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第4章 1年の締めくくりと次のステップ ~青い1日と温かな雪~
52時間目 恋の歌
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「くわぁぁぁぁ~! やべぇ! 何着ようー! 裕太ぁー!」
『もー、そんなに焦らないでよ。とりあえず、そこの赤いシャツと黒ズボン。それにモスグリーンのジャケット着たら?』
俺はビデオ通話越しにアドバイスをくれる裕太の言う通りに指定された服を着る。
『んー、あんまり、だね。敦志だったら似合うと思っていたのにな』
「だよな。思った。このグリーンのジャケットだせぇもん」
『や、それはダサくないよ』
「えっ」
『つぎ、ベッドに置いている白いパーカー着てみてよ』
そう言われ、ベッドに置いていた白パーカーを着る。
これは、中学1年生の頃、森山が俺にプレゼントしてくれた服だ。
自分の大事なものランキング第二位にランクインしているくらいだ。
第一位はなんだって?
第一位は親友だ。
もちろん、裕太と遼太郎の事だ。
それはどうでもいい。(実際あんまりよくないのだが)
『おー! かっこいいね! そこに黒のジャケット着てみてよ!』
「おう、えっとな……。あったこれでいいか。ど、どうだ?」
黒のジャケットはよく着るあんまり寒くない時用の少し薄着のと寒い時のファーが付いている二種類がある。
明日着ていくのは、ファー付きのジャケット。
どうやら、厳しい寒さになるとかなんとか。
『んー、なんかが足りないね。優しさ、イケメンさ、カッコよさは備わっているのに。うーん、装飾品だなぁ……。なんかある? ピアスとか』
「ねぇよ。ピアスなんて。ロザリオならあるけど」
そう言うと裕太は興奮してあーっ! と呻く。
カメラがガクガクと揺れる。
『それだよっ! 足りなかったのは激しさだ! それつけてカメラに見せて!』
言われるがまま、俺はロザリオをつける。
久しぶりの鉄の冷たい手触りと独特な匂いだ。
『おー! いいねぇ! 僕はそれなら絶対成功すると思うよ! それで行こう! 僕が保証する! 裕太印!』
なんだよ、裕太印って。
でもまぁ、服装は派手過ぎず軽装過ぎず。
中々カッコいいと思える服装になった。
「裕太、片付けもあるだろうに手伝ってくれてありがとうな! 俺、必ず成功させてくる」
『いやいや、全然全然。僕は僕が出来る事をしただけだから。親友がリア充でモテまくりではないけれど、非リアで全然リア充の気持ちが分からない人間から一人の人間を愛せる人になるんだから。親友として少しでも協力できてよかった。頑張って』
「ありがとうな。それじゃあ、頑張ってくる」
『良い結果になるようにを祈ってるよ。メリークリスマス……』
約2時間ほど続いたビデオ通話はそこで途切れた。
現在21時。
まだ、風呂にも入っていない。
「あつにいー! はいるでー!」
ドアがノックされ、南が入ってくる。
南はまた親の用事で俺の家にいる。
あれから森山と連絡を交換し、女子トークで盛り上がっているらしい。
「なんだ? どうした?」
「や、なんなん?! その服装! あつにいがオシャレするなんて! そんなん興味ないと思ってたのに! なになに、明日なんかあるん?」
「あぁ。森山と遊びにいく」
「へっ?」
南はキョトンとしていた顔に笑顔を浮かばせ、
「あつにい、やったやん! 森山さんとデートか! よかったなぁ……」
「はっ? ちげぇけど?」
「えっ?」
南は今度はため息をついた。
「はぁ……。クソ鈍感やなぁ……。森山さんに嫌われんようにしぃや。じゃあ、ウチもう寝るわ。おやすみ」
「おう、おやすみー」
俺は南の捨て台詞のクソ鈍感という言葉の意味を考えながら、眠りにつこうとした……が、全然寝つけなかった。
そして、9時。
俺は少し寝不足のまま、目を覚ました。
『もー、そんなに焦らないでよ。とりあえず、そこの赤いシャツと黒ズボン。それにモスグリーンのジャケット着たら?』
俺はビデオ通話越しにアドバイスをくれる裕太の言う通りに指定された服を着る。
『んー、あんまり、だね。敦志だったら似合うと思っていたのにな』
「だよな。思った。このグリーンのジャケットだせぇもん」
『や、それはダサくないよ』
「えっ」
『つぎ、ベッドに置いている白いパーカー着てみてよ』
そう言われ、ベッドに置いていた白パーカーを着る。
これは、中学1年生の頃、森山が俺にプレゼントしてくれた服だ。
自分の大事なものランキング第二位にランクインしているくらいだ。
第一位はなんだって?
第一位は親友だ。
もちろん、裕太と遼太郎の事だ。
それはどうでもいい。(実際あんまりよくないのだが)
『おー! かっこいいね! そこに黒のジャケット着てみてよ!』
「おう、えっとな……。あったこれでいいか。ど、どうだ?」
黒のジャケットはよく着るあんまり寒くない時用の少し薄着のと寒い時のファーが付いている二種類がある。
明日着ていくのは、ファー付きのジャケット。
どうやら、厳しい寒さになるとかなんとか。
『んー、なんかが足りないね。優しさ、イケメンさ、カッコよさは備わっているのに。うーん、装飾品だなぁ……。なんかある? ピアスとか』
「ねぇよ。ピアスなんて。ロザリオならあるけど」
そう言うと裕太は興奮してあーっ! と呻く。
カメラがガクガクと揺れる。
『それだよっ! 足りなかったのは激しさだ! それつけてカメラに見せて!』
言われるがまま、俺はロザリオをつける。
久しぶりの鉄の冷たい手触りと独特な匂いだ。
『おー! いいねぇ! 僕はそれなら絶対成功すると思うよ! それで行こう! 僕が保証する! 裕太印!』
なんだよ、裕太印って。
でもまぁ、服装は派手過ぎず軽装過ぎず。
中々カッコいいと思える服装になった。
「裕太、片付けもあるだろうに手伝ってくれてありがとうな! 俺、必ず成功させてくる」
『いやいや、全然全然。僕は僕が出来る事をしただけだから。親友がリア充でモテまくりではないけれど、非リアで全然リア充の気持ちが分からない人間から一人の人間を愛せる人になるんだから。親友として少しでも協力できてよかった。頑張って』
「ありがとうな。それじゃあ、頑張ってくる」
『良い結果になるようにを祈ってるよ。メリークリスマス……』
約2時間ほど続いたビデオ通話はそこで途切れた。
現在21時。
まだ、風呂にも入っていない。
「あつにいー! はいるでー!」
ドアがノックされ、南が入ってくる。
南はまた親の用事で俺の家にいる。
あれから森山と連絡を交換し、女子トークで盛り上がっているらしい。
「なんだ? どうした?」
「や、なんなん?! その服装! あつにいがオシャレするなんて! そんなん興味ないと思ってたのに! なになに、明日なんかあるん?」
「あぁ。森山と遊びにいく」
「へっ?」
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「あつにい、やったやん! 森山さんとデートか! よかったなぁ……」
「はっ? ちげぇけど?」
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「はぁ……。クソ鈍感やなぁ……。森山さんに嫌われんようにしぃや。じゃあ、ウチもう寝るわ。おやすみ」
「おう、おやすみー」
俺は南の捨て台詞のクソ鈍感という言葉の意味を考えながら、眠りにつこうとした……が、全然寝つけなかった。
そして、9時。
俺は少し寝不足のまま、目を覚ました。
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