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第3章 選択の文化祭とすれ違う思惑 ~友のために、自分のために~
41・5時間目 ライブ開演準備
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『今から午前の部休憩にはいります。本校生徒の皆さんは、体育館に移動してください。繰り返します、今から午前の部休憩にはいります。本校生徒は・・・』
「お疲れー!!」
遼太郎が、伸びをしながら、叫ぶ。
俺は即座に付け髭とだて眼鏡を外した。
ダセェじゃん。
もう着けなくねぇ・・・。
「あつにいー! マジでおつー! やー、もー、マジでおもろかったわ。その髭と眼鏡・・・。 ブフッ・・・! アハハ・・・」
南はまだツボにハマっているのかゲラゲラと嘲笑っている。
オイオイオイ・・・。
なんかやりにくいな・・・。
「高橋君、本当にお疲れさま。次がライブなのかな?」
森山が疑問符を頭にいっぱい並べて、首をかしげながら言った。
「おう、そうだけど。そういや、なんか黒沢センパイ達も来るって言ってたっけな」
森山が苦笑を少し浮かべた。
その理由はなぜなのか分からない。
「あぁ、だからなのね」
森山が笑みのまま呟く。
その理由を少し知りたかったので、踏み込んでみる。
「ん? だからって?」
「なんで高橋君が黒沢さんと知り合いなのかなって思ってね。すごいね。もう友達になれてて」
「や、友達じゃねぇけど?」
「え? 嘘でしょ? 黒沢さんって中々難しい人だからその人が文化祭来るってなかなかだよ?」
「一応、バイト先の先輩だからな。なんか気が合っただけだと思う」
森山は俺の答えを聞くと、ストローでカフェオレを一気に吸った。
「あ、それおいしい?」
ストローに口をつけながら、
「うん、美味しいよ。山内君すごいね。即興でカフェオレ作っちゃうなんて」
森山が飲んでいるのは裕太が休憩用に買っていたコーヒーを飲み物としてだしていたジュース、もといタピオカミルクティーの素材の余りを森山好みの味にして提供しただとか。
俺はその時、食器を洗っていたから分からなかった。
ちなみに、裕太達は休憩で外にいる。
俺はその時やっていた片付けも掃除も全て終わらしたため、もう撤退するだけなのだが、ライブ準備前まではまだ時間があるので、少しの間ゆっくりしておく。
「あつにいー! ウチトイレ行ってくるわー!」
「おう、気を付けろよ」
「あいよー!」
先程まで森山と話していた南がドベベーとトイレに駆け出していった。
「南ちゃん、やっぱり元気だね」
クスクスと笑う森山を見ながら、俺はテーブルに座り、コーヒーを飲んだ。
「だなぁ。あれでも一応、人見知りなんだが」
小さいときは俺から離れなかったのになと加えて。
「高橋君、結構お兄ちゃんやっているんだね。えらいね」
「いやいや、別に。ありがとうな、南と仲良くしてくれて」
「こっちもだよー。南ちゃんと仲良くできてよかったよ」
森山と向き合い、会話も弾んでいる。
あれ・・・? なんか良い雰囲気じゃねぇ?
つーか、なんでこんな事考えてんだ。
森山は、俺の事、好き、じゃねぇ、よなぁ・・・?
ドクン。ドクン。ドクン。
オイ、心音が痛ぇよ。
ドクン。ドクン。ドクン。
痛い。痛い。痛い。
でも、勘違いでもいい。
初めて持った感覚を無理矢理落とさないために。
これが、恋じゃないなら。
この心音の音が、ただの心音なら。
いや、俺はそんなの認めない。
俺はその時気づいてしまった。
ライブに影響がでるかもなんて考えてなかった。
いや、別にでなかったけど。
ああ・・・。
分かったよ。
ー俺は、森山の事がー
ーずっとあの日からー
好きだったんだな。
ずっと友達だと思っていた。
仲の良い幼馴染みだと思っていた。
確かにそうかも知れない。
けど、その気持ちの中で、お互いを思う気持ちは。
きっとあったんだ。
「はぁ・・・」
「ん? 高橋君? どうしたの? ため息なんかついて? 幸せが逃げちゃうよ?」
森山がこちらを覗きこむように見てくる。
ピンク色のパステルカラーの瞳の中に、恋する乙女のような弱々しい俺が映る。
「お、おう。っし、ライブ頑張る!」
「頑張って!」
そして、俺達はもう一度見つめ合い、微笑んだ。
森山ってこんなに笑顔、可愛かったっけ?
