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第1章 青春のスタートライン ~始まりの高校生活~
12時間目 後半戦の体育大会
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「「「ご馳走さまでした!!!」」」
昼飯であるカレーを教室で堪能した。
カレー、美味かったな。
カレーなんてレトルト以外でひさしぶりに食べたな。
また食べたいなと思う俺の学食ランキング暫定トップに入ったところで、俺達は食堂にトレーを返しにいっていた。
食堂のおばちゃんが、
「はい、お粗末様」
と笑顔で言った。
やはり、笑顔は凄いと思う。
人をこんなにも温かな気持ちにさせるから。
そういう面では三石は凄く素敵なんだなと改めて思ったのだった。
真昼の太陽がジリジリと地面を照らす。
暑さには勝てず、沢山の人が水分を重宝している。
まるで本格的な夏が2ヶ月早くやってきたような暑さだ。
その炎天下の中、俺達は体育大会後半戦を繰り広げる。
後半戦が始まる直前、俺達のチーム、赤チームは円陣を組んだ。
きっと、運動が出来てかなりモテている少年が誘ったのだろう。
だが、その少年の好感は、山内の登場によって掻き消された。
「山内くーん!! 後半戦も頑張ってーー!」
「うん。 頑張るよ」
女子の一人が山内に話しかけた。
そして、返事を貰った後、その女子は嬉しそうな笑顔で帰っていった。
「あ、裕太くーん! 後半戦頑張ろっ!っね!」
ある女子が山内の話しかけた瞬間、女子の周りの空気が南極程の寒さに変わったのが俺には分かった。
女子グループはこう思ったに違いない。
(ゆ、ゆうたくん? いま、あの子、ゆうたくんって言ったよね)
と。
そして、数々の殺意や殺気が溢れてその女子に集中しているのが分かった。
こっわ。
女子こっわ。
しかし、山内や三石、その他の人間にこの空気が伝わる事はあるまい。
そんな事を気にせずに、
「やぁ、カナ。 そうだね。 頑張ろう」
カナと呼ばれた女子はまるで山内の為に生きているかのような感じがした。
なんだ。
これ。
その女子から、なぜかとても怖い感じがするのだ。
俺は寒気がした。
暑いはずなのに。
山内は、その子と一言二言話しただけでその会話は終了した。
ザッと、円になって好感を持っていかれた少年が声を出す。
「赤チーム絶対勝つぞー!!」
『オー!』
「優勝するぞー!!」
『オー!!』
こうして、後半戦が幕を開けた。
後半戦は、クラス対抗学級リレーがあった。
始めに女子の部をした。
運動が出来るテニス部の子やバスケ部の子が大活躍していた。
カナという人も活躍していた。
が、山内はそれほど喜んではなかった。
憶測だが、向こうから一方的に好かれているようだ。
正直、彼を見ていると、勝手に好かれて勝手に告白されるパターンが多いように見える。
さっき、食堂に行くときに考え事をしていたのはこの事なのだろうか。
本人に直接聞かなければならないな。
そして、俺達の、男子の番がやってきた。
3チームでの対決だ。
メンバーは、俺、山内、三石だ。
事前に出る人を決め、俺は入学してから2日目にやった50メートル走を見込まれ半強制的に、山内は自ら志願し、三石は仲が良い俺達が居るからと希望した。
で、3人で話し合う事もなく、このメンバーになった。
俺は、第一走者だ。
スタートダッシュが肝心だ。
俺達は勝つ。
男子は勝負事には厳しいぞ。
「オンユアマークス!」
クラウチングスタートというスタートなので、付いている膝を少し浮かした。
「セット!」
やや前のめりだがこれくらいの角度がないとスピードが出ない。
パァン!と銃のような音がして、俺達は一斉に地面を蹴る。
駆け抜けろ。
ワァァと、歓声が上がり、生徒席から女子や上級生の頑張れと声援が送られる。
もっと。
もっとだ。
スピードを上げろ。
ハッとなって意識を前に集中させる。
山内が居るテイクオーバーゾーンまで後、10メートル。
後ろを振り向くと俺がトップを走っていて、俺の少し後ろに赤のハチマキをした生徒が走っている。
同じクラスかなと思いつつも全力をだす。
「山内、はい!」
バトンは山内に繋がれた。
コース外で息を整えていると、山内がものすごい速さで走っているのが目に見えた。
俺は思わず呟いた。
「は、はやぁ・・」
そして、そのまま、トップのまま、三石にとバトンを繋いだ。
「いけー! 三石ー!」
他の生徒もいよいよ最後の3人目にバトンを繋いでいる。
盛り上がりは最高潮に達している。
三石は、やはり、すばしっこい。
だが、皆最後に走りの速い人をいれているのか、三石は追い付かれそうになる。
後、30メートル。
山内が戻ってきて、俺達はお疲れと声を掛け合う。
「三石ー!抜かれるなー!」
山内が叫ぶ。
三石は聞こえてたのか、ニコリと微笑む。
そして、そのまま、ゴールをした。
クラス、学年を越えて、歓声が沸き上がった。
