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4章 貴方に捧げる我がまま
4-11 貴方に捧げる嫉妬
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「ああ、アニエス・グロスは私のところにも来たよ。弟は手を出しちゃったんだねえ」
何やっているんだ、アニエスは。
誰でも良いのか?
どれだけオルレアの結婚を邪魔したいんだ?
オルレアの婚約者となりそうな人物を片っ端から誘いに行くなんて。
ウィト王国の男性と他国でも良識のある男性なら、貴族の令嬢に手を出すことはない。
けれど、アルティ皇子はウィト王国の事情なんてお構いなしである。気をつけないと痛い目を見るのは女性側だ。
イーティは事務室にいた。
貌を覗かせたら少し席を外してくれ、学校の中庭に行って、二人でベンチに座る。
明日は公務やイー商会の方で動くので、学校での仕事は今日で最後だということだ。
「アルティ皇子殿下はアニエスを皇妃として迎える気はあるようだけど、」
「うーん、男爵家の令嬢って難しいところだよね。帝国と同盟を結ぶ国なら王女クラスでもないと、帝国でもそれ相応の待遇は用意しない。皇妃は実家が強くなければならないということは、実家からすべてのお金が出ているってことだからね。相当にお金を隠し持っているとかでなければ、この国の男爵家では太刀打ちできない」
皇妃とか王妃とかの身分の取り扱いはすべて国によって異なる。
庶民が考える王妃というのは国のお金で贅沢三昧できる、というもの。
実際のところ、この大陸の国でそれができるのはほぼ皆無。王妃がそんな贅沢していたら国が滅びる。ただし、庶民から見れば、贅沢三昧に見えても仕方ないところだろうが。
帝国は特に国ではなく、実家が王妃を支えている。
そこまでして実家が何を得るのかと言うと、相当な権力である。そのくらいの出費ははした金だと言えるような家でなければ帝国では皇妃になっても不幸が待っているだけだ。
すぐに他の皇妃に敗れてしまう。
あそこは女性の戦場である。気を抜いたら殺される。
後宮と呼ぶには開けた世界だ。ゆえに他の皇妃を蹴落とすのは総力戦である。
「学校の女性職員二人も皇妃に迎えると言ってるけど」
「その者たちは平民だから、帝国に入ったらまず殺されるな。皇妃扱いにするにしても現地妻あたりにしておけばなんとかなるかなあ。ここはウィト王国だから身の安全は保障されるが、帝国でなくとも他国に出たら最後だね」
「そういうことをアルティ皇子殿下はまったく考えていないようですね?」
「そりゃ、あの子は皇帝の気質そのものだからね。来る者は拒まず、気に入った者は落とし、去る者は殺す、それだけだ。女性の側の事情なんて一切かまわない」
「それだけ聞くと暴虐無人な暴君にしか聞こえないんですけど」
「けれど、そういう皇帝だから人を惹き付ける。無難な人間に民衆は何も期待しない。何かしてくれると思うからこそ、人はついて行く」
そういう考えもあるのか。
国によりけりだな。
「ウィト王国は安全第一だからな。王族も安全志向だから、国民を引っ張っていくって感じではないな」
「ハニーは浮気しないで私を待っててくれる?」
俺の長い髪を手に取り、イーティは口づけする。
俺の周囲のどこに浮気する相手がいるというのだろう。
そもそも、オルレアならともかく俺自身は誰からも相手にされていない。
「イーティの恋愛対象は女性だろ?皇帝にならずに俺を選んだら、帝国法でも配偶者は一人だけだぞ」
「えー、ハニーは婚約したのに私の想いを疑うの?」
目を細めた甘い笑みがエロい。
大人な雰囲気が漂いまくる。イーティは大人も大人なんだけどさっ。
倍も生きている人間に俺が敵うわけがない。
「確認、」
「確認?」
「俺は男だから豊満な胸も持たないし、柔らかい肌も尻も提供できない。それで、お前は俺で満足するのか?」
女性だから豊満な胸を持っているわけではないな。オルレアの方が俺より胸囲ないし。
オルレアに成りすましているからといって、魔法でオルレアのカラダになっているわけではない。
男のままだ。
アルティ皇子のような魔法の使い手ならば、その人にさえ化けられる。魔法は得手不得手が如実に出る。
バーレイ侯爵家の最強の剣と最強の盾は隠密行動や繊細な作業には向かない。
「ううっ、可愛いっ。本当にこのまま連れ帰りたい」
「それに全身傷だらけだし、滑らかな綺麗な肌ではないし」
