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10章 理不尽との戦い
10-20 世界の明日 ◆ソイファ視点◆
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◆ソイファ視点◆
後の話はすべて蛇足とも言えよう。
フリントは女王教育は終えたとばかりに、留守中リーフ王女を女王代理にして任せることにした。
リーフも泣き叫んで、まだ早い、考え直してくれとフリントに泣きついていた。
非情なフリントは、自分を含めたデント王国使節団を二か月ほどソイ王国に派遣するとさっさと公表した。
ちなみにフリントは空間転移魔法は使えないので、自国と行き来するという技は使えない。
リーフを女王とするために経験を積まそうと、強硬策に出てしまったようだ。
最強の盾オルトに頼めば、複数人の空間転移魔法も可能だが、あえて使ってもらう気はないらしい。
今まで彼女ができなかった、移動ものんびりとする旅行も楽しむ気だ。
「どうする?オルトはフリントと一緒にソイ王国に来る?」
「フリント女王陛下が来ないと皆がS級冒険者の実力にならないからなあ。けど、動きが遅そうだから、別行動して魔物討伐しながらソイ王国の南方に向かうよ」
二か月というのは確かに長い期間だが、移動でかなりの時間を費やされる。
フリントの空飛ぶ馬車というのは、大勢で動く使節団には向かない。
オルトが別行動するのだから、スレイもグジたちもフリントとは別行動だ。
「キュジオ殿は?」
「俺はフリントとともに行動する。俺は冒険者ではないし、平民だから、自由に他国へと出入りするのは難しい」
「冒険者登録すれば?」
「デント王国の冒険者ギルドはまだバタバタしているようで登録できていない」
「スレイは冒険者登録してなかったっけ?」
「街によっても対応が異なるようだ。それに、、、」
スレイが言い淀んだ。
そう、キュジオはフリントにお兄様と呼ばれる存在。
王都の冒険者ギルドも対応に苦慮しただろう。お兄様を登録?してもいいの?わからないから女王にお伺いを立ててから、といった具合か。
そのお伺いの書類は、まだフリントの執務室に山のようになっている書類に埋もれているのだろう。
ソイ王国で冒険者登録してもらおう。
キュジオはオルトの婚約解消を知ったが、お互い特に態度を変えることもなく、見守る周囲は三集団にわかれた。
積極的に告ろうぜ推進派、できるだけ邪魔するぜお邪魔虫派、とりあえず何もしないぜ消極派、という感じだ。
派閥のなかでも横の連携は取られてないので、周囲が騒いでも二人は現状維持のままである。
ウィト王国の混乱は微妙に続いているが、最強の盾が見つからなくとも、最強の剣がいるため大事には至っていない。その最強の剣クリストはキュジオを捜そうとして度々脱走を図っているようだが、国境ではオルトの結界に阻まれている。
クリストには見合いの申し込みの数があまりにも多く辟易している。
が、ウィト王国も本気だ。
絶対に彼を逃がさない。
クリストは自分ではいくら否定しようとも、今まで自由に生きていたのだから仕方ない。
オルトだって、彼をウィト王国に閉じ込め続ける。
クリストは今までのツケを支払うときが来たのだ。
オルトがすでに国の結界を支えていることがわかっているのに、彼らはオルトへの報酬をどう考えているのか。
オルトはウィト王国に戻る気はさらさらないようなので、交渉の場を整えよう。第三者に任せるのがいいだろう。
キュジオはデント王国が落ち着いてきたので、オルトとともに行動する気はあるようだ。
超災害級の魔物を討伐出来たら、ソイ王国のどこかの屋敷でもプレゼントしようか。
スレイやグジ一行、ついでにルイジィも一緒に住むだろうから、広めの方が良さそうだし、信頼できる従業員も入れておこうか。
