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第1章 無人島篇
第8話 304号室
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side:桜井美智瑠
私となっちゃんは304号室の前でどうしようかしばらく考えてから
思いきってインターホンを押そうと決心した。
「そしたら押すで」
「うん」
なっちゃんが304号室のインターホンを押した・・・
「鳴らへんかぁ」
「冷静に考えたら電気が無いもんね」
『ドンドンドン!』
「こんにちはー、宅配便でーす!」
ちょっ、なっちゃーん(汗)
そういう事をするならせめてひと言欲しいけど、ドアを叩いた直後にドアに耳をくっつけて中の音を聞くのは流石やなって思う。
「反応無いね、何か聞こえる?」
「ううん、何も聞こえへん、留守みたい」
「帰って来るまで外で待ってみる?」
「その前に」
『ガチャ』
「「開いた?!」」
まさかカギがかかって無いとは思わなかった
そのままドアのすき間から中を覗くと、玄関がありサンダルが1足あるのが見えた
更に廊下の奥には部屋も見える、でも人の気配は無い
「なっちゃんどうしよう(汗)流石に勝手に入るんはあかんよな」
「ここは入ってみよう、誰かが住んでたと仮定して、カギもかけずに留守にしてるっていう事は戻って来ないつもりやと思う。」
「カギのかけ忘れとちゃう?」
「その可能性もあるけど、ここで無駄に時間潰してる場合じゃないやん、みっちゃんはここで待ってたらええよ、私が中を見てくるから」
「いっ、一緒に行くから、1人にせんといてー(汗)」
私もなっちゃんに続いて中に入り、既に奥の部屋に到着しようとしているなっちゃんを急いで追いかける
ドアの中は予想通りというか当たり前というか、一般的な1人暮らし用の賃貸の部屋そのまんまだった
玄関から続く廊下の奥に見えていたのは8畳ほどのフローリングの部屋で
部屋の中央にカーペットを敷いてその上に小さなこたつと座椅子がある、こたつの上にはリモコンが3個と手帳が1冊
部屋の隅にあるテレビ台には、テレビとDVDプレーヤーがあり
エアコン、冷蔵庫、電子レンジ、コンロもちゃんとある
他にも化粧品にファッション雑誌や小物類が置いてあり、ここに女性が住んでいた
もしくは今も住んでる?事を確信させる物が幾つかあった
そして、この部屋の隣にはクローゼットの付いた6畳ほどの部屋がある
外から見た時はここまで広いようには見えなかったけど、そもそもこんな所に部屋がある時点で異常なんだから考えてもしょうがないか
6畳の部屋には綺麗に畳まれた布団、ポーチ、小さめのキャリーバッグ、コートが壁に掛けてあるだけだ
どうやらこの部屋の住人はあまり物を置かない性格らしい
私が住人の推理をしている間にも、なっちゃんはクローゼットを遠慮なく開けて物色している
出来ればレトルト食品とかインスタント食品を備蓄してくれてたら良いんやけど
っていうか盗む気満々やん!
しかしながら背に腹は代えられない
ここが異世界かもしれなくて2度と家に帰れない可能性がある状況では、私の中にある倫理観や罪悪感も元気が出ないらしい
「なっちゃんそっちはどう?」
「若い女性の1人暮らしらしい、という事以外は分からへんかな。そっちの冷蔵庫は開けた?」
「まだやから開けてみるな」
『ガチャ』
1人暮らし用の小さめの冷蔵庫の中には、中身が1/3ほど残ったチューブの『わさび』と『おろししょうが』
それと卵を入れる為のプラスチック容器があるだけだった、冷凍室も開けてみたけどこちらも何も入っていなかった
一応『わさび』と『おろししょうが』の消費期限を確認したら『2015.09』『2015.12』となっていた
2015年という事は約7年前か
この部屋の綺麗さを考えるとつい最近まで、もしくは現在進行形で誰かがここに住んでいるという事になる
仮に7年間ここに住んでいて最近出て行ったとするなら、救助が来て助けられた以外の理由は無いように思える
「みっちゃん、そっちはどうやった?こっちは全然や、住人の手がかりになりそうな物は何も無し」
「消費期限が2015年のわさびは見付けたけど」
「2015年かぁ、あと残ってるのはこたつの上の手帳だけやね」
「あれって日記帳かスケジュール帳やろ?流石にあれを読むのはなぁ」
「何か手がかりがあるかもしれんし、住んでる人が帰ってきたら2人で全力で謝ろう」
「そうやね、あ!一応ドアのカギは閉めとこう、万が一泥棒に間違われていきなり攻撃されたら困るし、冬眠前のクマが寝床にしようと入って来るかもやし」
「みっちゃんは心配性やねぇ、って笑われへん状況なのは間違いないか」
なっちゃんがなんとも言えない微妙な表情をしてしまったけれど、ドアのカギを閉めた私は
