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8章 頼り切った者たち
8-3 誰の意見が正しいかわからん
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「に、兄ちゃんがウィト王国の最強の盾だとは、、、」
「よ、よくウィト王国を出国できたな」
「迷惑がかかるって俺たちに言っていたのは、、、」
「俺たち襲いかかって、良く死ななかったな」
「はーい、皆様、深呼吸して落ち着いてくださいねー。息をするのを忘れないようにー」
グジたちが焚き火を囲んでボソボソ言っているところに、ルイジィがワケわからんことを言いやがった。
「僭越ながら、私が補足説明しますねー」
ルイジィもウィト王国の国民じゃないのに、なぜルイジィが説明するんだ?
俺は焦げないように肉を食べ続けてやるぞ。
さらに追加して焼いちゃうけど。
もぐもぐもぐ。
「兄ちゃんっ、俺たちはどこまでも兄ちゃんについてくぜっ」
グジたちが立ち上がって、決意も新たに高らかに宣言した。
はっ、肉に夢中になっていたら、どんな説明をしやがった、ルイジィ。
いかなるときも皇帝の影を信用しちゃならんって話だったのか。
最低限これだけは言っておかなければなるまい。
「俺について来ても俺からは報酬を出せないし、冒険者として活動しながら移動するだけだよ」
「おうっ、俺たちも冒険者の端くれっ。魔物討伐しながら進もうぜっ」
どこまでも、っていつまでついてくる気だろう。
帝国までか?
、、、気が向いたら、元々住んでいた街に帰るか?
「兄ちゃん、やっぱり苦労していたんだなあ」
あ、ギルが肉焼く係を交代してくれた。
食べるのに専念できるっ。
「幼い頃から辛い環境にいたんだな」
「父親のバーレイ侯爵も双子の姉オルレアってヤツもとんでもねえ奴らだな」
「兄ちゃんの規格外な強さも納得するが、幼かったとはいえ最強の盾にそんな冷遇許せねえ」
お、ギルが俺の皿に肉を追加してくれる。
肉の焼き方って、ただ焼くだけではあるのだが、奥が深い。
単純なんだけど、素人の俺ではギルのこのジューシーな肉の焼き具合を出すことはできない。
真似しているつもりなのだが、再現できない。
まだまだ修行が足りないのである。いままで全然料理してこなかったからね。
俺の料理修業はこれからだっ。乞うご期待っ。え?ギルに焼いてもらえって?俺は肉を狩れと?とりあえず、今は食おう。
「うまい」
「そうか」
ギルがニコニコしながら俺の皿に肉を追加してくれる。
他の人たちの皿にも適度に肉を追加しているけど。
「ギルさんは料理人だったそうですよ。実家の料理店を継いでいたとのことです」
「、、、ルイジィはもう全員の素性を調べ上げたのか?」
「オルト様には足元にも及びませんが」
そりゃ、旅に同行する人物の過去って、せめて犯罪歴ぐらいは一応調べるよね。
寝首掻かれたら嫌だもんね。
「肉がうまいなあ」
いくらでもお腹に入るぜっ。
「調べ上げられていたのか、俺たち」
「お前、何かやましいことないか?」
「いつの間にか一人ずつ消えていったりするんじゃないか?」
「懲罰ポイント制か?ポイントが上限に達したら始末されるのか」
「せめて貢献度でポイント減算してほしいよな」
「兄ちゃんを襲った時点で相当なポイント加算になっているんじゃないか、俺たち」
「やべえな、それ」
「どうにかペナルティを回避しないと」
ポイント制になったの?
想像力が膨らみすぎてない?
