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第3章 選択の文化祭とすれ違う思惑 ~友のために、自分のために~

39時間目 夏の太陽と朝

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「おっはよー!」
「ヴェッ!!」
朝一番からの物凄く大きな声量と腹にめり込む痛みと太陽の光の反射をそのまま、表しているような笑顔。
森山が温かく全てを優しく包み込む春の桜ような人なら、この子はギラギラと暑く、でも憎めない夏の太陽だろう。
もう、中学2年生だというのに、ピンクの熊のゆるキャラの絵がはいった半袖シャツに、母のおさがりだろうゆるゆるのこちらもピンクのズボン。
正直、成長過程の谷間が見えてる。
胸は成長しているくせに、ダサい眼鏡に前に会ったときと全然変わっていない相変わらずの低身長。
髪は何度手入れしてやってもボサボサのままのショートヘアー。
下品で、変態で、俺に対しての恩が全くない。
会えるのは、正月か盆休みだけだったのに。
「うわっ! なんか飛んだ! きったなぁー!」
「ゴボッゴボッ・・・。 な、なんで居る?! みっ、南ぃー!」
従妹である坂井南さかいみなみが俺の部屋にいる。
「おはー! あつにいー! なんでって、この今日と土日に泊まるっておばさんから聞いてないん?」
「いやいや、んなことしらねぇって・・・。 つーか、なんで朝から!? 居るんだ?」
「そやねん。 朝から居んねんけどな。 マミーがあつちゃんの所に行ってきってな。 だから、始発の電車乗ってきたんや!」
フンスと胸を張って腰に手を当てる南。
「と、とりあえずどけよ・・・。 あと、思いっきりダイブしてくんの辞めろよ」
「しゃーないな。 特別やで?」
そういって、俺の上からよっこいしょと言って降りるロリっ子。
「もう朝ごはんやから降りてきーや! おばさんと一緒に南作ったから!」
と言って、ドベベーと階段を駆けていく南。
あんまり走ると滑って転けるよ?
君ドジだからね?
俺は、朝から南の世話を押し付けられる事への面倒くささをため息に混じらせて、制服にパッパと着替えて、降りていった。
「これやでー!」
「おおっ!」
そういって、南が持ってきたのは、サンドイッチだった。
パンがラップにくるまれてペカーと光っている。
「マミーが作ってくれたんや。 食え食えあつにいー! 太りやがれー!」
そう言って、サンドイッチを強引に口に入れてくる南。
味は美味しいんだ。
ハムとマヨネーズは普通に美味しいやつだし、レタスはシャキシャキで新鮮だ。
でも、
「おごごご・・・」
「ほい! ほっほはへ! ふひにひへふは!(おい! ちょっとまて! 口に入れるな!)」
「んー! 何ー? あつにいが全然食べへんから食べさせてるだけやけど?」
俺はゴクンと飲み込んでから、
「お前、俺の事人形かなんかと思ってるだろ! 食べさせ方! きったねぇなぁ! 自分で食うからお前、自分の食えよ。 俺今日学校だから、俺の部屋でゲームするなり、なんなりしといてくれよ。 もうすぐ時間だから」
「わかっー! んじゃ、あつにいの部屋に籠ってエロ本探しておくー」
「エロ本なんてねぇよ」
「んじゃ、ゲームしとく!」
「はいはい」
俺は、すぐに立ち上がり、歯を磨いている。
磨き終わった頃、
「んじゃ、高校いてらー! 気を付けてなー!」
「りょーかい」
俺ん家にも小さなお客が来たなぁと思いつつ、南も成長したなと思う反面やっぱりまだ子供だなぁと父親のような考えが浮かんだ。
「行ってきまーす」
俺がそう言うと、
「いてらー!」
と帰ってきた。
なんだか嬉しい。

          ー

「えっ? 裕太休みなのか?」
「うん。 全然電話もLINEも繋がらなくてさ。 ついさっき、来たんだけど」
ホラと言って、遼太郎は俺達のグループを見せてきた。
「あれっ? 来てたのか。 学校の近くだから通知切ってた」
「マジ? なんかダルいんだって。 文化祭までに早く治るといいね」
「だなぁ・・・。 今日は裕太いねぇのか」
「なんだかツッコミ役が居ないと寂しいね」
「ツッコミ役かどうかはしらねぇけどな」
トコトコと学校に向かった。
確かに何かが足りない気がした。
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