顔や首は辛うじて傷はないが、訓練中についた多くの傷跡がカラダには無数に存在する。
「それで本当に私を誘惑してないの?」
イーティは俺の左手の手袋を外した。
手にも細かい傷跡が残っている。
綺麗とは一切無縁の手だ。
イーティは両手で握った。
「私はハニーだからこそ愛しく思うんだよ」
優しい声がものすごく嬉しい。
俺は生涯そんなこと言われることはないと思っていた。
誰からも愛されることはないと。
一人で生きていかなければならないと思っていた。
手から伝わる熱が嬉しい。
本当に俺でいいのなら。
「あ、、、あのイーティ、、、イーティにしたら安物だろうけど、俺が用意できるのは、今はこれが精一杯で」
「ハニー?」
「それでも、できれば持っていてくれたら嬉しい。指にはめなくてもいいから、、、」
最後は声が震えて小さくなってしまった。
俯いて顔も見れなくなってしまった。
イーティが身につけているのは服も小物も高級品だ。シンプルに見えながらも質が良く上品だ。金額は遠く及ばない。
当たり前だ。帝国の皇子なのだから。
お互いが制服だと気にならなかったが、こんなものを渡すなんてどうかしているとさえ思う。
俺が騎士学校の片手間に、冒険者で魔物討伐しても小遣い程度の稼ぎしかない。もう少し頑張っておけば良かった。
イーティにとってはオモチャ同然の品物だ。
それでも、魔法の盾を持っていってもらいたかった。
媒介となるものを渡したかった。
俺を忘れないでほしかった。
俺はなんとかイーティの掌に指輪を置いた。
細くシンプルで、宝石が小さく一つ埋め込まれているだけの指輪だ。
受け取ってもらえるだけで良かった。
「指輪をはめてくれないの?ハニー」
俯いた顔をイーティに覗かれた。
ああ、泣きそうだ。
「無理しなくても、、、こんなの指にしていたら、笑われる」
宝石貴金属を取り扱う商会の商会長がこんな指輪をしていたら。
「誰も笑わない。笑わせない。愛しい人からの指輪を笑う者なんて存在させない」
なんて優しい言葉をくれるのだろう。
イーティが差し出してきた手は左手。薬指をアピールしている。
そっとその指に指輪をはめる。
こんなことする機会もないと思っていた。
イーティはいろいろな角度から指輪を見ている。
もう少し俺に甲斐性があったら良かったなあ。。。
イーティは別に俺の稼ぎなんかどうでもいいくらい稼いでいるが、それでも贈り物は多少なりとも彼に見合った物をあげたかった。
バーレイ侯爵家には多くの宝飾品があるが、俺が自由にできる物は一つもない。それにあの家にある物は俺の物ではない。
「嬉しい。ハニーから指輪をもらえるなんて思ってもみなかったから」
「不向きな場所では外したり、手袋で隠したりして良いから、、、」
「えー、全人類に見せびらかすー。この愛の結晶をー」
たとえこの場だけの言葉であったとしても、喜びをかみしめる。
泣きそうなほど嬉しい。
「で、ハニー、この指輪の機能は?」
「俺の魔法の盾が埋め込まれている。攻撃する機能はないけど、防御の方は辺り一面が吹き飛んでも何とかなるよ。魔法の盾だから俺と通信することもできるし、他には、、、」
あれ?イーティがちょっと悲しげな顔になった。
もっと高性能な指輪にした方が良かったか?
いや、指輪が彼にとってお安い指輪だから、そっちの方かな。
「私が用意した指輪が霞むなあ」
イーティは私の左手を取って、指輪を薬指にはめてくれた。
こちらもシンプルな装飾の指輪だが、恐ろしいほどの金額なのはわかる。桁が全然違う。
「なっ、、、イーティ、、、これ、自分ではめていた方がいいんじゃ、、、」
「自分ではめたら意味ないもーん。ハニーの周囲にいる人たちに嫉妬しないように用意したんだけどねえ。もらってくれる?」
俺の左手をイーティは両手で包んでくれる。
ああ、温かい。
「ありがとう、イーティ。これはオルレアに取られないように死守する」
「、、、もし誰かに取られても、また贈るよ。大丈夫だから、自分の身を一番に考えてね」
あー、今の俺、かなり締まりのない顔になっているんだろうな。
嬉し過ぎて頬が緩み切っている。
「嬉しい。アルティ皇子殿下には魔法の盾を体内に埋め込んでいるけど、イーティにはせめて魔法の盾を身につけて欲しいと思って、、、用意して良かった。俺ももっと稼げるようになったら、今度こそマトモなものを贈りたい」
「え、埋め込んでる?その言葉、なーんか弟に嫉妬したんだけど。その話、詳細教えて」
おや、目が怖くなった。口元は笑っているのだけど。
ルイジィもアルティ皇子も言ってなかったのかな?
