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第2章EX ~高校1年の夏の最後の1日~

30・4時間目 夏休み最後の昼食

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「オムレツだよ!」
山内がそう宣言するオムレツ屋・・・もとい、学生にかなり人気のある料理店はショッピングセンターの内部にあった。
そこはオシャレな高級レストラン風の内装で黒を基調とした少し暗めの部屋だ。
だが、点在しているランプが高級感を引き出させている。
「おぉ・・・。 ここか・・・」
「そうそう。 ここだよ。 僕この店一度行ってみたかったんだよね。 めちゃくちゃ人気があるから」
「でも、今日はあんまり人が居なそうだよ? めちゃくちゃ来てそうな感じだと思っていたけど」
「僕らは運が良かったんだね。 行こう」
山内は前もって予約でもしていたのだろう。
名字を言って3名と言うと店員はそそくさと俺達を案内した。
俺達は座ると店内の注意事項が店員から送られてくる。
しかし、俺達は善良かつ優秀な学生。
悪いことはしない。
聞き流して山内が会釈を返すと、店員はごゆっくりと言い残して、去っていった。
「♪~♪~!」
「三石、その鼻歌って・・・」
「ああ、MISHIHANAにも流れているBGM。 聴きまくっているから覚えちゃった」
「あ~。 分かる。 開閉音とか聞こえるとハッて反応するよな」
俺が言うと山内も三石もウンウンと頷く。
「僕もだよ。 思わずいらっしゃいませーっていいそうになるよね」
「あるあるだね」
「そうだなぁ」
と、会話をしていれば、店員さんがご注文はお決まりですかと言ってこちらに来た。
「んじゃ、この名物オムレツ3人前で。 後は・・・」
俺は一番後ろのメニューを指差していう。
「この『限定お好み焼き』ひとつお願いします」
「マジで?」
「えっ? お好み焼き?!」
「んじゃ、俺もひとつお願いしますー」
店員さんが注文を繰り返して言ってそそくさと去っていった。
少し間が開いたが、それを破ったのは山内だった。
「・・・マジで? めっちゃ食べるね」
「普段これくらい食べるぞ?」
「オムレツとお好み焼きかぁ・・・。 絶対美味しいって!」
「凄いね・・・。 僕には到底食べれないや・・・。 太らないの?」
「「女子か」」
三石と久しぶりにハモった気がする。
そんなかなり子供っぽい会話をしてそして俺達の話題は明日からの学校の事になった。
「そういや、明日から学校か~! 夏休みってなんで終了間近に後悔が募るんだろうな」
「まぁ、今年の夏は本当に充実したね。 僕は最高だったよ」
「俺もだなぁー! 小学生とか中学生の時とかも良かったけど、やっぱり今年は格別だったな」
「そうだな。 ま、本当にいつもありがとうな。親友!」
「それ夏休み入るときも言ってなかった? 懐かしいね」
「懐かしいねって言えるほど充実してるもんな」
「そーそー!」
「敦志はやっぱり凄いな」
突然言われた言葉に動揺した。
「な、なんだよ? いきなりさ」
「誰に対しても態度を変えないその姿ってカッコいいんだよ」
「そうか? 俺はそれで過去に失敗してるからなんとも言えねぇけど・・・」
「まぁ、とりあえず、敦志はもっと自信を持った方がいいよ。 自分に自信がないからきっと、誰に対しても態度を変えない事に、過去の事を気にしているんだろうから」
「そうだな。 そうしてみる」
俺が言い終えると、店員さんがオムレツを運んできた。
「うわぁぁぁ! すげぇ! すげぇよ! 美味そう!」
歓声をあげる三石。
「わぁぁぁ!」
顔を輝かせる山内。
「う、ぉ・・・。 うまそう」
呆然とする俺。
美味そうだからだ。
だが、スプーンを動かして、
「「「いただきます」」」
と言い、3人で黄金色に輝いている物を口に入れる。
「うっま!」
「口の中でとろけるな」
「・・・」
口に入れたと思うとトロンと溶けるようになくなるたまご。
「オムレツめっちゃ美味しいな」
「まじで!」
「来て良かったね」
俺達はすぐにオムレツを食べ終えたのであった。
そして、タイミングを見計らっていたのか食べ終えた時、お好み焼きが運ばれてきた。
「おお!」
「見てみて!山内! 凄い凄い!!」
三石はもうおおはしゃぎだ。
キャベツが程よい大きさにカットされて、上手く生地に入り込んでいる。
そして、豚肉が華麗に茶色をだし、そこに旨味の極みでもあるソース、鰹節、マヨネーズがかかる。
「いただきます」
俺はそれを小さく切って口にいれようとする。
三石はとりあえず、うるさい。
大阪の味。
絶対美味い。
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