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第3章 選択の文化祭とすれ違う思惑 ~友のために、自分のために~

41時間目 苦笑だらけの文化祭

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「「「お帰りなさいませ! ご主人様!」」」
遼太郎、宮浦、クラスの女子がお客さんが来ると一斉に声を合わせて言う。
つーか、遼太郎のメイド姿違和感全然ねぇわ。
ビックリするぐらい似合っている。
俺の仕事はほとんど厨房内で行う。
普段眼鏡なんてかけないので、だて眼鏡がうっとうしい。
視界が狭い。
そして、口元、つけ髭がチクチクして痛い、これもうっとうしい。
「敦志、オムライス三人前! 飲み物は僕も手伝うよ」
「マジか。 結構注文入ってきたな。 体力もつか? これ」
「ま、僕と三石は余裕だけどね!」
と、少女漫画のキラキラとしたエフェクトがでてきそうな目の前にいる黒いエプロンを着けた裕太は、移動する度に、かっこいいと囁かれている。
ここまで来たらもうマジで羨ましい。
下準備だけ済ませておいたケチャップライスをハートがいっぱいついた耐熱皿にいれて整形し、レンジで約1分ほどチンする。
その間に、醤油と塩コショウで味をつけておいた卵液をフライパンに半分ほど流す。
ある程度固まってきたら、残りの卵液をフライパンに投入する。
これで、後は火が通れば、フライ返しですくってレンチンしていたケチャップライスに乗せれば完成だ。
時短もできて効率もよい、と昨日見たテレビに書いていたので、俺は夜、実践し、南に食べさせてあげた。
南からは中々好評で、また食べたいと言ってくれた。
これは普通に嬉しかった。
これを後、二人分作らなければいけない。
都合のよいことに飲み物を作り終えた裕太は盛り付けをしてくれている。
「マジで悪いな。 俺一人じゃ回らないって思ったんだよな。 だからサポート呼んだ」
「結構人が来たからね。 しょうがないよ。 飲食店は皆こうだよ」
「マジか。 そういや遼太郎も、バイトの時にそんなこと言ってた気がするな」
盛り付けを終えた後は、皿洗いをしてくれている裕太に俺は卵を乗せながら、話しかける。
時おり、食器のカチャカチャという音とシャワーの音が俺のペースをゆっくりにしてくれる。
「やっと三人前出来た! 運んでくれないか?」
お客さんは勢いを止めることなく増えていき、やっと今座っているお客さんの料理を全て完成させた。
だか、後一時間後までこの作業の繰り返しが待っている。
メニューがオムライスだけで良かった。
ほかのがあったら俺は今頃寝ている。
チラリと裕太達の方を見ると、爽やかな笑顔で注文内容を語り、オムライスを運んでいる裕太が目にはいった。


          ー


「それでは、おまじないをかけていきます。 おいしくなぁ~れ! もえもえキュン♪」

宮浦がメイド喫茶定番のおまじないをかけた所を見て、不覚にも、
こいつ、メイドキャラ似合ってんなと、思っている。
あざとい声が男の脳天に刺さるというか、なんつーの、あんまり俺には分からないけど、一言、こういう時に思うのはどうかと思うけど、なんかエロい。

まぁ、さすがは裕太がいう通り、顔だけでなくて男と付き合うだけあるなぁと少し感心してしまった。

その後順調にお客さんも増え、用意していた200個の卵がもう後、二個で底をつきようとしたとき、来客を知らせる宮浦の声が聞こえてきた。
「お帰りなさいませ! ご主人様! お嬢様!」

        「「え?」」

裕太と遼太郎から驚きの声が聞こえてきたのでなんだろうと、少し厨房から様子を伺う。
「は!?」
そこにいるのは、制服姿でセミロングが良く似合い、後ろ髪はオレンジ色のリボンでとめている高校生とこちらも制服姿で、身長のせいで小学生にも見えてしまうが、その子が中学生だということを知っている。
どちらも俺が知っている人物。
高校生の子は、今日この文化祭にくることを知っているし、時間が少し早すぎただけなのだと思えば自己完結できるが、中学生の方は、俺は呼んでいない。
マジでどうしてここにいるんだよ・・・。

高校生の子 ー 森山と目があった。
彼女は、俺の姿を見て笑ったのか普通に微笑んでいるのかどちらか分からないが、ニコニコと笑っている。
中学生の子 ー 南は俺を見つけると、下品にゲラゲラと笑った、いや、絶対嘲笑った。
「ゲハハ・・・! あつにい、その眼鏡なんなんー? グフフ・・・! ひげもー!」
裕太と遼太郎は、南が俺の事を「あつにい」と言ったことに対して、知り合いと判断したのだろう。
微笑ましくそれを見ていた。
ただ、俺は恥ずかしくて頬を赤めるだけだった。
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