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第3章 選択の文化祭とすれ違う思惑 ~友のために、自分のために~
34時間目 地獄の勉強会
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「いや~! 今日もメシ美味かったな!」
食堂から教室に帰る時、俺は伸びをしながら、大声で言った。
「そうだね。 それにしても明日テストだね。 敦志、どうするの?」
「おいおい、思い出さねぇようにしているんだから、やめてくれよ、そういう事言うのはさ」
「えー、現実から逃げるなー! 今日は僕の家で泊まれば良いよ。 みっちり勉強みてあげるから」
にっこりとした笑顔で俺の肩を掴む裕太は、宮浦さんに負けないほどの腹黒さと笑顔の中の恐怖がある。
やめてくれ・・・。
「さ、今日は僕ん家に行くよ。 敦志は平均70目指そう」
「いやいや、親に見せれる点数だけどもさ」
「はいはい。 異論は認めないよ」
「これ、お前ん家行くしかねぇのかよ」
コクリと二人が頷く。
「・・・ハァ」
俺は今日初めての溜め息をついた。
ー
「おー、広いな。 いつ見ても」
「そうかな? 僕は敦志の家の方がかなり充実していると思うけど」
「誰だって他人の家が良いと思うもんなんだよ。 な、みい・・・じゃなかった。 遼太郎!」
「そ、そうだな! 突然振られて焦ったぞ・・・。 最近なんか俺振られてなかったから嫌われていたのかと思った・・・」
「アホか。 お前には分からない話を裕太としてたんだよ。 ま、とりあえず入ろうぜ。 おじゃましまーす」
「「なんでお前の家みたいに言うんだ??」」
俺は裕太と遼太郎のツッコミを無視して裕太の家に入った。
「あ、薔薇の良い匂い・・・。 何回嗅いでも良い匂いだなぁ・・・」
「それ! 分かる! どうやったら家全体が庭園見たいな匂いになるんだろうね?」
「庭園って・・・。 別に普通に消臭剤撒いているだけだよ?」
「それじゃあ、その消臭剤すげぇわ・・・。 どこに売ってんだよ」
「ささ、勉強しよ」
俺達は裕太の部屋に入り、勉強を始めることにした。
ちなみに、初めて出会ったときに自己紹介をしているのだが、俺と裕太は商業科、遼太郎は工学科に入っている。
「で、あるから、ここのXを求めれるよ」
まずは、数学。
方程式をどんどん解いていく。
モクモクとモクモクと。
だが、
「この問題難っ!」
応用問題で詰まる。
「あ~、そこは、まず底辺を求めてー」
裕太が懇切丁寧に教えてくれる。
なにこれ、塾よりも素晴らしい。
その応用問題を解き終えるには15分もかかってしまった。
「んじゃ、敦志、次は英語だね。 遼太郎は、国語。 古文をやるよ」
「「えー??」」
「えーじゃない! 古文は覚えておかないと困るよ。 敦志は文法間違い多すぎ」
遼太郎はサボりたいらしく、俺は嫌いな英語はしたくない。
「えっと、この問題は、まず、今の日本語と古文は全然違うからー」
「あ、敦志! そこ逆になってる! 読んでみて、すっごく変な日本語になってるから」
「けう? けうって?」
「なんだこりゃ、全然違う意味になってるじゃねぇか」
「あ、そこDon'tがないと肯定文になっちゃうよ」
俺達は裕太にかなり指摘された。
かなり間違ったし、かなり怒られた。
だが、テスト翌日。
「おおー!! 敦志凄いね! 83位! 俺は79位だったよ!」
1年生だけでも300人近くいるこの高校でトップ100位内に入れるのは凄いことである。
「裕太は? 何位だ?」
「僕? 2位だったよ」
「くぁ、おしぃ・・・。 やっぱ委員長が?」
「そうだね、委員長には負けるよ・・・」
俺達からすれば2位をとれること事態が凄いことだが、裕太は悔しいらしい。