いや、オルトなら従業員より、夢幻回廊の部屋が欲しいと言いそうだ。
俺自身は、オルトが幸せになってくれれば相手は誰でもいいのだが、スレイも頑張っているので数年後はどうなっているかわからない。キュジオもうかうかしていられない。
将来、彼らの関係はどうなるだろうか。
デント王国のフリント女王が鮮血の封印を施されている南方の戦場の地に視察に来て、ソイ王国があんなに苦しんでいた超災害級の魔物は討伐隊によってあっさりと討伐された。
そして、南方の隣国と続いていた戦争が終わりを告げた。
ソイ王国の英雄として持ち上げられることを嫌ったオルトには、表彰も式典もせずに王都近郊にある屋敷を贈った。
予想通りの人物たちがその屋敷に集結していた。
そこを本拠地にして、生活を続けている。
ウィト王国以外の世界各国から最強の盾宛にこっそり来る依頼をこなしてお金を稼いで、災害級の魔物でさえ余裕に退治する冒険者集団ということで密やかに有名になっている。
オルトが空間転移魔法を使えるので、かなり重宝されている。
ウィト王国だけがその英雄の正体に気づかない。
イーティ・ランサスのイー商会は元々ソイ王国にも支店が一応存在したが、条件付きでソイ王国内での大規模な薬の販売を認めた。
教育をしろというのが条件で、ソイ王国にイー商会初の学校が作られることになった。
この国の各方面の水準を上げるとともにイー商会に憧れる者たちも、この地に訪れることになる。
戦争がなくなったこの国で、次に進むべき道を上の者が指し示さなければならない。
「オルトー、」
「また来たのか、ソイファ王太子殿下」
嫌そうな顔で迎えるオルト。
魔剣を持っているが、訓練を一時中断した。
贈った屋敷の周囲には訓練に使える敷地が広がっている。
この屋敷に雇われた使用人はいない。
グジ一行が普通に管理しているし、彼らは冒険者以外の能力も高い。
「ツレないなー。ソイファって呼んでって言っているのにー」
数年間、オルトに言い続けている。
オルレアはすぐに呼び捨てにしたのに、同じ双子と言えども性格が全然違う。
どちらも内向的ではないのだが。
「何の用だ?」
「ウィト王国の情報だよ。最強の剣クリストが婚約を押し切られた」
「へえ、ようやくか」
この素直な反応を見る限り、ウィト王国の情報は自分で収集していないようだ。
どうでも良くなったのなら幸いだ。
「この御令嬢が結婚まで押し切れるかどうかだな」
「最強の剣はウィト王国の所有物だから、結婚しなくても無理にやりにでも子を儲けるだろ」
所有物か。
後継者を得るために最強の剣はお金をかけられ、王都で守られてきた。
国を守ってきた最強の盾は蔑ろにされてきたのに。
それを最強の盾でありながら破れたのは、オルトの叔父であるバーレイ伯爵のみである。
けれど、それはオルトを犠牲に成り立ったものだった。
だからこそ、オルトはウィト王国から出た。
どんなに脅されようとあの国に戻ることはないだろう。
んで。
超災害級魔物の討伐から数年が経って、人間関係も変わってきた。
意外も意外、帝国の皇太子妃であるアニエス嬢がソイ王国に遊びに来ることが多くなった。
目当てはオルレアではなくオルトである。
ただし、お茶をするだけの仲であるが。
強かな彼女はオルトに有益な情報を回している。
アニエス嬢はデント王国王女の大切な大切な友人なのだから。
仲良し三人組の一人イザベル嬢は、王女に、皇太子妃?アンタら何やってるの?という心境だろう。彼女は貴族学校卒業後、普通に嫁いだ。彼女らの国を跨いだ交遊はまだ続いているらしい。彼女たちにとってのソニア・ガロンはリーフ王女なのだから。
さて。
彼らの話もしておこう。
オルトを支えていた仲間のサイ・モルトとシン・オーツ。
