い盗る。
「まだ起きとく? 明日結構予定あるけど」
「寝る」
「もう眠たいな。俺寝る。グゥ……」
「そっか、じゃあ照明消すよ」
パチッと音がして、部屋中の灯りが消える。
部屋に静寂が初めて訪れる。
「はぁー……。楽しかった」
「俺も~」
「あぁ、楽しかったよ。なんか、時間って早いな」
「うん。本当にそう思うよ。入学したって思ったら、もう1年目が終わるんだもんね」
「来年も皆で遊びたいねー!」
「そうだな。なぁ、裕太、遼太郎。今だから言える事ってあるか?」
「言える事かぁ……。あるね」
「俺はないっ!」
「俺さ、裕太が羨ましかったんだよな」
出会った頃も今も、裕太は誰からもモテていた。
俺にはそれが未知の世界すぎて。
眩しすぎて。
それが、羨ましくて、自分もなれたらいいのにと思っていた。
「へぇ……。大体予想はつくけどどんな事?」
「予想つくんかよ。俺はさ、モテまくりのお前が羨ましかったよ。親友がリア充でモテまくりなお前が羨ましかったんだよな」
「リア充か……。僕はリア充だよ。だって、こんなにも良い友達に恵まれているからね」
ふと、思った。
リア充の定義ってなんだろうか。
モテて彼女彼氏がいるヤツがリア充だとずっと思っていた。
だけど、今ならそれとは別のもうひとつの定義を俺は言える。
「『今』を楽しんでいるヤツがリア充なんだよな……」
「僕はさ」
ソファから立ち上がった裕太が、俺を見る。
満月の光がライトブルーの瞳に反射する。
「親友がリア充でモテまくりな時間を送ってほしいなって思っているよ」
分からない。
いや、分からなかった。
モテるやつの気持ちが。
リア充の気持ちが。
だけど、今なら分かる。
だって、俺はリア充だから。
友達って、本当に大事だ。
裕太はそれから、水を飲んで再びソファに身を潜めた。
それからは、話しかけてくる事はなかった。
俺は眠れない。
それでも、瞳を閉じ、眠りにつこうとする。
気がつけば寝ていた。
起きて、窓を見る。
まだ誰も起きていない。
朝の日の出が、俺を照らす。
ここがスタートライン。
俺のリア充の生活が始まった。
その言葉に、俺と裕太は一斉に時計を見る。
「今年も終わりか……」
「良い1年だったよぉー! 敦志に会わなきゃ俺、こんな高校生活送れてなかったかもなー!」
「いやぁ、僕もだよ。敦志と三石に会ってなければ、今の状況は無かったからね。本当にありがとう」
テレビには、人気アイドルが仕切っているカウントダウンが映し出されている。
「5」
「4」
「3っ!」
「「「2!!!」」」
「「「1!!!」」」
俺や裕太、遼太郎のスマホが何度も振動する。
俺達は顔を見合わせ、
「あけましておめでとう」
「あけましておめでとうございます」
「あけおめー!」
テレビの中でも新年を祝っている。
俺は、おもむろにスマホを見る。
黒沢センパイや、神谷さん、森山、南から主にLINEが来ていた。
【黒沢センパイ:あけおめ】【神谷さん:あけましておめでとう! 今年もよろしくね(*≧∀≦*)】【森山:敦志君、あけましておめでとう(*´ω`*) 今年もよろしくお願いします】【南:あつにい、あけおめ~! 今年こそバレンタイン貰えるとエエな】
南、一言余計だオイ。
「めっちゃ、着信来てる……」
「僕もだ」
「俺も~。あっ、菫さんから来てるやったー!」
俺は遼太郎のスマホを覗きこむ。
この人、LINEでも語尾「なの」使ってんのかよ。
俺達はそれぞれスマホとにらめっこをして、返事を返す。
それが終わり、ソファで俺はくつろいでいた。
遼太郎はカーペットに転がりながら漫画を読んで、裕太はパソコンで何かを調べている。
「裕太、何調べてんだ?」
俺はソファから抜け出して、裕太の横に座る。
「お雑煮かな。今日泊まるでしょ?」
「えっ? マジ?」
俺は泊まるなんて誰にも言っていない。
遼太郎は泊まる気なのだろうか。
「なぁ、遼太郎おまe……」
「泊まるよー。敦志もしかして準備していないの?」
「準備もしてねぇし、風呂も入ってねぇ。シャワーだけ来る時に浴びてきたけど。つーか、泊まるなら言えや」
「どうせ、布団とかで寝ないでしょ。僕ソファもーらい!」
「俺の占領地がっ!」
ドカッと裕太は、ソファにダイブする。
「カーペットは俺が頂いた! あばよ、とぅっぁーん!」
カーペットをゴロゴロと回り、遼太郎はカーペットの所有権を盗む。
誰がとぅっあんじゃゴラ。
人二人が寝れるくらいの大きさなのに、一人で取るなよ。
俺は強引に遼太郎のカーペットの所有権を半分奪い盗る。
「まだ起きとく? 明日結構予定あるけど」
「寝る」
「もう眠たいな。俺寝る。グゥ……」
「そっか、じゃあ照明消すよ」
パチッと音がして、部屋中の灯りが消える。
部屋に静寂が初めて訪れる。
「はぁー……。楽しかった」
「俺も~」
「あぁ、楽しかったよ。なんか、時間って早いな」
「うん。本当にそう思うよ。入学したって思ったら、もう1年目が終わるんだもんね」
「来年も皆で遊びたいねー!」
「そうだな。なぁ、裕太、遼太郎。今だから言える事ってあるか?」
「言える事かぁ……。あるね」
「俺はないっ!」
「俺さ、裕太が羨ましかったんだよな」
出会った頃も今も、裕太は誰からもモテていた。
俺にはそれが未知の世界すぎて。
眩しすぎて。
それが、羨ましくて、自分もなれたらいいのにと思っていた。
「へぇ……。大体予想はつくけどどんな事?」
「予想つくんかよ。俺はさ、モテまくりのお前が羨ましかったよ。親友がリア充でモテまくりなお前が羨ましかったんだよな」
「リア充か……。僕はリア充だよ。だって、こんなにも良い友達に恵まれているからね」
ふと、思った。
リア充の定義ってなんだろうか。
モテて彼女彼氏がいるヤツがリア充だとずっと思っていた。
だけど、今ならそれとは別のもうひとつの定義を俺は言える。
「『今』を楽しんでいるヤツがリア充なんだよな……」
「僕はさ」
ソファから立ち上がった裕太が、俺を見る。
満月の光がライトブルーの瞳に反射する。
「親友がリア充でモテまくりな時間を送ってほしいなって思っているよ」
分からない。
いや、分からなかった。
モテるやつの気持ちが。
リア充の気持ちが。
だけど、今なら分かる。
だって、俺はリア充だから。
友達って、本当に大事だ。
裕太はそれから、水を飲んで再びソファに身を潜めた。
それからは、話しかけてくる事はなかった。
俺は眠れない。
それでも、瞳を閉じ、眠りにつこうとする。
気がつけば寝ていた。
起きて、窓を見る。
まだ誰も起きていない。
朝の日の出が、俺を照らす。
ここがスタートライン。
俺のリア充の生活が始まった。
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