俺、そんな計算してないよ。ルイジィがどうなのかは知らないけど。
「そもそも、オルト様を襲ったところで、あなた方がオルト様をどうこうできるわけもありませんし」
「そーだね」
「そこ、フォローしようっ。たとえ事実であっても」
グジが涙目になっても、同情しないなあ。
「オルト様を襲った事実は消せませんし」
「うぎょっ」
「んー、でも、この人たちがウィト王国で仕出かしたことって、悪徳商会長の馬車を襲ったとか、領主のバカ息子の身ぐるみを剥がしたり、あくどい酔っ払いをコテンパンにやっつけちゃったりして義賊的な活動だったからその街の警備隊も出ていないって。お金も商品も洋服も持っていったのに犯罪としても一切取り上げられてなかったよ」
どれだけ善行を積み重ねていれば、魔道具に精神が操られていたのに、ここまでの奇跡が起こるのか不思議だ。
被害に遭った者たちは警備隊に諭されて、終了ー。
本人たちにとっては、え?襲われた方が悪いの?みたいな感じで放置されて終わりだ。
ウィト王国では少々行き過ぎた行為をしている者たちもまた同等に悪者なのである。
平和な国だから。
彼らもわざわざ金で人を雇ってまで犯人を捜し出そうとはしなかった。
ま、皆の人相、暗闇で見たら相当怖かっただろうし、返り討ちされても怖いよねえ。
「ああ、そうみたいですね。犯罪者なら即座に始末できたものを残念です」
「怖っ、ルイジィ、怖っ」
皆が何を言っても、ルイジィが怖いという評価しか出て来ない。
そもそも皇帝の影だからね。
怖い裏稼業のルイジィだからねえ。
「あ、そうそう、デント王国のことなんですが」
ルイジィが俺に飲み物を渡しながら、さも思い出したかのように話し出す。
「あー、キュジオ隊長に全部放り投げてきちゃったなあ」
「その認識で間違いありません」
「それに、対魔法の剣用の魔法の盾をウィト王国に配備しちゃったから、最強の剣を国外に出られなくしちゃったしなあ。どうしようかなあ」
「た、対、魔法の剣?クリスト様が国外に出られないとどうなるので?」
ルイジィの笑顔がちょっと消えかけたなあ。
混乱させてしまいましたか?
最強の剣も最強の盾も正攻法では国外に出られない。
特に最強の盾が行方不明の現在では、最強の剣を失うわけにはいかないのがウィト王国。
絶対に出入国管理事務所が出さない。
兄が国外に出ようとするならば、前回と同じく魔法の剣で俺を脅さなければならないのだが、その件でついつい腹を立てた俺が、魔法の剣がいくら降って来ようとも迎撃できる体制を作ってしまったのである。
というわけで、俺の魔法の盾でできた国の結界は安泰。内部破壊も撃退できるので、魔力が尽きるまではウィト王国を守ってくれる。
だが、そのせいで。
「火力が足りない」
「と言われますと?」
「圧倒的にフリント女王の方が有利になる。キュジオ隊長がデント王国に行けば、兄上もついて行くと思っていたのに、自分で封じちゃったなあ」
俺が行かなくてもどうにかなるなあと思っていたのに。
兄上がキュジオ隊長に良いところを見せるチャンスだったのに。
キュジオ隊長って、意外と兄上のことが嫌いに見えるんだよなあ。
兄上はキュジオ隊長に魔法の剣のピアスまで贈っているのに。
どういう経緯で贈られたかなんか探っていないので、あの二人の関係性は訓練を一緒にした仲としかわからないのだが。
あの訓練を共に乗り越えてきたのだから、俺とサイ、シン、スレイのように仲良くても良い気がするのだが。
、、、他人から見ると仲悪そうに見えて実は、ってヤツなのか?
ちょっとキュジオ隊長の態度が最強の剣に対して本気でムカついているように見えるのだがどうなのだろう。
あの人、貴族が大嫌いだし。兄上は侯爵継ぐし。
「はあぁー、時間をこの国で潰してからデント王国に向かうか。どうせ帝国に行くなら、陸路で行っても良いんだし」
感情的に動くと本当にダメだよね。
イーティに会う時期が遠退く。
「、、、オルト様、その魔法の剣を迎撃する魔法の盾を一時的に停止してはいかがなのですか」
「嫌だね」
感情というのは厄介なのである。
自分の利益になるのはわかっているが、どーーおしても嫌なのである。
「愛情持って育てた魔法の盾が傷つけられるのを許しておけるかっ。一枚傷だらけにされれば、どれだけ修繕に魔力や時間や労力がかかるか兄上にわかるものかっ」
「あ、はいはい。人間らしくて納得です。オルト様はそのまま育ってください」
ルイジィは何目線で話しているんだ?