こたつの上に置かれた手帳の前に座りゆっくりと表紙をめくった
つづく。
私となっちゃんは304号室の前でどうしようかしばらく考えてから
思いきってインターホンを押そうと決心した。
「そしたら押すで」
「うん」
なっちゃんが304号室のインターホンを押した・・・
「鳴らへんかぁ」
「冷静に考えたら電気が無いもんね」
『ドンドンドン!』
「こんにちはー、宅配便でーす!」
ちょっ、なっちゃーん(汗)
そういう事をするならせめてひと言欲しいけど、ドアを叩いた直後にドアに耳をくっつけて中の音を聞くのは流石やなって思う。
「反応無いね、何か聞こえる?」
「ううん、何も聞こえへん、留守みたい」
「帰って来るまで外で待ってみる?」
「その前に」
『ガチャ』
「「開いた?!」」
まさかカギがかかって無いとは思わなかった
そのままドアのすき間から中を覗くと、玄関がありサンダルが1足あるのが見えた
更に廊下の奥には部屋も見える、でも人の気配は無い
「なっちゃんどうしよう(汗)流石に勝手に入るんはあかんよな」
「ここは入ってみよう、誰かが住んでたと仮定して、カギもかけずに留守にしてるっていう事は戻って来ないつもりやと思う。」
「カギのかけ忘れとちゃう?」
「その可能性もあるけど、ここで無駄に時間潰してる場合じゃないやん、みっちゃんはここで待ってたらええよ、私が中を見てくるから」
「いっ、一緒に行くから、1人にせんといてー(汗)」
私もなっちゃんに続いて中に入り、既に奥の部屋に到着しようとしているなっちゃんを急いで追いかける
ドアの中は予想通りというか当たり前というか、一般的な1人暮らし用の賃貸の部屋そのまんまだった
玄関から続く廊下の奥に見えていたのは8畳ほどのフローリングの部屋で
部屋の中央にカーペットを敷いてその上に小さなこたつと座椅子がある、こたつの上にはリモコンが3個と手帳が1冊
部屋の隅にあるテレビ台には、テレビとDVDプレーヤーがあり
エアコン、冷蔵庫、電子レンジ、コンロもちゃんとある
他にも化粧品にファッション雑誌や小物類が置いてあり、ここに女性が住んでいた
もしくは今も住んでる?事を確信させる物が幾つかあった
そして、この部屋の隣にはクローゼットの付いた6畳ほどの部屋がある
外から見た時はここまで広いようには見えなかったけど、そもそもこんな所に部屋がある時点で異常なんだから考えてもしょうがないか
6畳の部屋には綺麗に畳まれた布団、ポーチ、小さめのキャリーバッグ、コートが壁に掛けてあるだけだ
どうやらこの部屋の住人はあまり物を置かない性格らしい
私が住人の推理をしている間にも、なっちゃんはクローゼットを遠慮なく開けて物色している
出来ればレトルト食品とかインスタント食品を備蓄してくれてたら良いんやけど
っていうか盗む気満々やん!
しかしながら背に腹は代えられない
ここが異世界かもしれなくて2度と家に帰れない可能性がある状況では、私の中にある倫理観や罪悪感も元気が出ないらしい
「なっちゃんそっちはどう?」
「若い女性の1人暮らしらしい、という事以外は分からへんかな。そっちの冷蔵庫は開けた?」
「まだやから開けてみるな」
『ガチャ』
1人暮らし用の小さめの冷蔵庫の中には、中身が1/3ほど残ったチューブの『わさび』と『おろししょうが』
それと卵を入れる為のプラスチック容器があるだけだった、冷凍室も開けてみたけどこちらも何も入っていなかった
一応『わさび』と『おろししょうが』の消費期限を確認したら『2015.09』『2015.12』となっていた
2015年という事は約7年前か
この部屋の綺麗さを考えるとつい最近まで、もしくは現在進行形で誰かがここに住んでいるという事になる
仮に7年間ここに住んでいて最近出て行ったとするなら、救助が来て助けられた以外の理由は無いように思える
「みっちゃん、そっちはどうやった?こっちは全然や、住人の手がかりになりそうな物は何も無し」
「消費期限が2015年のわさびは見付けたけど」
「2015年かぁ、あと残ってるのはこたつの上の手帳だけやね」
「あれって日記帳かスケジュール帳やろ?流石にあれを読むのはなぁ」
「何か手がかりがあるかもしれんし、住んでる人が帰ってきたら2人で全力で謝ろう」
「そうやね、あ!一応ドアのカギは閉めとこう、万が一泥棒に間違われていきなり攻撃されたら困るし、冬眠前のクマが寝床にしようと入って来るかもやし」
「みっちゃんは心配性やねぇ、って笑われへん状況なのは間違いないか」
なっちゃんがなんとも言えない微妙な表情をしてしまったけれど、ドアのカギを閉めた私は
こたつの上に置かれた手帳の前に座りゆっくりと表紙をめくった
つづく。
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