そばで支えるスレイを羨ましいと思いながらも、彼らは貴族であった。
そのしがらみはどんなに足掻いても抜け出せるものではない。
彼らは唯一の跡継ぎだったのだから。
貴族学校卒業後、サイは魔法研究所、シンは騎士団に入った。
そして目覚ましい成果を上げている。
彼らはオルトの代わりに国を支える基盤を作ろうとしている。
彼らの働きのおかげで、ウィト王国は制度を変革して生き延びるだろう。
今まで、最強の盾に頼り切りだったのだから。
カーツ・バーレイもバーレイ伯爵を継ぐことを決意し、サイやシンとともに行動している。
これから彼もまたウィト王国の一助となるだろうか。
もちろんウィト王国の第二王子、第三王子も国を変えるために奔走しているとのことだ。
ネオ第二王子は使節団やら新婚旅行やらでソイ王国を訪れる。奥様のソフィア王子妃とともにオルトと仲良くやっている。ウィト王国の者で、オルトの居場所を知る数少ない人物だ。
最強の剣クリストはというと、、、詳細は割愛する。
最強の剣は国を守る充分な報酬を得ていた。
ならば、その働きは貴族として当然である。
ウィト王国は見合った報酬を得ていなかった最強の盾にこそ称賛を与えるべきだった。
けれど、だからこそ、彼は今ここにいる。
「俺もようやく正妻となるべき女性と婚約したし、一年後に結婚する」
「本当にようやくだな」
「本当長かった。ようやくオルトに義兄上と呼んでもらえる」
つまり正妻と結婚できれば、ようやくオルレアと正式に結婚できるということだ。
ソイ王国では側妃と先に結ばれることはない。
「呼び捨てで名前を呼ばなくてもいいのか?」
「そちらも捨てがたいが、義兄上も捨てがたい。好きな方で呼んでいいぞ」
「そうか」
呆れたような目で俺を見るオルトだが、昔と違いかなり優しい雰囲気を纏うようになった。
いつか最強の剣が子を儲けたら、彼の能力も減衰していくだろうか。
それでも。
今日も元気に魔法の盾がソイ王国を飛んでいるのを見て、オルトの周辺は平和だと感じることができる。
後の話はすべて蛇足とも言えよう。
フリントは女王教育は終えたとばかりに、留守中リーフ王女を女王代理にして任せることにした。
リーフも泣き叫んで、まだ早い、考え直してくれとフリントに泣きついていた。
非情なフリントは、自分を含めたデント王国使節団を二か月ほどソイ王国に派遣するとさっさと公表した。
ちなみにフリントは空間転移魔法は使えないので、自国と行き来するという技は使えない。
リーフを女王とするために経験を積まそうと、強硬策に出てしまったようだ。
最強の盾オルトに頼めば、複数人の空間転移魔法も可能だが、あえて使ってもらう気はないらしい。
今まで彼女ができなかった、移動ものんびりとする旅行も楽しむ気だ。
「どうする?オルトはフリントと一緒にソイ王国に来る?」
「フリント女王陛下が来ないと皆がS級冒険者の実力にならないからなあ。けど、動きが遅そうだから、別行動して魔物討伐しながらソイ王国の南方に向かうよ」
二か月というのは確かに長い期間だが、移動でかなりの時間を費やされる。
フリントの空飛ぶ馬車というのは、大勢で動く使節団には向かない。
オルトが別行動するのだから、スレイもグジたちもフリントとは別行動だ。
「キュジオ殿は?」
「俺はフリントとともに行動する。俺は冒険者ではないし、平民だから、自由に他国へと出入りするのは難しい」
「冒険者登録すれば?」
「デント王国の冒険者ギルドはまだバタバタしているようで登録できていない」
「スレイは冒険者登録してなかったっけ?」
「街によっても対応が異なるようだ。それに、、、」
スレイが言い淀んだ。
そう、キュジオはフリントにお兄様と呼ばれる存在。
王都の冒険者ギルドも対応に苦慮しただろう。お兄様を登録?してもいいの?わからないから女王にお伺いを立ててから、といった具合か。
