98 / 207
6章 いらないなら、捨てればいいのに
6-10 参戦
しおりを挟む
明日から貴族学校の学内交流会だ。
ソニアとともにマイア様と王城で会った後、女子寮のオルレアの部屋に戻って来た。
俺がオルト・バーレイだと知っていて、ごくごく平然と女子寮の階段で別れたソニアは、俺が男だろうと何だろうと気にしないタチなのか?
普通の貴族の令嬢なら騒ぎそうなのだが、自分の正体をバラされるのも困るからか?
あまりにも自然だったので、こちらの方が気が引ける。。。
ま、部屋が別々なのだから、気にしない人間はまったく気にしないだろう。
冒険者だと宿で男女同室や同じテントで泊まっている者たちもほどほどにいる。
男女二人を同じ部屋に入れるだけで間違いが起こると思っている人間ほど、頭のなかは発情期なのかもしれない。
貴族は万が一にも間違いが起こってはいけないから仕方ないが。
特に令嬢には。
学内交流会の一日目は特に予定もない。
お金もないので、劇や展示等の無料で公開しているところしか行けない。
二日目の午後に創作魔法発表会。ほどほどに発表する者がいる。
サイが発表しないので観客数は伸び悩むと思っていたが、オルレアファンクラブの三つの会が買い占めたそうな。
買い占めたという表現は正しくないか。
チケットは売買していないから。
会場は闘技場である。
本当はもう少し小さい会場で行う予定だったらしいのだが、マイア様とレオ様が観覧チケットを手に入れてしまったので王族席がある会場でなければならなくなったそうな。
いろいろと運営側も大変なんだな。
舞台の大きさは発表者も頭を悩ます部分だろう。
小さい会場なら派手に見えても、貴族学校の闘技場は収容人数も多いため、中央の舞台も広い。
大きな花火を打ち上げても、それなりに見える程度になってしまう。
空が開けている会場では舞台だけでなく、上空も含めて考えなければ空間が狭まる。
だが、考えもなくあっちこっちで散らばってしまえば、観客はどこを見ていいのかわからなくもなる。
派手さだけを追求するわけにもいかない。
午前中は魔法成果発表会だそうだ。
自分のできる魔法のお披露目会と言ってもいい。意外と参加者は多い。
こちらは派手さとかは関係なく、上級の魔法ほど評価されるのだが、闘技大会や他の発表会等に出る生徒は出ないので地味になる傾向があるのだそうな。
観客はほとんどが参加者の関係者らしい。
三日目は例年闘技場で闘技大会だけが催されるのだが、今年は本選しか行われないので午後からである。午前中は急遽催し物を加えたそうである。
ホント運営側が大変だ。
王族のせいで。
「オルレア様、お手紙が届いております」
部屋に戻ると、セイラから報告があった。
「へえ?誰から」
「すべて女子生徒からのものです」
「、、、どういった内容の?」
「おそらく創作魔法発表会と闘技大会の激励、後はお時間があれば一緒にまわりませんかというお誘いなのではないでしょうか?」
「バーレイ侯爵家が断って失礼のある令嬢からは来ている?」
「そのような家からはまだ来ておりませんが」
まだ?
当日のお誘いか?
「が?」
「マーガレット・モルト公爵令嬢が手紙を書いては千切って捨て、また書いては、という奇行を繰り返しているということを公爵家の侍女から教えていただきました」
「、、、それを聞いて俺にどうしろと?」
「オルレア様なら王子様らしく先手を打つのではと」
「誘いがなければ、放置」
俺、オルレアじゃないもーん。ただの身代わりだもーん。
それまでやれない。
さすがに公爵家だと無下に断れない、誘われれば。
セイラも静かに頷いた。
そういや、サイやシンやスレイはどうするのだろう。
クラスメイトとまわるのかな?
