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第2章EX ~高校1年の夏の最後の1日~

30・5時間目 夏休み最後のゲーセン

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「では、いただきます」
ゴクリと喉をならして俺達は恐る恐るお好み焼きを口に入れる。
「・・・!」
皆、目を見開いた。
口に入れた瞬間からソースの味に舌が占領される。そして、豚肉の旨味とキャベツの甘味が恐ろしいほどに見事に絡み合い、トドメと言わんばかりだろう生地が大坂を象徴している。
「・・・はぁ、なにこれ。 美味すぎじゃん」
「ヤバいな。 舌殺人が起きたわ」
俺と三石はお好み焼きの美味しさに見事に驚いた。
「舌殺人って・・・」
山内が笑いを必死に堪えている。
今年度イチ笑ってんじゃないか?
服の上から分かるんだもん。
腹筋ピコピコうごいてるんだもん。
「美味しいね」
「あぁ、そうだな、あー!! って、オイ! とるなよ。 勝手に俺のさ」
「? 何が?」
「何がじゃ、ねぇよ! 目ぇ見えねぇの?! フシアナなの? メンタマ大丈夫ですかー?!」
「あ・・・」
三石は一度固まったが躊躇せずにパクリとお好み焼きを飲み込んだ。
「お、俺のお好み焼きぃ・・・」
俺はチーンとなりながらも一口食べれたからいいかと心を切り替えた。
「ブッ・・・。 うははっはっはっは! ヒィー。 あー、お腹痛っ! あははははは!」
山内が優等生とは思えないほどの笑い声を出した。
「おーい、そんな笑うなって」
俺はジト目で、三石は、
「わっはっはっ! 敦志ざまぁー!」
こいつぅぅ!
と、なる。
俺の額にはピキピキと血管が浮き出ている。
「アホンダラ。 お前が食っただろうが」
俺は三石の広いデコにデコピンを1発お見舞いしてやった。
パチンと心地よい音が鳴る。
「いったぁ・・・。 ごめんて、敦志ぃぃ・・・」
「いや、別にいいんだけどさ。そろそろ行こうぜ」
「ふふっ・・・。 そ、そうだね。 行こうか」
俺達はお支払を終えたあと、買い物をすることになった。
フラフラとアテもなく歩いていると、
「あっ、ゲーセン寄ろうよ! まだ時間あるし!」
と三石が言った。
「ゲーセンか・・・。 久しぶりに行くな。 俺は全然良いけど」
「僕も大丈夫だよ! 三石、久しぶりにカートゲームで勝負だ! 敦志も!」
「やったー! 望むところだ!」
「えっ、俺もやんのかよ」
三石を先導に山内、そして、引っ張られる俺。
少しハアハアと息を整えていると、ゲーセン特有の音楽が聴こえてきた。
「いやぁ、広い! ここは来たことない!」
三石が感激と言わんばかりに声を出す。
「敦志、山内! はやく! ここだよ!」
と三石が指差すのは運転席を型どったアーケードゲームだった。
それぞれ座席に座り、100円を入れてから、個々で練習する時間が与えられた。
「えっと、これがアクセルで、これがブレーキで・・・」
三石はフンフンと画面を見てすんなりと覚えた。
ゲームの頭はいいんだな。
俺と比べるほどの点数をテストでとっていたけど。
画面に目を向けると、レース開始の合図があった。
カウントダウンが表示されると俺は「1」の所でアクセルを踏む。
スタートダッシュを無事にきれ、二位まですんなりと行けた。
「ああっ! エンストしちゃった!」
三石は何やら、事故ったらしくエンジンが数秒間止まってしまったらしい。
首位を争うのは俺と山内。
山内は現在トップを走っている。
キラキラと輝く箱をとり、そのアイテムを山内に投げつけた。
「あっ! カメ投げた! 意地悪っ!」
山内は一周クルリと回り、ピヨピヨと星が出ていた。
「っし、トップ!」
ラップが一周しかないコースのため、このままゴールまで突っ走れと思った時、
電撃を食らわされて、なんかトゲ付きのカメが飛んできたのは同時だった。
「うっわ、ちっちゃくなったし、なにこのカメ! 付いてくる!」
と言ったときには、ドーンとぶつかっていた。
三石かーい!
三石は、そのまま独走し、ゴールインしたのであった。
「なにあれ・・・」
「くやしぃー!」
「よっしゃー! トップ!」
こうして、カートゲームは終了した。
あと他には、クレーンゲームをし、1000円払っても中々取れなかった。
くそう。
こうして、小一時間ゲーセンで過ごし、俺達が時計を見たときは18時だった。
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