「んじゃ、会場で」
「うん」
俺は食堂からでて、体育館に向かう。
森山と笑いあった後の森山の目の中に居た俺は、希望を抱いていた気がした。
「お疲れー!!」
遼太郎が、伸びをしながら、叫ぶ。
俺は即座に付け髭とだて眼鏡を外した。
ダセェじゃん。
もう着けなくねぇ・・・。
「あつにいー! マジでおつー! やー、もー、マジでおもろかったわ。その髭と眼鏡・・・。 ブフッ・・・! アハハ・・・」
南はまだツボにハマっているのかゲラゲラと嘲笑っている。
オイオイオイ・・・。
なんかやりにくいな・・・。
「高橋君、本当にお疲れさま。次がライブなのかな?」
森山が疑問符を頭にいっぱい並べて、首をかしげながら言った。
「おう、そうだけど。そういや、なんか黒沢センパイ達も来るって言ってたっけな」
森山が苦笑を少し浮かべた。
その理由はなぜなのか分からない。
「あぁ、だからなのね」
森山が笑みのまま呟く。
その理由を少し知りたかったので、踏み込んでみる。
「ん? だからって?」
「なんで高橋君が黒沢さんと知り合いなのかなって思ってね。すごいね。もう友達になれてて」
「や、友達じゃねぇけど?」
「え? 嘘でしょ? 黒沢さんって中々難しい人だからその人が文化祭来るってなかなかだよ?」
「一応、バイト先の先輩だからな。なんか気が合っただけだと思う」
森山は俺の答えを聞くと、ストローでカフェオレを一気に吸った。
「あ、それおいしい?」
ストローに口をつけながら、
「うん、美味しいよ。山内君すごいね。即興でカフェオレ作っちゃうなんて」
森山が飲んでいるのは裕太が休憩用に買っていたコーヒーを飲み物としてだしていたジュース、もといタピオカミルクティーの素材の余りを森山好みの味にして提供しただとか。
俺はその時、食器を洗っていたから分からなかった。
ちなみに、裕太達は休憩で外にいる。
俺はその時やっていた片付けも掃除も全て終わらしたため、もう撤退するだけなのだが、ライブ準備前まではまだ時間があるので、少しの間ゆっくりしておく。
「あつにいー! ウチトイレ行ってくるわー!」
「おう、気を付けろよ」
「あいよー!」
先程まで森山と話していた南がドベベーとトイレに駆け出していった。
「南ちゃん、やっぱり元気だね」
クスクスと笑う森山を見ながら、俺はテーブルに座り、コーヒーを飲んだ。
「だなぁ。あれでも一応、人見知りなんだが」
小さいときは俺から離れなかったのになと加えて。
「高橋君、結構お兄ちゃんやっているんだね。えらいね」
「いやいや、別に。ありがとうな、南と仲良くしてくれて」
「こっちもだよー。南ちゃんと仲良くできてよかったよ」
森山と向き合い、会話も弾んでいる。
あれ・・・? なんか良い雰囲気じゃねぇ?
つーか、なんでこんな事考えてんだ。
森山は、俺の事、好き、じゃねぇ、よなぁ・・・?
ドクン。ドクン。ドクン。
オイ、心音が痛ぇよ。
ドクン。ドクン。ドクン。
痛い。痛い。痛い。
でも、勘違いでもいい。
初めて持った感覚を無理矢理落とさないために。
これが、恋じゃないなら。
この心音の音が、ただの心音なら。
いや、俺はそんなの認めない。
俺はその時気づいてしまった。
ライブに影響がでるかもなんて考えてなかった。
いや、別にでなかったけど。
ああ・・・。
分かったよ。
ー俺は、森山の事がー
ーずっとあの日からー
好きだったんだな。
ずっと友達だと思っていた。
仲の良い幼馴染みだと思っていた。
確かにそうかも知れない。
けど、その気持ちの中で、お互いを思う気持ちは。
きっとあったんだ。
「はぁ・・・」
「ん? 高橋君? どうしたの? ため息なんかついて? 幸せが逃げちゃうよ?」
森山がこちらを覗きこむように見てくる。
ピンク色のパステルカラーの瞳の中に、恋する乙女のような弱々しい俺が映る。
「お、おう。っし、ライブ頑張る!」
「頑張って!」
そして、俺達はもう一度見つめ合い、微笑んだ。
森山ってこんなに笑顔、可愛かったっけ?
「んじゃ、会場で」
「うん」
俺は食堂からでて、体育館に向かう。
森山と笑いあった後の森山の目の中に居た俺は、希望を抱いていた気がした。
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