俺、一日目は何もないから暇だなー。
何もすることないなー。
金もないしなー。
見るものも特にないしなー。
暇だなー。
なー。
なー。
、、、と思っていた時間がありました。
「オルー、やっと捕まえたー」
人懐こい笑顔で、俺の腕を捕まえている、ガッチリと。
コイツ、身長伸びたな。
俺より目線が高くなった。ほんのちょっとだけどっ。
くそっ、十二歳のクセにっ。
成長期かっ、成長期だよっ。
俺はあまり伸びないのにっ。
学内交流会、初日。
学内交流会という文字通りの生徒だけではなく、親族、卒業生、業者等のかなりの部外者が大勢来ているため、学内はかなりの人混みになった。貴族学校だから、それなりの関係者しか入場できないはずなのだが、それでも多い。
だから、人混みのなかだったため気づくのが遅れた。
コイツに先に気づかれたら終わりなのだ。
なぜか足は俺の方が速いはずなのに捕まる。本当になぜだ?疑問しかない。
「カーツ、お前、一緒にまわる友人とかいないのか」
「いたって、オル優先だよー。アイツらはいつだって会えるしー」
ニコニコ笑いながら毒吐くな、お前。
そのアイツらは、息を絶え絶えしながらお前に追いついたのに、その言葉を聞いて嘆き悲しんでいるぞ。
「あ、俺はオルとまわるから、またねー」
非情にもカーツはそのアイツらに手を振った。一緒にまわろうと約束していたんじゃないのか?
友人がいなくなるぞ。
「お前なあ、腕を離せ」
「離したら、オル逃げるじゃん」
ブー、とカーツは頬を膨らませている。
逃げるに決まっているだろうが。
何を当たり前のことを言っている。
「先約を優先しろ」
「いつだってオルが一番だよー。俺にとってオルがいない世界は闇だよ。オルは俺の唯一の光なんだから」
目が半目になっちゃう。
可愛いから格好良いに成長してきたのに、残念だ。
そういうセリフは女性に言え。
女性?
首を傾げる。
どうも周囲の視線が気になるなあ。生徒だけでなく。
あ、俺、今、オルレアに扮しているんだった。
男子の制服を着ていても、一応オルレアだった。
女性を口説くセリフをコイツは口から吐き出していた。
この状況は勘違いされるのか。
俺は声を一段低く落として言う。
「カーツ、俺と行動したいということは貢がせるぞ」
「えっ、喜んでっ」
えっ、喜んでっていう返事でいいの?
頭、大丈夫?
顔、だけじゃなく全身がものすごく嬉しそうなんだけど。子犬の尻尾がブンブン振られている気がする。
「じゃあ、広場で奢れ」
「あ、食べ物関係でいいのー?指輪とか贈っちゃうよー」
キラキラな目で何を言うんだろう、この子は。
「指輪はもう贈ってもらったから、大丈夫だ」
「は?」
カーツの表情が固まった。
ちなみにこの会話は小声で話している。
「え、えっと、誰に?」
「あ?バーレイ伯爵から聞いてないのか。俺、婚約したんだぞ」
父親から聞いていないのだろうか?
バーレイ侯爵は国に報告しているから、もうバーレイ伯爵にも伝わっているはずなのだが。
「え、、、オルレアが婚約したんじゃなく?」
「ああ、俺が」
と言って気づいた。
もしかして、バーレイ伯爵は息子に黙っていたのでは、と。
周囲に人が大勢いるのに、コイツは俺の腕をつかんだまま泣きそうになった。
涙がこぼれる前に、俺はコイツを担いでさっさとその場を後にした。
人がいない場所にて、コイツを落とす。
落としたところで腕をつかむ手は離さないが。
「心臓に悪い」
男装のオルレアが男子生徒を泣かせるより、男子生徒を担いだ方が絵にはなるだろう。
変な噂になるのは避けたい。
ん?担いだ方が変な噂になるのか?まあ、いいや。
「誰と婚約したの?サイ?シン?スレイ??それとも、」
おろおろとしながらも、カーツは俺の腕を決して離さない。
ある種の狂気すら感じるぞ。
いや、コイツはいつも狂気の域なのだけど。
「何でその三人なんだ?イーティ・ランサスだ」
「イーティって帝国の第一皇子だよね」
「もう皇子ではないが」
つい最近、正式に皇子ではなくなったが、皇族の一員ではある。
それでも、皇子とは名乗れないので、彼はイーティ・ランサスとして、ランサス姓だけを名乗るようになった。
「皇子でもないなら、俺と結婚しようよっ」
「いや、婚約したと言っただろう。そもそも、俺は昔から言っているが、お前と結婚する気はない」
俺が言うと、カーツは頬をぶくーっと膨らませた。
そういうところが、思い通りにならないから、ただ拗ねているだけの子供に見えるんだぞ。
誠実な結婚の申し込みにも、愛の告白にも聞こえないのは、困るくらいにカーツが幼い頃のままの言動だからだ。
ソニアとともにマイア様と王城で会った後、女子寮のオルレアの部屋に戻って来た。
俺がオルト・バーレイだと知っていて、ごくごく平然と女子寮の階段で別れたソニアは、俺が男だろうと何だろうと気にしないタチなのか?
