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3年目 青春最後の罰 ~後悔のない物語を~

第25・5話 修学旅行 僕らのライブと時間の重み

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レクリエーション大会の時間がやって来た。
僕らは楽しみながらも、緊張していた。
リア充なやつらのダンスを見て、女子のダンスを見て、クイズ大会で盛り上がる。
時間を忘れるほど楽しい時間だった。
そして、22時。
幕を下ろす前に盛り上がってほしい。
どうか、楽しんでほしい。
コッソリと裏舞台へ足を運んだ僕らは、アコースティックギターのチューニングを終え、声だし。
舞台では爆音が鳴って裏の声が聴こえないようにしている。
「……本当に来たんだね」
バンド仲間は、出会った頃のように緊張していた。だけど、あの時と違うのは眼鏡の奥の淀んだ瞳が輝いている事だ。
そして、僕も変わった。
アイツとあの子を傷付けて、自分も傷ついた。
今から歌う90年代のサクランボの曲は彼らに心の中で宛てて歌うものでもあるんだ。
「うん。でもさ、僕らきっと大丈夫。過去を乗り越えてきたからね」
バンド仲間にも、辛い過去があったのを僕は知っている。
「さぁ、いこう」
僕らは舞台に飛び出す。
この時だけ、僕は根暗な「僕」じゃなくてアーティストとしての「僕」だ。
歓声。
それも沢山の。
「皆さんこんばんはー! 早速歌います!」
歓声が心に響く。
単音をバンド仲間と合わせる。
手拍子と歓声は止まない。
自分が出せる最高の歌声とギターテクニックを披露。
一曲目は終わった。
「アンコール!」
「「アンコール!!」」
誰かが言ったその声は徐々に広がり、大きくなっていく。
「アンコール、ありがとうございます! この曲です。どうぞ」
その曲は世界にオンリーワンの花だ。
その歌は動画付きで修学旅行の準備風景が写し出されていた。
僕らは、最後の最期まで弦を弾くピックに想いを込めながら歌った。
僕らのライブは終わった。
「あー、楽しかった!」
「うん。楽しかった。時間って長いようで短いね」
僕らは興奮しながらも、睡魔には勝てずに寝てしまった。
この日々ももうすぐ終わってしまうのか。
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