「えっと、お前のこの点数凄いな。 なんだよ。 5教科ほぼ100点じゃねぇか。 しかも2点差じゃねぇか」
「いやぁ、美術で油断したよ・・・」
「凄いな・・・」
俺はだだ感心するしかなかった。
結果一覧が出された後、俺達はすぐに帰ることにした。
それは、黒沢センパイが最近良く行っている楽器屋に行くためだ。
そのために俺達は遼太郎のバイト先であるMISHIHANAに行く。
カランと喫茶店特有のベルが鳴り、
「いらっしゃいまー・・・って、あら、三石君! 久しぶり!」
花園さんが驚いた顔で俺達を見ていた。
「お久しぶりです。 あの、白咲さん居ますか?」
遼太郎が笑顔で聞く。
「あ~、今日は菫ちゃんお休みなのよ。 用事なら伝えておくけど?」
メモを取り出す花園さん。
「あ、大丈夫です。 自分の口から伝えたいんで」
「あら? 愛の告白かしら? 良いわねぇ」
「違います。 お金貰ったんでお礼をしたくて」
「フフッ、冗談よ」
花園さんの冗談に遼太郎の顔は真っ赤だ。
「んじゃ、いつものでお願いできますか?」
と、裕太が注文する。
「分かったわ。 そういや、誰か来るのかしら?」
「黒沢さんが来ますね」
「んじゃ、コーヒー用意しておかないと」
そそくさと厨房を出入りする花園さん。
俺はそれを見ながら、仕事ってやっぱり大変だなと思う。
「んじゃ、なにやりたい?」
普段食べているセットメニューを待ちながら、いると裕太が口を開いた。
「んー・・・、結構動画とか見ているんだけど、僕ベースってのをやりたいな。 カッコいいんだよね」
ベースじゃなくてもカッコいい気がする。
「んじゃ、遼太郎は?」
「俺はドラムがいいな! ドラムカッコいいじゃん!」
確かにその性格にあってそうだなと思う。
「え、じゃあ俺はー」
と言いかけた時、
「「ギターボーカルでしょ」」
なんでここでハモる?!
「いや俺って歌ー」
「ヘタだけど練習すればいいじゃん」と二人の声が重なったのとドアの開く音が聞こえたのは同時だった。
「待たせたなァ! さっそく行くぞォ!!」
ドアの方に目をやると夏休みの時と変わらぬ姿の、黒沢センパイが立っていた。
食堂から教室に帰る時、俺は伸びをしながら、大声で言った。
「そうだね。 それにしても明日テストだね。 敦志、どうするの?」
「おいおい、思い出さねぇようにしているんだから、やめてくれよ、そういう事言うのはさ」
「えー、現実から逃げるなー! 今日は僕の家で泊まれば良いよ。 みっちり勉強みてあげるから」
にっこりとした笑顔で俺の肩を掴む裕太は、宮浦さんに負けないほどの腹黒さと笑顔の中の恐怖がある。
やめてくれ・・・。
「さ、今日は僕ん家に行くよ。 敦志は平均70目指そう」
「いやいや、親に見せれる点数だけどもさ」
「はいはい。 異論は認めないよ」
「これ、お前ん家行くしかねぇのかよ」
コクリと二人が頷く。
「・・・ハァ」
俺は今日初めての溜め息をついた。
ー
「おー、広いな。 いつ見ても」
「そうかな? 僕は敦志の家の方がかなり充実していると思うけど」
「誰だって他人の家が良いと思うもんなんだよ。 な、みい・・・じゃなかった。 遼太郎!」
「そ、そうだな! 突然振られて焦ったぞ・・・。 最近なんか俺振られてなかったから嫌われていたのかと思った・・・」
「アホか。 お前には分からない話を裕太としてたんだよ。 ま、とりあえず入ろうぜ。 おじゃましまーす」
「「なんでお前の家みたいに言うんだ??」」
俺は裕太と遼太郎のツッコミを無視して裕太の家に入った。
「あ、薔薇の良い匂い・・・。 何回嗅いでも良い匂いだなぁ・・・」
「それ! 分かる! どうやったら家全体が庭園見たいな匂いになるんだろうね?」
「庭園って・・・。 別に普通に消臭剤撒いているだけだよ?」
「それじゃあ、その消臭剤すげぇわ・・・。 どこに売ってんだよ」
「ささ、勉強しよ」