普通の貴族の令嬢なら騒ぎそうなのだが、自分の正体をバラされるのも困るからか?
あまりにも自然だったので、こちらの方が気が引ける。。。
ま、部屋が別々なのだから、気にしない人間はまったく気にしないだろう。
冒険者だと宿で男女同室や同じテントで泊まっている者たちもほどほどにいる。
男女二人を同じ部屋に入れるだけで間違いが起こると思っている人間ほど、頭のなかは発情期なのかもしれない。
貴族は万が一にも間違いが起こってはいけないから仕方ないが。
特に令嬢には。
学内交流会の一日目は特に予定もない。
お金もないので、劇や展示等の無料で公開しているところしか行けない。
二日目の午後に創作魔法発表会。ほどほどに発表する者がいる。
サイが発表しないので観客数は伸び悩むと思っていたが、オルレアファンクラブの三つの会が買い占めたそうな。
買い占めたという表現は正しくないか。
チケットは売買していないから。
会場は闘技場である。
本当はもう少し小さい会場で行う予定だったらしいのだが、マイア様とレオ様が観覧チケットを手に入れてしまったので王族席がある会場でなければならなくなったそうな。
いろいろと運営側も大変なんだな。
舞台の大きさは発表者も頭を悩ます部分だろう。
小さい会場なら派手に見えても、貴族学校の闘技場は収容人数も多いため、中央の舞台も広い。
大きな花火を打ち上げても、それなりに見える程度になってしまう。
空が開けている会場では舞台だけでなく、上空も含めて考えなければ空間が狭まる。
だが、考えもなくあっちこっちで散らばってしまえば、観客はどこを見ていいのかわからなくもなる。
派手さだけを追求するわけにもいかない。
午前中は魔法成果発表会だそうだ。
自分のできる魔法のお披露目会と言ってもいい。意外と参加者は多い。
こちらは派手さとかは関係なく、上級の魔法ほど評価されるのだが、闘技大会や他の発表会等に出る生徒は出ないので地味になる傾向があるのだそうな。
観客はほとんどが参加者の関係者らしい。
三日目は例年闘技場で闘技大会だけが催されるのだが、今年は本選しか行われないので午後からである。午前中は急遽催し物を加えたそうである。
ホント運営側が大変だ。
王族のせいで。
「オルレア様、お手紙が届いております」
部屋に戻ると、セイラから報告があった。
「へえ?誰から」
「すべて女子生徒からのものです」
「、、、どういった内容の?」
「おそらく創作魔法発表会と闘技大会の激励、後はお時間があれば一緒にまわりませんかというお誘いなのではないでしょうか?」
「バーレイ侯爵家が断って失礼のある令嬢からは来ている?」
「そのような家からはまだ来ておりませんが」
まだ?
当日のお誘いか?
「が?」
「マーガレット・モルト公爵令嬢が手紙を書いては千切って捨て、また書いては、という奇行を繰り返しているということを公爵家の侍女から教えていただきました」
「、、、それを聞いて俺にどうしろと?」
「オルレア様なら王子様らしく先手を打つのではと」
「誘いがなければ、放置」
俺、オルレアじゃないもーん。ただの身代わりだもーん。
それまでやれない。
さすがに公爵家だと無下に断れない、誘われれば。
セイラも静かに頷いた。
そういや、サイやシンやスレイはどうするのだろう。
クラスメイトとまわるのかな?