お爺ちゃん目線かな。←絶対口にしないが。
「兄ちゃんの最終目的地は帝国なのか?真逆の方向に来ちまっているなあ。ウィト王国はもう通りたくはないんだろ」
「んー、まあ、ソイ王国からデント王国に抜けて帝国に行けるからなあ」
実際のところ、ウィト王国に接している国ではデント王国と帝国の間に一国存在するが、デント王国はその先で帝国と接している。あの国は帝国と接しているから国王夫妻が皇子に殺されてしまったのだから。
帝国のように国土が大きい国はどのようにしても行く道筋は存在する。
「くっ、デント王国のことがなければ、オルト様はソイ王国の王都に着いたらさっさと空間転移魔法を使って帝国に行っていたのに」
ルイジィが悔やんでいる。ルイジィは俺にそんなにさっさと帝国に行ってもらいたいのか。
「さすがに最強の盾の兄ちゃんでも十五人全員は魔法で運べないんだろ」
「十五人でこのくらいの距離なら問題ない」
無理なことではないよ。
「ですよねー、オルト様。デント王国のことは置いておいて、とりあえず帝国まで行きませんかー?」
「何でルイジィは兄ちゃんをそんなに帝国に連れて行きたがるんだ?やっぱり帝国が絡んでいるのか?」
グジが怖い目でルイジィを見ている。
「帝国でオルト様の婚約者が首を長くしてお待ちなので」
え、イーティそんなに待っていてくれているの?
それは早く行かないと。
「よっしゃ、兄ちゃん、ジラシ作戦だっ。男は待たせてなんぼだぞっ。待たせた方がより燃え上がるぞっ」
「と、頭領、それは本当かっ?そんなものなのかっ?」
「その通りっ。皆も力強く頷いているぞっ」
おおっ、皆がうんうん強く同意しているっ。
「オルト様っ、信じないでくださいっ。ここにいる私以外、今、全員結婚していないんですよっ」
ルイジィが珍しく叫んだ。
バツイチはいるみたいだけどね。
「よ、よくウィト王国を出国できたな」
「迷惑がかかるって俺たちに言っていたのは、、、」
「俺たち襲いかかって、良く死ななかったな」
「はーい、皆様、深呼吸して落ち着いてくださいねー。息をするのを忘れないようにー」
グジたちが焚き火を囲んでボソボソ言っているところに、ルイジィがワケわからんことを言いやがった。
「僭越ながら、私が補足説明しますねー」
ルイジィもウィト王国の国民じゃないのに、なぜルイジィが説明するんだ?
俺は焦げないように肉を食べ続けてやるぞ。
さらに追加して焼いちゃうけど。
もぐもぐもぐ。
「兄ちゃんっ、俺たちはどこまでも兄ちゃんについてくぜっ」
グジたちが立ち上がって、決意も新たに高らかに宣言した。
はっ、肉に夢中になっていたら、どんな説明をしやがった、ルイジィ。
いかなるときも皇帝の影を信用しちゃならんって話だったのか。
最低限これだけは言っておかなければなるまい。
「俺について来ても俺からは報酬を出せないし、冒険者として活動しながら移動するだけだよ」
「おうっ、俺たちも冒険者の端くれっ。魔物討伐しながら進もうぜっ」
どこまでも、っていつまでついてくる気だろう。
帝国までか?
、、、気が向いたら、元々住んでいた街に帰るか?