俺達は、三石が戻ってきたのを確認すると、目を見て笑いあった。
そして、お疲れと言い合った。
体育大会はまだ終わらない。
昼飯であるカレーを教室で堪能した。
カレー、美味かったな。
カレーなんてレトルト以外でひさしぶりに食べたな。
また食べたいなと思う俺の学食ランキング暫定トップに入ったところで、俺達は食堂にトレーを返しにいっていた。
食堂のおばちゃんが、
「はい、お粗末様」
と笑顔で言った。
やはり、笑顔は凄いと思う。
人をこんなにも温かな気持ちにさせるから。
そういう面では三石は凄く素敵なんだなと改めて思ったのだった。
真昼の太陽がジリジリと地面を照らす。
暑さには勝てず、沢山の人が水分を重宝している。
まるで本格的な夏が2ヶ月早くやってきたような暑さだ。
その炎天下の中、俺達は体育大会後半戦を繰り広げる。
後半戦が始まる直前、俺達のチーム、赤チームは円陣を組んだ。
きっと、運動が出来てかなりモテている少年が誘ったのだろう。
だが、その少年の好感は、山内の登場によって掻き消された。
「山内くーん!! 後半戦も頑張ってーー!」
「うん。 頑張るよ」
女子の一人が山内に話しかけた。
そして、返事を貰った後、その女子は嬉しそうな笑顔で帰っていった。
「あ、裕太くーん! 後半戦頑張ろっ!っね!」
ある女子が山内の話しかけた瞬間、女子の周りの空気が南極程の寒さに変わったのが俺には分かった。
女子グループはこう思ったに違いない。
(ゆ、ゆうたくん? いま、あの子、ゆうたくんって言ったよね)
と。
そして、数々の殺意や殺気が溢れてその女子に集中しているのが分かった。
こっわ。
女子こっわ。
しかし、山内や三石、その他の人間にこの空気が伝わる事はあるまい。
そんな事を気にせずに、
「やぁ、カナ。 そうだね。 頑張ろう」
カナと呼ばれた女子はまるで山内の為に生きているかのような感じがした。
なんだ。
これ。
その女子から、なぜかとても怖い感じがするのだ。
俺は寒気がした。
暑いはずなのに。
山内は、その子と一言二言話しただけでその会話は終了した。
ザッと、円になって好感を持っていかれた少年が声を出す。
「赤チーム絶対勝つぞー!!」
『オー!』
「優勝するぞー!!」
『オー!!』
こうして、後半戦が幕を開けた。
後半戦は、クラス対抗学級リレーがあった。
始めに女子の部をした。
運動が出来るテニス部の子やバスケ部の子が大活躍していた。
カナという人も活躍していた。
が、山内はそれほど喜んではなかった。
憶測だが、向こうから一方的に好かれているようだ。
正直、彼を見ていると、勝手に好かれて勝手に告白されるパターンが多いように見える。
さっき、食堂に行くときに考え事をしていたのはこの事なのだろうか。
本人に直接聞かなければならないな。
そして、俺達の、男子の番がやってきた。
3チームでの対決だ。
メンバーは、俺、山内、三石だ。
事前に出る人を決め、俺は入学してから2日目にやった50メートル走を見込まれ半強制的に、山内は自ら志願し、三石は仲が良い俺達が居るからと希望した。
で、3人で話し合う事もなく、このメンバーになった。
俺は、第一走者だ。
スタートダッシュが肝心だ。
俺達は勝つ。
男子は勝負事には厳しいぞ。
「オンユアマークス!」
クラウチングスタートというスタートなので、付いている膝を少し浮かした。
「セット!」
やや前のめりだがこれくらいの角度がないとスピードが出ない。
パァン!と銃のような音がして、俺達は一斉に地面を蹴る。
駆け抜けろ。
ワァァと、歓声が上がり、生徒席から女子や上級生の頑張れと声援が送られる。
もっと。
もっとだ。
スピードを上げろ。
ハッとなって意識を前に集中させる。
山内が居るテイクオーバーゾーンまで後、10メートル。
後ろを振り向くと俺がトップを走っていて、俺の少し後ろに赤のハチマキをした生徒が走っている。
同じクラスかなと思いつつも全力をだす。
「山内、はい!」
バトンは山内に繋がれた。
コース外で息を整えていると、山内がものすごい速さで走っているのが目に見えた。
俺は思わず呟いた。
「は、はやぁ・・」
そして、そのまま、トップのまま、三石にとバトンを繋いだ。
「いけー! 三石ー!」
他の生徒もいよいよ最後の3人目にバトンを繋いでいる。
盛り上がりは最高潮に達している。
三石は、やはり、すばしっこい。
だが、皆最後に走りの速い人をいれているのか、三石は追い付かれそうになる。
後、30メートル。
山内が戻ってきて、俺達はお疲れと声を掛け合う。
「三石ー!抜かれるなー!」
山内が叫ぶ。
三石は聞こえてたのか、ニコリと微笑む。
そして、そのまま、ゴールをした。
クラス、学年を越えて、歓声が沸き上がった。
俺達は、三石が戻ってきたのを確認すると、目を見て笑いあった。
そして、お疲れと言い合った。
体育大会はまだ終わらない。
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