そのお伺いの書類は、まだフリントの執務室に山のようになっている書類に埋もれているのだろう。
ソイ王国で冒険者登録してもらおう。
キュジオはオルトの婚約解消を知ったが、お互い特に態度を変えることもなく、見守る周囲は三集団にわかれた。
積極的に告ろうぜ推進派、できるだけ邪魔するぜお邪魔虫派、とりあえず何もしないぜ消極派、という感じだ。
派閥のなかでも横の連携は取られてないので、周囲が騒いでも二人は現状維持のままである。
ウィト王国の混乱は微妙に続いているが、最強の盾が見つからなくとも、最強の剣がいるため大事には至っていない。その最強の剣クリストはキュジオを捜そうとして度々脱走を図っているようだが、国境ではオルトの結界に阻まれている。
クリストには見合いの申し込みの数があまりにも多く辟易している。
が、ウィト王国も本気だ。
絶対に彼を逃がさない。
クリストは自分ではいくら否定しようとも、今まで自由に生きていたのだから仕方ない。
オルトだって、彼をウィト王国に閉じ込め続ける。
クリストは今までのツケを支払うときが来たのだ。
オルトがすでに国の結界を支えていることがわかっているのに、彼らはオルトへの報酬をどう考えているのか。
オルトはウィト王国に戻る気はさらさらないようなので、交渉の場を整えよう。第三者に任せるのがいいだろう。
キュジオはデント王国が落ち着いてきたので、オルトとともに行動する気はあるようだ。
超災害級の魔物を討伐出来たら、ソイ王国のどこかの屋敷でもプレゼントしようか。
スレイやグジ一行、ついでにルイジィも一緒に住むだろうから、広めの方が良さそうだし、信頼できる従業員も入れておこうか。
いや、オルトなら従業員より、夢幻回廊の部屋が欲しいと言いそうだ。
俺自身は、オルトが幸せになってくれれば相手は誰でもいいのだが、スレイも頑張っているので数年後はどうなっているかわからない。キュジオもうかうかしていられない。
将来、彼らの関係はどうなるだろうか。
デント王国のフリント女王が鮮血の封印を施されている南方の戦場の地に視察に来て、ソイ王国があんなに苦しんでいた超災害級の魔物は討伐隊によってあっさりと討伐された。
そして、南方の隣国と続いていた戦争が終わりを告げた。
ソイ王国の英雄として持ち上げられることを嫌ったオルトには、表彰も式典もせずに王都近郊にある屋敷を贈った。
予想通りの人物たちがその屋敷に集結していた。
そこを本拠地にして、生活を続けている。
ウィト王国以外の世界各国から最強の盾宛にこっそり来る依頼をこなしてお金を稼いで、災害級の魔物でさえ余裕に退治する冒険者集団ということで密やかに有名になっている。
オルトが空間転移魔法を使えるので、かなり重宝されている。
ウィト王国だけがその英雄の正体に気づかない。
イーティ・ランサスのイー商会は元々ソイ王国にも支店が一応存在したが、条件付きでソイ王国内での大規模な薬の販売を認めた。
教育をしろというのが条件で、ソイ王国にイー商会初の学校が作られることになった。
この国の各方面の水準を上げるとともにイー商会に憧れる者たちも、この地に訪れることになる。
戦争がなくなったこの国で、次に進むべき道を上の者が指し示さなければならない。
「オルトー、」
「また来たのか、ソイファ王太子殿下」
嫌そうな顔で迎えるオルト。
魔剣を持っているが、訓練を一時中断した。
贈った屋敷の周囲には訓練に使える敷地が広がっている。
この屋敷に雇われた使用人はいない。
グジ一行が普通に管理しているし、彼らは冒険者以外の能力も高い。
「ツレないなー。ソイファって呼んでって言っているのにー」
数年間、オルトに言い続けている。
オルレアはすぐに呼び捨てにしたのに、同じ双子と言えども性格が全然違う。
どちらも内向的ではないのだが。
「何の用だ?」
「ウィト王国の情報だよ。最強の剣クリストが婚約を押し切られた」
「へえ、ようやくか」
この素直な反応を見る限り、ウィト王国の情報は自分で収集していないようだ。
どうでも良くなったのなら幸いだ。
「この御令嬢が結婚まで押し切れるかどうかだな」
「最強の剣はウィト王国の所有物だから、結婚しなくても無理にやりにでも子を儲けるだろ」
所有物か。
後継者を得るために最強の剣はお金をかけられ、王都で守られてきた。
国を守ってきた最強の盾は蔑ろにされてきたのに。
それを最強の盾でありながら破れたのは、オルトの叔父であるバーレイ伯爵のみである。
けれど、それはオルトを犠牲に成り立ったものだった。
だからこそ、オルトはウィト王国から出た。
どんなに脅されようとあの国に戻ることはないだろう。
んで。
超災害級魔物の討伐から数年が経って、人間関係も変わってきた。
意外も意外、帝国の皇太子妃であるアニエス嬢がソイ王国に遊びに来ることが多くなった。
目当てはオルレアではなくオルトである。
ただし、お茶をするだけの仲であるが。
強かな彼女はオルトに有益な情報を回している。
アニエス嬢はデント王国王女の大切な大切な友人なのだから。
仲良し三人組の一人イザベル嬢は、王女に、皇太子妃?アンタら何やってるの?という心境だろう。彼女は貴族学校卒業後、普通に嫁いだ。彼女らの国を跨いだ交遊はまだ続いているらしい。彼女たちにとってのソニア・ガロンはリーフ王女なのだから。
さて。
彼らの話もしておこう。
オルトを支えていた仲間のサイ・モルトとシン・オーツ。
そばで支えるスレイを羨ましいと思いながらも、彼らは貴族であった。
そのしがらみはどんなに足掻いても抜け出せるものではない。
彼らは唯一の跡継ぎだったのだから。
貴族学校卒業後、サイは魔法研究所、シンは騎士団に入った。
そして目覚ましい成果を上げている。
彼らはオルトの代わりに国を支える基盤を作ろうとしている。
彼らの働きのおかげで、ウィト王国は制度を変革して生き延びるだろう。
今まで、最強の盾に頼り切りだったのだから。
カーツ・バーレイもバーレイ伯爵を継ぐことを決意し、サイやシンとともに行動している。
これから彼もまたウィト王国の一助となるだろうか。
もちろんウィト王国の第二王子、第三王子も国を変えるために奔走しているとのことだ。
ネオ第二王子は使節団やら新婚旅行やらでソイ王国を訪れる。奥様のソフィア王子妃とともにオルトと仲良くやっている。ウィト王国の者で、オルトの居場所を知る数少ない人物だ。
最強の剣クリストはというと、、、詳細は割愛する。
最強の剣は国を守る充分な報酬を得ていた。
ならば、その働きは貴族として当然である。
ウィト王国は見合った報酬を得ていなかった最強の盾にこそ称賛を与えるべきだった。
けれど、だからこそ、彼は今ここにいる。
「俺もようやく正妻となるべき女性と婚約したし、一年後に結婚する」
「本当にようやくだな」
「本当長かった。ようやくオルトに義兄上と呼んでもらえる」
つまり正妻と結婚できれば、ようやくオルレアと正式に結婚できるということだ。
ソイ王国では側妃と先に結ばれることはない。
「呼び捨てで名前を呼ばなくてもいいのか?」
「そちらも捨てがたいが、義兄上も捨てがたい。好きな方で呼んでいいぞ」
「そうか」
呆れたような目で俺を見るオルトだが、昔と違いかなり優しい雰囲気を纏うようになった。
いつか最強の剣が子を儲けたら、彼の能力も減衰していくだろうか。
それでも。
今日も元気に魔法の盾がソイ王国を飛んでいるのを見て、オルトの周辺は平和だと感じることができる。
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