「兄ちゃん、やっぱり苦労していたんだなあ」
あ、ギルが肉焼く係を交代してくれた。
食べるのに専念できるっ。
「幼い頃から辛い環境にいたんだな」
「父親のバーレイ侯爵も双子の姉オルレアってヤツもとんでもねえ奴らだな」
「兄ちゃんの規格外な強さも納得するが、幼かったとはいえ最強の盾にそんな冷遇許せねえ」
お、ギルが俺の皿に肉を追加してくれる。
肉の焼き方って、ただ焼くだけではあるのだが、奥が深い。
単純なんだけど、素人の俺ではギルのこのジューシーな肉の焼き具合を出すことはできない。
真似しているつもりなのだが、再現できない。
まだまだ修行が足りないのである。いままで全然料理してこなかったからね。
俺の料理修業はこれからだっ。乞うご期待っ。え?ギルに焼いてもらえって?俺は肉を狩れと?とりあえず、今は食おう。
「うまい」
「そうか」
ギルがニコニコしながら俺の皿に肉を追加してくれる。
他の人たちの皿にも適度に肉を追加しているけど。
「ギルさんは料理人だったそうですよ。実家の料理店を継いでいたとのことです」
「、、、ルイジィはもう全員の素性を調べ上げたのか?」
「オルト様には足元にも及びませんが」
そりゃ、旅に同行する人物の過去って、せめて犯罪歴ぐらいは一応調べるよね。
寝首掻かれたら嫌だもんね。
「肉がうまいなあ」
いくらでもお腹に入るぜっ。
「調べ上げられていたのか、俺たち」
「お前、何かやましいことないか?」
「いつの間にか一人ずつ消えていったりするんじゃないか?」
「懲罰ポイント制か?ポイントが上限に達したら始末されるのか」
「せめて貢献度でポイント減算してほしいよな」
「兄ちゃんを襲った時点で相当なポイント加算になっているんじゃないか、俺たち」
「やべえな、それ」
「どうにかペナルティを回避しないと」
ポイント制になったの?
想像力が膨らみすぎてない?
俺、そんな計算してないよ。ルイジィがどうなのかは知らないけど。
「そもそも、オルト様を襲ったところで、あなた方がオルト様をどうこうできるわけもありませんし」
「そーだね」
「そこ、フォローしようっ。たとえ事実であっても」
グジが涙目になっても、同情しないなあ。
「オルト様を襲った事実は消せませんし」
「うぎょっ」
「んー、でも、この人たちがウィト王国で仕出かしたことって、悪徳商会長の馬車を襲ったとか、領主のバカ息子の身ぐるみを剥がしたり、あくどい酔っ払いをコテンパンにやっつけちゃったりして義賊的な活動だったからその街の警備隊も出ていないって。お金も商品も洋服も持っていったのに犯罪としても一切取り上げられてなかったよ」
どれだけ善行を積み重ねていれば、魔道具に精神が操られていたのに、ここまでの奇跡が起こるのか不思議だ。
被害に遭った者たちは警備隊に諭されて、終了ー。
本人たちにとっては、え?襲われた方が悪いの?みたいな感じで放置されて終わりだ。
ウィト王国では少々行き過ぎた行為をしている者たちもまた同等に悪者なのである。
平和な国だから。
彼らもわざわざ金で人を雇ってまで犯人を捜し出そうとはしなかった。
ま、皆の人相、暗闇で見たら相当怖かっただろうし、返り討ちされても怖いよねえ。
「ああ、そうみたいですね。犯罪者なら即座に始末できたものを残念です」
「怖っ、ルイジィ、怖っ」
皆が何を言っても、ルイジィが怖いという評価しか出て来ない。
そもそも皇帝の影だからね。
怖い裏稼業のルイジィだからねえ。
「あ、そうそう、デント王国のことなんですが」
ルイジィが俺に飲み物を渡しながら、さも思い出したかのように話し出す。
「あー、キュジオ隊長に全部放り投げてきちゃったなあ」
「その認識で間違いありません」
「それに、対魔法の剣用の魔法の盾をウィト王国に配備しちゃったから、最強の剣を国外に出られなくしちゃったしなあ。どうしようかなあ」
「た、対、魔法の剣?クリスト様が国外に出られないとどうなるので?」
ルイジィの笑顔がちょっと消えかけたなあ。
混乱させてしまいましたか?