俺達は裕太の部屋に入り、勉強を始めることにした。
ちなみに、初めて出会ったときに自己紹介をしているのだが、俺と裕太は商業科、遼太郎は工学科に入っている。
「で、あるから、ここのXを求めれるよ」
まずは、数学。
方程式をどんどん解いていく。
モクモクとモクモクと。
だが、
「この問題難っ!」
応用問題で詰まる。
「あ~、そこは、まず底辺を求めてー」
裕太が懇切丁寧に教えてくれる。
なにこれ、塾よりも素晴らしい。
その応用問題を解き終えるには15分もかかってしまった。
「んじゃ、敦志、次は英語だね。 遼太郎は、国語。 古文をやるよ」
「「えー??」」
「えーじゃない! 古文は覚えておかないと困るよ。 敦志は文法間違い多すぎ」
遼太郎はサボりたいらしく、俺は嫌いな英語はしたくない。
「えっと、この問題は、まず、今の日本語と古文は全然違うからー」
「あ、敦志! そこ逆になってる! 読んでみて、すっごく変な日本語になってるから」
「けう? けうって?」
「なんだこりゃ、全然違う意味になってるじゃねぇか」
「あ、そこDon'tがないと肯定文になっちゃうよ」
俺達は裕太にかなり指摘された。
かなり間違ったし、かなり怒られた。
だが、テスト翌日。
「おおー!! 敦志凄いね! 83位! 俺は79位だったよ!」
1年生だけでも300人近くいるこの高校でトップ100位内に入れるのは凄いことである。
「裕太は? 何位だ?」
「僕? 2位だったよ」
「くぁ、おしぃ・・・。 やっぱ委員長が?」
「そうだね、委員長には負けるよ・・・」
俺達からすれば2位をとれること事態が凄いことだが、裕太は悔しいらしい。
「えっと、お前のこの点数凄いな。 なんだよ。 5教科ほぼ100点じゃねぇか。 しかも2点差じゃねぇか」
「いやぁ、美術で油断したよ・・・」
「凄いな・・・」
俺はだだ感心するしかなかった。
結果一覧が出された後、俺達はすぐに帰ることにした。
それは、黒沢センパイが最近良く行っている楽器屋に行くためだ。
そのために俺達は遼太郎のバイト先であるMISHIHANAに行く。
カランと喫茶店特有のベルが鳴り、
「いらっしゃいまー・・・って、あら、三石君! 久しぶり!」
花園さんが驚いた顔で俺達を見ていた。
「お久しぶりです。 あの、白咲さん居ますか?」
遼太郎が笑顔で聞く。
「あ~、今日は菫ちゃんお休みなのよ。 用事なら伝えておくけど?」
メモを取り出す花園さん。
「あ、大丈夫です。 自分の口から伝えたいんで」
「あら? 愛の告白かしら? 良いわねぇ」
「違います。 お金貰ったんでお礼をしたくて」
「フフッ、冗談よ」
花園さんの冗談に遼太郎の顔は真っ赤だ。
「んじゃ、いつものでお願いできますか?」
と、裕太が注文する。
「分かったわ。 そういや、誰か来るのかしら?」
「黒沢さんが来ますね」
「んじゃ、コーヒー用意しておかないと」
そそくさと厨房を出入りする花園さん。
俺はそれを見ながら、仕事ってやっぱり大変だなと思う。
「んじゃ、なにやりたい?」
普段食べているセットメニューを待ちながら、いると裕太が口を開いた。
「んー・・・、結構動画とか見ているんだけど、僕ベースってのをやりたいな。 カッコいいんだよね」
ベースじゃなくてもカッコいい気がする。
「んじゃ、遼太郎は?」
「俺はドラムがいいな! ドラムカッコいいじゃん!」
確かにその性格にあってそうだなと思う。
「え、じゃあ俺はー」
と言いかけた時、
「「ギターボーカルでしょ」」
なんでここでハモる?!
「いや俺って歌ー」
「ヘタだけど練習すればいいじゃん」と二人の声が重なったのとドアの開く音が聞こえたのは同時だった。
「待たせたなァ! さっそく行くぞォ!!」
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