俺、一日目は何もないから暇だなー。
何もすることないなー。
金もないしなー。
見るものも特にないしなー。
暇だなー。
なー。
なー。
、、、と思っていた時間がありました。
「オルー、やっと捕まえたー」
人懐こい笑顔で、俺の腕を捕まえている、ガッチリと。
コイツ、身長伸びたな。
俺より目線が高くなった。ほんのちょっとだけどっ。
くそっ、十二歳のクセにっ。
成長期かっ、成長期だよっ。
俺はあまり伸びないのにっ。
学内交流会、初日。
学内交流会という文字通りの生徒だけではなく、親族、卒業生、業者等のかなりの部外者が大勢来ているため、学内はかなりの人混みになった。貴族学校だから、それなりの関係者しか入場できないはずなのだが、それでも多い。
だから、人混みのなかだったため気づくのが遅れた。
コイツに先に気づかれたら終わりなのだ。
なぜか足は俺の方が速いはずなのに捕まる。本当になぜだ?疑問しかない。
「カーツ、お前、一緒にまわる友人とかいないのか」
「いたって、オル優先だよー。アイツらはいつだって会えるしー」
ニコニコ笑いながら毒吐くな、お前。
そのアイツらは、息を絶え絶えしながらお前に追いついたのに、その言葉を聞いて嘆き悲しんでいるぞ。
「あ、俺はオルとまわるから、またねー」
非情にもカーツはそのアイツらに手を振った。一緒にまわろうと約束していたんじゃないのか?
友人がいなくなるぞ。
「お前なあ、腕を離せ」
「離したら、オル逃げるじゃん」
ブー、とカーツは頬を膨らませている。
逃げるに決まっているだろうが。
何を当たり前のことを言っている。
「先約を優先しろ」
「いつだってオルが一番だよー。俺にとってオルがいない世界は闇だよ。オルは俺の唯一の光なんだから」
目が半目になっちゃう。
可愛いから格好良いに成長してきたのに、残念だ。
そういうセリフは女性に言え。
女性?
首を傾げる。
どうも周囲の視線が気になるなあ。生徒だけでなく。
あ、俺、今、オルレアに扮しているんだった。
男子の制服を着ていても、一応オルレアだった。
女性を口説くセリフをコイツは口から吐き出していた。
この状況は勘違いされるのか。
俺は声を一段低く落として言う。
「カーツ、俺と行動したいということは貢がせるぞ」
「えっ、喜んでっ」
えっ、喜んでっていう返事でいいの?
頭、大丈夫?
顔、だけじゃなく全身がものすごく嬉しそうなんだけど。子犬の尻尾がブンブン振られている気がする。
「じゃあ、広場で奢れ」
「あ、食べ物関係でいいのー?指輪とか贈っちゃうよー」
キラキラな目で何を言うんだろう、この子は。
「指輪はもう贈ってもらったから、大丈夫だ」
「は?」
カーツの表情が固まった。
ちなみにこの会話は小声で話している。
「え、えっと、誰に?」
「あ?バーレイ伯爵から聞いてないのか。俺、婚約したんだぞ」
父親から聞いていないのだろうか?
