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第2章EX ~高校1年の夏の最後の1日~

30・9時間目 夏休み最後の晩ご飯②

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「おっ、おかえり」
あの後、飲み物を注いで俺達は、席へと帰ってきた。
そして、席にテーブルに目をやるとどうやらデザートを食べている山内と三石。
「おう、ただいま。 何食ってんだ?」
「えっ? 食べちゃダメだった?」
山内の顔に汗が出る。
「いやいや、そういう事じゃなくて。 何を食べているのかなって、気になってさ」
「あー、チョコレートパフェだよ。 三石のはフローズンストロベリーパフェ。 敦志たちはどれを食べるの?」
ハイッと二人分のメニューを渡す山内。
三石はその奥でモグモクとパフェを美味そうに食べている。
流されるがままに、席に座ると、俺はとりあえずツッコミを入れた。
「なんで食う前提なんだよ。 食うけどさ」
「えっと、食べていいのかな?」
森山が心配そうに聞く。
きっと金の心配をしているのだろう。
「いいよいいよ。 僕らの奢りってことで。 まぁ、お金を払うのは敦志だけど」
山内が一見俺が金をいっぱい持っていていくらでも奢ってあげれる人間のような言い方をしたが、もし、本当にそうならそうしたい。
が、まぁ、パフェ二人分くらいなら、金の余りはある。
しっかし、
「なんで俺が払う前提なんだよ・・・」
「いいじゃん。 だって、敦志、黒沢さんから貰った臨時給料使ってないじゃん」
三石がスプーンを口の前でとめて言う。
う、美味そう。
「んじゃ、何する? 森山?」
返事がない。
「・・・森山?」
彼女はハッとした表情になって、
「あ~。 これでいいかな?」
そう言ってメニューを指差して見せてきたのは、最安値のストロベリーパフェ。
「いやいや、そんな安いのでなくていいぞ? 食べたかったら他のを頼んだらいいし」
「だって・・・」
気まずそうにいう彼女の表情にはやはり金関係の事が俺には読み取れた。
「本当に・・・バイトもやってて金余っているからさ。 いいよ。 好きなの頼んで」
彼女は、そう言うとホッとしたような表情になった。
そして、
「・・・ありがとうね」
と笑顔を見せて言った。
「それじゃあ、これでいいかな?」
と言って指差してきたのは、かなりの大きさのパフェ。
上部にはハートの形のチョコが乗っている。
「これ、一人で食えんのか?」
「一人じゃないよ」
彼女がそう言ってきたことに困惑する。
皆で食べる系のパフェだろうか。
なんだか分からないが、山内と三石はニヤニヤしている。
彼女は、顔を赤めて言った。
「た、高橋君と食べたいな」
この一言が決定打だった。
          ー
もちろん、俺は女子の頼みを、人の頼みを断る人間じゃない。
だから、別にこれは頼んだ森山が悪いわけでもないし、意味を知っていて言わなかった山内と三石が悪いわけでもない。
「お待たせいたしました。 パートナーズキッスでーす!」
パートナーズキッスと名付けられたその通常のパフェ5個分は余裕でありそうなパフェが、ドーンとテーブルを占領していた。
「・・・マジでこれ食えんの? 俺食える気しないんだけど・・・」
「最悪僕らも手伝ってあげるからさ。 二人で頑張ってよ」
なんだか、夏休みは大食いをすごくした気がする。
一方森山は、美味しそうにパクパクと食べていった。
「んー! おいひー! ありがとう! 高橋君!」
「あ、ん、いや、どういたしまして」
はい、噛んだ。
パフェの味はただただおいしかった。
ストロベリーのソースは生クリームと絡み合って最高に美味しかったし、下部にあるスポンジケーキもショートケーキだったため、普通に美味しかった。
ただ、始めにハンバーグを食べたからか、もしくは昼のオムレツ&お好み焼きがまだ腹にあるのか、分からないが、俺は数分で撃沈した。
「高橋君・・・甘いもの苦手?」
森山がそう聞くのも無理はない。
森山はコーラフロートを飲み物にしているが、俺はほうじ茶。
そして、皆カルボナーラやらオムライスやらマグロ丼やらを頼んでいるのに俺はハンバーグ定食。
「いや、違う。 違うけど、二日連続で甘いものは流石に胃が死ぬっ!」
「しゃーないよ。 敦志、あれは白膠さんの完璧なミスだから」
「敦志確かにあんまり貢献してなかったもんね。 かき氷食べるの」
そういいながら、三石はパフェを食べていってる。
「お前、パフェさっき食ったばっかだよな? なんでそんなに食えんの? 胃袋大丈夫?」
「全然平気だよ?」
俺はほうじ茶を一気に飲み干し、飲み物入れてくるといって席をたった。
口のなかは甘ったるいけど優しい味に包まれていた。
それは全然不快じゃなかった。
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