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第3章 選択の文化祭とすれ違う思惑 ~友のために、自分のために~

44・3時間目 執念

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「ふざけるなよ。最低のクソ野郎」
なぁ、カナ・・・。君が彼女も、信用もぜんぶ壊したんだよ。
償え。償ってくれ。
「・・・! っ・・・。ううっ・・・」
「なんで泣くの? 自分が何をやってるか分かってるの?」
言葉に怒気を含ませながら、言う。
感情が上手くコントロール出来ない。
「だって・・・裕太君の事が・・・好きだから・・・っ、ずっと・・・一緒に居たくて・・・他の人の所に行っちゃうと・・・もう私の事見て・・・くれないんじゃないかって・・・思ったから・・・彼女さんの事は本当にごめんなさい! 側に居て欲しかったからあんな嘘を・・・」
「もういいよ」
もう、疲れた。
「え・・・?」
この場から離れよう。
もうこれだけ言っておけば彼女はもう僕に近付いてこない。
もう、彼女と関わることはない。
さようなら。
僕じゃあなたの幸せの形にはなれないので。
僕は、この場を離れるように背を向け、公園から出ようとした。
もう、これできっと、彼女とは関わることはない。


         __________


ー裕太と加奈が公園で会ってから20分後の話ー

「あつしぃ・・・。おんぶぅぅー!」
「は? ちゃんと歩けよ。俺もギター持ってて重いんだからさ」
「山内・・・どこいったんだろう?」
「さぁ、用事じゃねぇの?」
「敦志なんで最近そんなぶっきらぼうなの?」
「や、普通だけど?」
「そうかな? うーん、あれ?」
「どうした?」
遼太郎がこんなにも考え込むなんて珍しいので俺は聞く。
「門出るときの裕太、ベース持っていたっけ?」
「んー・・・。持ってなかったっけな。まさか忘れてるとかないだろうな」
「ちょっ・・・! 見に行こう!」
俺たちは、高校まで走る幸いにも、俺がバイトをしていたコンビニの近くで駄弁っていたので、高校までは走って5分くらいで着いたと思う。
「っ・・・! はぁ! 体育館にあんのか?」
俺達は体育館に入り、倉庫やら舞台裏やらを探す。
「あっ! あった! あいつ、なんでこんな所に・・・」
ふと、俺の脳内には裕太の言動が思い浮かんだ。
あいつ、確か宮浦の事ストーカーだとか言ってなかったか? まさかな。そして、あいつは一度休んでいた。
まさか、あれは宮浦が原因?
あいつ、目が虚ろだった時があった。
全て繋がる。
今日見た夢も、そこにいた女の子も。中学生のカップルも。
「遼太郎っ! 行くぞ!」
「は? どっ、どこに? ベースは?! いいの?」
突然走り出した俺に遼太郎は焦りながら、ベースを抱えて走ってきてくれた。
どこだっ! 裕太っ!
俺は高校の辺りを路地裏までも入って調べるが、裕太は見つからない。
「敦志、あれ」
遼太郎の声が震えている。
なんだと思い、振り向くと、そこには公園で話し合っている裕太と宮浦が居た。
そこは今日見た夢の中の公園にソックリだった。
「なにしてんだ?」
「分からん。ここから様子を見よう」
俺達は歩道で歩いている人に紛れ、彼らの様子を観察した。
なにやら、裕太と宮浦で口論になっていると思う。
そして、裕太が背を向け、公園を出ようとしたとき、目に写った。
宮浦が、ポケットの中からなにやら折り畳んだ何かをだしたのを。
そして、それが現れた瞬間、駆け出していた。
「あつー・・・!」
遼太郎の声など聞こえなかった。
ただただ宮浦が持つ物に危険を感じた。
己の危険なんて顧みずに、駆け出してしまった。
なにでもいいから、あいつを守れ。
それが、裕太に触れる瞬間、肩に思い切りタックルをした。
「いっ! たぁ・・・! なっ!」
グウゥゥゥ・・・!
肩か
いや、左腕か。
そこが痛い。
千切れたように痛い。
公園の砂に倒れた裕太は俺の切られた左腕を見て、驚いた。
そして、整っている顔を歪ませ、宮浦を睨んだ。
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