バーレイ侯爵は国に報告しているから、もうバーレイ伯爵にも伝わっているはずなのだが。
「え、、、オルレアが婚約したんじゃなく?」
「ああ、俺が」
と言って気づいた。
もしかして、バーレイ伯爵は息子に黙っていたのでは、と。
周囲に人が大勢いるのに、コイツは俺の腕をつかんだまま泣きそうになった。
涙がこぼれる前に、俺はコイツを担いでさっさとその場を後にした。
人がいない場所にて、コイツを落とす。
落としたところで腕をつかむ手は離さないが。
「心臓に悪い」
男装のオルレアが男子生徒を泣かせるより、男子生徒を担いだ方が絵にはなるだろう。
変な噂になるのは避けたい。
ん?担いだ方が変な噂になるのか?まあ、いいや。
「誰と婚約したの?サイ?シン?スレイ??それとも、」
おろおろとしながらも、カーツは俺の腕を決して離さない。
ある種の狂気すら感じるぞ。
いや、コイツはいつも狂気の域なのだけど。
「何でその三人なんだ?イーティ・ランサスだ」
「イーティって帝国の第一皇子だよね」
「もう皇子ではないが」
つい最近、正式に皇子ではなくなったが、皇族の一員ではある。
それでも、皇子とは名乗れないので、彼はイーティ・ランサスとして、ランサス姓だけを名乗るようになった。
「皇子でもないなら、俺と結婚しようよっ」
「いや、婚約したと言っただろう。そもそも、俺は昔から言っているが、お前と結婚する気はない」
俺が言うと、カーツは頬をぶくーっと膨らませた。
そういうところが、思い通りにならないから、ただ拗ねているだけの子供に見えるんだぞ。
誠実な結婚の申し込みにも、愛の告白にも聞こえないのは、困るくらいにカーツが幼い頃のままの言動だからだ。
3
お気に入りに追加
334
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。
小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~
朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」
普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。
史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。
その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。
外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。
いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。
領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。
彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。
やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。
無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。
(この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)
その男、有能につき……
大和撫子
BL
俺はその日最高に落ち込んでいた。このまま死んで異世界に転生。チート能力を手に入れて最高にリア充な人生を……なんてことが現実に起こる筈もなく。奇しくもその日は俺の二十歳の誕生日だった。初めて飲む酒はヤケ酒で。簡単に酒に呑まれちまった俺はフラフラと渋谷の繁華街を彷徨い歩いた。ふと気づいたら、全く知らない路地(?)に立っていたんだ。そうだな、辺りの建物や雰囲気でいったら……ビクトリア調時代風? て、まさかなぁ。俺、さっきいつもの道を歩いていた筈だよな? どこだよ、ここ。酔いつぶれて寝ちまったのか?
「君、どうかしたのかい?」
その時、背後にフルートみたいに澄んだ柔らかい声が響いた。突然、そう話しかけてくる声に振り向いた。そこにいたのは……。
黄金の髪、真珠の肌、ピンクサファイアの唇、そして光の加減によって深紅からロイヤルブルーに変化する瞳を持った、まるで全身が宝石で出来ているような超絶美形男子だった。えーと、確か電気の光と太陽光で色が変わって見える宝石、あったような……。後で聞いたら、そんな風に光によって赤から青に変化する宝石は『ベキリーブルーガーネット』と言うらしい。何でも、翠から赤に変化するアレキサンドライトよりも非常に希少な代物だそうだ。
彼は|Radius《ラディウス》~ラテン語で「光源」の意味を持つ、|Eternal《エターナル》王家の次男らしい。何だか分からない内に彼に気に入られた俺は、エターナル王家第二王子の専属侍従として仕える事になっちまったんだ! しかもゆくゆくは執事になって欲しいんだとか。
だけど彼は第二王子。専属についている秘書を始め護衛役や美容師、マッサージ師などなど。数多く王子と密に接する男たちは沢山いる。そんな訳で、まずは見習いから、と彼らの指導のもと、仕事を覚えていく訳だけど……。皆、王子の寵愛を独占しようと日々蹴落としあって熾烈な争いは日常茶飯事だった。そんな中、得体の知れない俺が王子直々で専属侍従にする、なんていうもんだから、そいつらから様々な嫌がらせを受けたりするようになっちまって。それは日増しにエスカレートしていく。
大丈夫か? こんな「ムササビの五能」な俺……果たしてこのまま皇子の寵愛を受け続ける事が出来るんだろうか?
更には、第一王子も登場。まるで第二王子に対抗するかのように俺を引き抜こうとしてみたり、波乱の予感しかしない。どうなる? 俺?!
オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?
乙女ゲームが俺のせいでバグだらけになった件について
はかまる
BL
異世界転生配属係の神様に間違えて何の関係もない乙女ゲームの悪役令状ポジションに転生させられた元男子高校生が、世界がバグだらけになった世界で頑張る話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる