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第2章 商い篇

第18話 午後の営業

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side:加藤菜穂



「ベアトリスさんのバイト代は本当に銀貨5枚相当の商品で良いんですか?」

「勿論だよ、銀貨を貰ってもどうせ商品を買うんだからさ♪それより商品が売り切れにならないかの方が心配なんだけど」

「それは大丈夫ですよ、在庫は沢山ありますから」

「やったぁー♪そしたらお客さん入れるね、いらっしゃいませー!」



ベアトリスさんがこちらに背を向けたのを確認してから、向こうから見えない位置にスマホを置いて謎のネットショップを開く

こうしておいて陳列している商品が無くなり次第、商品を買い足していけば在庫切れは無い♪

お店用に謎のネットショップで買った商品は、レジカウンターの下に置いてある物置きに来るように事前に要望を出しておいたから準備万端!

みっちゃんがドワーフさん達の相手をしに外に行っている間、お店は私が守ってみせーる!



ーーーーーーーーーーーーー



side:ベアトリス



ふふっ

いきなりナホさんにバイトをしないかと言われた時はびっくりしたけど、報酬として銀貨5枚分の商品を貰えるなら断る選択肢なんて無い!

命の危険を感じながら1日中ポーターとして働いても、銀貨5枚も稼げる日は本当に少ない、、、

というかそんなに報酬を出せる余裕がある冒険者が居ないんだよねぇ


ナホさんとミチルさんはどう見ても働く事に慣れて無いし、服装や言葉使いに綺麗な髪の毛と指先をしているから

どっかの貴族か金持ちのお嬢さんなんだろうなぁ、羨ましい!

まぁナホさんとミチルさんは典型的な世間知らずのお嬢さんみたいだし、私が色々と教えてあげて仲良くなれば

稼ぐチャンスが増えそうだから良いんだけどね(笑)



「ねぇねぇベアトリス、もうお店に入って良いの?」


いけない、呑気に考え事をしてる場合じゃ無かった、いくらお客が同じポーターをしている知り合いばかりとはいえ

今の私はナホさんに雇われた従業員だ、雇い主にがっかりされないように頑張ってお仕事しないとね♪


「いらっしゃいませー!」

「「「わぁっ♪」」」


ふふっ

最初にお店に入って来た3人は今日初めてお店に来た子達だ、ダンジョンの中にこれほどの商品を売ってる店があるんだもの驚くのが普通、、、なんだけど中には

「ダンジョンでは何が起きても不思議じゃない」

って言って全く驚かない変わり者も少なからず居るけどね(笑)



「昨日ベアトリスから聞いてたけどマジで新鮮な果物がある!」

「こっちのはキャサリンが言ってた水を通さない袋でしょ?こんなにペラペラなのに水を通さないなんて」

「それより透明の袋に入ってるパンが超柔らかいんだけど」


あちゃ~、商品を手に取って確かめるのは良いけど、扱いがちょっと雑なのよねぇ

こんなの今まで気にした事無いけど、従業員の立場になったら急に気になる!


「こらこら、商品のパンをつつくんじゃない!買い取らせるよ!」

「買うのは良いけど値段はどれも1個銀貨1枚均一なんでしょ?果物は納得の値段だけど、パンは味も分からず簡単に払えるほど安くは無いんだよね」

「「そうそう!」」


うーむ

お店の商品はお値段以上に価値のある物だと自信を持って言えるけど、確かに私達ポーターにとって銀貨1枚は安く無い

それでもダンジョンの入り口前にある店で、銅貨7枚で売ってるカッチカチの不味いパンを買うよりは断然お得なんだけどなぁ


「えっと、ナホさんどうしよう(汗)」

「そしたら試食して良いですよ」

「えっ?!ちょっ、ちょっと待った!試食って無料で食べさせるんだよね?」

「ええ試食ですから無料ですね」


くっ!

これだから世間知らずのお嬢さんは困る。


「ナホさん、ここで試食なんてやったら今並んでる客全員に試食をさせなきゃならなくなる、そんな事をしてたら儲けが無くなっちゃうよ!」

「そこは大丈夫ですけど、、、パンはひと口大に切って試食は1人1回までで、2回食べた人は罰金を払って貰いましょう。」

「身ぐるみ剥いだり磔にしなくて良いの?」

「はっ、磔?!しなくていいですから(汗)」


「そう?ナホさんがそう言うなら良いけど」

「店主さんが良いって言ってるんだから早く試食させなさいよぉ~」

「はいはい直ぐ用意しますよーっと、、、はい出来た」

「「「いただきまーす、、、旨っ!」」」

「ちょっとベアトリス!何よこのパンは!」

「外の店より断然柔らかくて美味しいでしょ?」


「美味しいなんてもんじゃないわよ!」

「あたし銀貨2枚しか持って来て無いよ(泣)」

「ナイフと交換出来ないかな?それとも体で払うのは駄目?」


あれれ?

なんか私の考えていた事と違う方向の心配事が出て来た気がする

この3人のリアクションを見てると、借金してでもパンを買いに来る子がいても私は驚かない

っていうかちょっと待ちなさいよ


「ナホさんに色仕掛けで迫ってジャムを値切って買おうとするんじゃなーい!」





つづく。

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