勇白回帰録

series1 学校生活

何もない一日

今日は特に何もなかった。声を掛けられることもなく、事件も何も起きなくて平穏な日だった。一つ気になるのはいくら動いても自動ドアが開かなかったことくらいだろうか。なので家でゲームをしていた。特にこれと言って意味はない。って言ったって今日は休みだから何も起こるわけがない。
そんなことを考えながらのうのうと一日を終えるかと思っていたが、5時くらいになってとある張り紙が目についた。それは夏祭りの広告だった。
自分は何かの衝動で家を飛び出た。あの頃の思い出が何度も蘇る。純粋な頃の自分にどんどん戻って行った。そして夏祭り会場に着くと自分はいろんなものを買ったりいろいろ遊んだり散策したりして遊んでいた。多分誰よりもこの祭りを楽しんでいたと思う。そろそろ花火が上がるかというところで肩を誰かに二回たたかれた。後ろを振り向くとレイの姿があった。
「一昨日会って以来だね。暇だった？寂しかった？」
彼女の声は弾んでいる。自分は言い返した。
「寂しかったのは君じゃないの？」
彼女は急に後ろを向いて、「それは...いやそんなわけないよ。」
と言ってきた。きっと自分のことはどうでもいいのだろう。しかし何か別のところで違和感を感じていた。昔の自分だったらどんな応接をしていただろう...自分は少し悲しくなった。あの頃はもう戻ってこない。そんなことを考えだしていた。昔は全てを信じて純粋に生きてきた。それがどうしてこんなに穢れてしまったのだろう。これは多分時と環境の侵食だと考えることにした。
しばらく彼女と花火を見た後にその場を散策したら21時になってしまった。自分はこの夜が明けてほしくないと心から願っていた。あの頃とは反対に、この明かりが消えてほしくないと願い続けていた。