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第1章 青春のスタートライン ~始まりの高校生活~

8時間目 体育大会の朝

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朝。
すずめの鳴き声と、眩しい太陽の光で、自然と目が覚めた。
目覚まし時計は、まだ、指定時刻を指していない。
もう少し、寝ようかと毛布を掛けなおそうとした時、床に落ちていたスマホが震えた。
「ん・・? んぁ・・」
誰だろうと、意識が睡眠に引っ張られる所をなんとか耐え、スマホに目をやると、それは、『仲良し😃🍒😃』と、書かれたグループLINEからだった。
完全に、意識が現実に戻った俺は、その内容を確認した。
まず、ビックリしたのは、三石が、凄く早い時間に起きていたと言うことだった。
昔、野球をやっていた自分なら、とっくに起きていて、朝練でも向かっている時間。
そう、朝の5時に彼は、起きていた。
その内容は、
『興奮して寝られな~い!(T-T) 誰か~🆘』
と、言う、絵文字を駆使して、いかにも三石っぽいメールだった。
俺は、こんなメールを送った。
『とりあえず、布団の中に居っとけ。じゃあ、寝れる😌🌃💤二度寝する』
しばらく待っていたが、既読が1しか付かなかったので、山内は、寝ているのだろうと思っている。
思い出せば、彼は、カラオケで寝ていたときも一番遅く起きたからだ。
そうして、俺は、三石に送ったLINEの通りに、睡眠へと意識をすぐに引っ張った。

ピピ・・
ピピピ・・・
ピピ・・
ガンッ!
ピ・・
少し薄れた意識の中で目覚まし時計を、思いっきり叩いてしまった事を後悔する。
叩く位置がズレて、小指もろとも全力で叩いてしまったのだ。
そのおかげ?で、目は当然覚め、朝から痛い思いをしたのであった。
「くぅ~。 痛った」
体操服に着替えてから、ハァとため息をつきながら、朝御飯を作り始める。
今日は、みんな大好きベーコンエッグだ。
俺は目玉焼きは、半熟の方が好きだ。
あのトロットロの黄身にベーコンをつけ、そして、白身と一緒にお口にダイブさせると、旨味という旨味が口一杯に広がり、朝から小指をぶつけた等すぐに忘れる事が出来る。
今日も変わらず、
「うん、うまい!」
このベーコンエッグのおかげで、朝からご飯は進み、軽く2杯は、ペロリと平らげてしまった。
           ー
「やぁ! 高橋!」
今日も、この温かい声で俺の名前を呼ぶ少年。
いや、彼はどちらかと言えば青年だ。
俺の方へとゆっくり歩いてくる人物。
キレイに寝癖を整え、というか、寝癖なんて彼にはないというほどのサラサラヘアーな人間は、この世に一人しかいない。
超が付くほどのイケメン、山内裕太やまうちゆうたである。
普段と違うのは、体操服に着替えているということだけだ。
まぁ、予想した通りというか、予行の時も、体育の授業の時もそうだが、彼は、本当にどんな服を着ても似合うと思う。
服が彼に着てもらうことを喜んでるみたいに俺には見えなくもないのだ。
そんなイケメンな山内に、挨拶を交わして、数分トコトコと歩いていると、
「ヤッホー! おっはよー!」
と、いつにまして、テンションの上がった声で、普段より一段高い声で挨拶した少年が後ろにいた。
後ろを振り返ると、朝から絶対こんなテンションだったのだろうと思われる笑顔で手を振っていた。

一見女子に見間違う少年、三石遼太郎みいしりょうたろうがいた。
「オース、おはよう」
「やぁ、おはよう いつにまして元気だね」
「今日全然寝れなかったから、ずっとこのテンションなんだよね」
フフーンと胸に片手をあてて、自慢気にいう三石。
ん、可愛いね。
やっぱり、彼には、学校に着いてから貰えるハチマキがあった方が似合うなと一人思ったのであった。
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