最強の剣も最強の盾も正攻法では国外に出られない。
特に最強の盾が行方不明の現在では、最強の剣を失うわけにはいかないのがウィト王国。
絶対に出入国管理事務所が出さない。
兄が国外に出ようとするならば、前回と同じく魔法の剣で俺を脅さなければならないのだが、その件でついつい腹を立てた俺が、魔法の剣がいくら降って来ようとも迎撃できる体制を作ってしまったのである。
というわけで、俺の魔法の盾でできた国の結界は安泰。内部破壊も撃退できるので、魔力が尽きるまではウィト王国を守ってくれる。
だが、そのせいで。
「火力が足りない」
「と言われますと?」
「圧倒的にフリント女王の方が有利になる。キュジオ隊長がデント王国に行けば、兄上もついて行くと思っていたのに、自分で封じちゃったなあ」
俺が行かなくてもどうにかなるなあと思っていたのに。
兄上がキュジオ隊長に良いところを見せるチャンスだったのに。
キュジオ隊長って、意外と兄上のことが嫌いに見えるんだよなあ。
兄上はキュジオ隊長に魔法の剣のピアスまで贈っているのに。
どういう経緯で贈られたかなんか探っていないので、あの二人の関係性は訓練を一緒にした仲としかわからないのだが。
あの訓練を共に乗り越えてきたのだから、俺とサイ、シン、スレイのように仲良くても良い気がするのだが。
、、、他人から見ると仲悪そうに見えて実は、ってヤツなのか?
ちょっとキュジオ隊長の態度が最強の剣に対して本気でムカついているように見えるのだがどうなのだろう。
あの人、貴族が大嫌いだし。兄上は侯爵継ぐし。
「はあぁー、時間をこの国で潰してからデント王国に向かうか。どうせ帝国に行くなら、陸路で行っても良いんだし」
感情的に動くと本当にダメだよね。
イーティに会う時期が遠退く。
「、、、オルト様、その魔法の剣を迎撃する魔法の盾を一時的に停止してはいかがなのですか」
「嫌だね」
感情というのは厄介なのである。
自分の利益になるのはわかっているが、どーーおしても嫌なのである。
「愛情持って育てた魔法の盾が傷つけられるのを許しておけるかっ。一枚傷だらけにされれば、どれだけ修繕に魔力や時間や労力がかかるか兄上にわかるものかっ」
「あ、はいはい。人間らしくて納得です。オルト様はそのまま育ってください」
ルイジィは何目線で話しているんだ?
お爺ちゃん目線かな。←絶対口にしないが。
「兄ちゃんの最終目的地は帝国なのか?真逆の方向に来ちまっているなあ。ウィト王国はもう通りたくはないんだろ」
「んー、まあ、ソイ王国からデント王国に抜けて帝国に行けるからなあ」
実際のところ、ウィト王国に接している国ではデント王国と帝国の間に一国存在するが、デント王国はその先で帝国と接している。あの国は帝国と接しているから国王夫妻が皇子に殺されてしまったのだから。
帝国のように国土が大きい国はどのようにしても行く道筋は存在する。
「くっ、デント王国のことがなければ、オルト様はソイ王国の王都に着いたらさっさと空間転移魔法を使って帝国に行っていたのに」
ルイジィが悔やんでいる。ルイジィは俺にそんなにさっさと帝国に行ってもらいたいのか。
「さすがに最強の盾の兄ちゃんでも十五人全員は魔法で運べないんだろ」
「十五人でこのくらいの距離なら問題ない」
無理なことではないよ。
「ですよねー、オルト様。デント王国のことは置いておいて、とりあえず帝国まで行きませんかー?」
「何でルイジィは兄ちゃんをそんなに帝国に連れて行きたがるんだ?やっぱり帝国が絡んでいるのか?」
グジが怖い目でルイジィを見ている。
「帝国でオルト様の婚約者が首を長くしてお待ちなので」
え、イーティそんなに待っていてくれているの?
それは早く行かないと。
「よっしゃ、兄ちゃん、ジラシ作戦だっ。男は待たせてなんぼだぞっ。待たせた方がより燃え上がるぞっ」
「と、頭領、それは本当かっ?そんなものなのかっ?」
「その通りっ。皆も力強く頷いているぞっ」
おおっ、皆がうんうん強く同意しているっ。
「オルト様っ、信じないでくださいっ。ここにいる私以外、今、全員結婚していないんですよっ」
ルイジィが珍しく叫んだ。
バツイチはいるみたいだけどね。
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