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第34話 胸騒ぎ

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side:リネット


帝都滞在2日目

今日は予定通り、クラウス様、カイザー、ジュリアさん、グレゴリオさん達と一緒に帝都の街を観光している。

とは言え

私達の周囲には帝都の住民に扮した護衛の人やメイドさん達が目立たないように付いて来ているから、気分的には団体旅行だけどね(笑)


皇帝陛下への謁見と私のお披露目は明後日で、明日は謁見の為の打ち合わせとリハーサルがあり、それが終わればシュナウザー侯爵領に帰るから

自由時間はほぼ今日だけだから、存分に楽しまなくっちゃね!


早速気になる食べ物を売ってる屋台を発見♪


「すいませーん、ソレは何ですか?」

「薄パンに8種類のチーズを乗せて焼いてからハチミツをかけたものだよ、買うかい?」

「パンにチーズとハチミツ、、、甘味という事ですか?」

「んー、難しい質問だな。甘くもあるが塩気もあるし、ハチミツ多めなら甘味って事で良いんじゃないか?」

「ではハチミツ多めで1つ下さい。」

「あいよぉ、1つ銅貨5枚ね」

「銅貨5枚ですね、どうぞ」

「まいどありぃ~♪」


おおっ!

熱々の薄パンにチーズとハチミツがかかっていて、なんとも言えない匂いがする。

ではひと口、あむっ、、もぐもぐもぐもぐ、美味しぃー♪

ハチミツ多めだから甘いのは当然だけど、チーズの塩気が程よく効いてて、甘味のような甘味でないような不思議な食べ物だ。

シンプルな料理だから私でも作れそうだけど、使ってるチーズの種類が味のポイントになってるみたいだから、料理長のアマンダさんに相談してみよう。


「りへっとさふぁ、こへもおいひぃでふよ♪もぐもぐもぐもぐもぐもぐ」


ジュリアさんも屋台で何か食べ物を買ったようで、口いっぱいに詰め込んでもぐもぐ食べながら嬉しそうに戻って来た。


「美味しいって事は伝わったから、喋るのは食べ終わってからで良いからね」

「もぐもぐもぐもぐもぐもぐ、んっぐ、はぁ~美味しかった♪
油で揚げたパンに黒砂糖をまぶしたパンが凄い美味しかったです!」

「黒砂糖?そういうのもあるんだ。さすが帝都、知らない物が沢山だね」


「ガフッガフッガフッガフッ!」

「どうだカイザー旨いか?」

「わんっ♪ガフッガフッガフッガフッ」

「そうか旨いか!向こうの蒸し鶏も気になるから後で食ってみるか?」

「うぉん!」


ふふっ

カイザーもグレゴリオさんに買って貰った肉串を、ガフガフ言いながら勢いよく食べてご機嫌だね。




「「「「「ざわざわざわざわ、ざわざわざわざわ、ざわざわざわ」」」」」


ん?

何だか周囲の人達がざわざわし出したけれど、何かあったのかな?


「あっ!煙が上がってます!」

「えっ?何処?」

「あそこ、西門の近くです!」


ジュリアさんの指差す方を見ると、確かに黒煙が上がっていて、場所は城壁の西門に近い場所だ。

煙の出所が城壁の内側か外側かで対応が変わって来るんだけど、まさか帝都で徒党を組んだ賊が来た訳では無いだろう。

いくら数を集めてもただの賊では帝都の騎士団の相手にならない事くらいは、孤児院の子供でも知ってる常識だ。


「何があったか分からんが、このままだと野次馬が集まって来て身動きが取れなくなるかもしれん。いったん滞在場所に戻ろう。」

「はい!」


クラウス様の指示で護衛の皆が集まって来た。

既に私達の周囲では、黒煙の上がっている現場を見に行こうとする人と、万が一に備えて避難をしようとする人達で混雑し始めている。

その中をグレゴリオさんが先頭に立って人々を強引に次々と押し退けて進んで行く。

流石はグレゴリオさん、こういう時には凄く頼りになる!


でも胸騒ぎがして落ち着かないのは何故なのだろう?





つづく。
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