何やっているんだ、アニエスは。
誰でも良いのか?
どれだけオルレアの結婚を邪魔したいんだ?
オルレアの婚約者となりそうな人物を片っ端から誘いに行くなんて。
ウィト王国の男性と他国でも良識のある男性なら、貴族の令嬢に手を出すことはない。
けれど、アルティ皇子はウィト王国の事情なんてお構いなしである。気をつけないと痛い目を見るのは女性側だ。
イーティは事務室にいた。
貌を覗かせたら少し席を外してくれ、学校の中庭に行って、二人でベンチに座る。
明日は公務やイー商会の方で動くので、学校での仕事は今日で最後だということだ。
「アルティ皇子殿下はアニエスを皇妃として迎える気はあるようだけど、」
「うーん、男爵家の令嬢って難しいところだよね。帝国と同盟を結ぶ国なら王女クラスでもないと、帝国でもそれ相応の待遇は用意しない。皇妃は実家が強くなければならないということは、実家からすべてのお金が出ているってことだからね。相当にお金を隠し持っているとかでなければ、この国の男爵家では太刀打ちできない」
皇妃とか王妃とかの身分の取り扱いはすべて国によって異なる。
庶民が考える王妃というのは国のお金で贅沢三昧できる、というもの。
実際のところ、この大陸の国でそれができるのはほぼ皆無。王妃がそんな贅沢していたら国が滅びる。ただし、庶民から見れば、贅沢三昧に見えても仕方ないところだろうが。
帝国は特に国ではなく、実家が王妃を支えている。
そこまでして実家が何を得るのかと言うと、相当な権力である。そのくらいの出費ははした金だと言えるような家でなければ帝国では皇妃になっても不幸が待っているだけだ。
すぐに他の皇妃に敗れてしまう。
あそこは女性の戦場である。気を抜いたら殺される。
後宮と呼ぶには開けた世界だ。ゆえに他の皇妃を蹴落とすのは総力戦である。
「学校の女性職員二人も皇妃に迎えると言ってるけど」
「その者たちは平民だから、帝国に入ったらまず殺されるな。皇妃扱いにするにしても現地妻あたりにしておけばなんとかなるかなあ。ここはウィト王国だから身の安全は保障されるが、帝国でなくとも他国に出たら最後だね」
「そういうことをアルティ皇子殿下はまったく考えていないようですね?」
「そりゃ、あの子は皇帝の気質そのものだからね。来る者は拒まず、気に入った者は落とし、去る者は殺す、それだけだ。女性の側の事情なんて一切かまわない」
「それだけ聞くと暴虐無人な暴君にしか聞こえないんですけど」
「けれど、そういう皇帝だから人を惹き付ける。無難な人間に民衆は何も期待しない。何かしてくれると思うからこそ、人はついて行く」
そういう考えもあるのか。
国によりけりだな。
「ウィト王国は安全第一だからな。王族も安全志向だから、国民を引っ張っていくって感じではないな」
「ハニーは浮気しないで私を待っててくれる?」
俺の長い髪を手に取り、イーティは口づけする。
俺の周囲のどこに浮気する相手がいるというのだろう。
そもそも、オルレアならともかく俺自身は誰からも相手にされていない。
「イーティの恋愛対象は女性だろ?皇帝にならずに俺を選んだら、帝国法でも配偶者は一人だけだぞ」
「えー、ハニーは婚約したのに私の想いを疑うの?」
目を細めた甘い笑みがエロい。
大人な雰囲気が漂いまくる。イーティは大人も大人なんだけどさっ。
倍も生きている人間に俺が敵うわけがない。
「確認、」
「確認?」
「俺は男だから豊満な胸も持たないし、柔らかい肌も尻も提供できない。それで、お前は俺で満足するのか?」
女性だから豊満な胸を持っているわけではないな。オルレアの方が俺より胸囲ないし。
オルレアに成りすましているからといって、魔法でオルレアのカラダになっているわけではない。
男のままだ。
アルティ皇子のような魔法の使い手ならば、その人にさえ化けられる。魔法は得手不得手が如実に出る。
バーレイ侯爵家の最強の剣と最強の盾は隠密行動や繊細な作業には向かない。
「ううっ、可愛いっ。本当にこのまま連れ帰りたい」
「それに全身傷だらけだし、滑らかな綺麗な肌ではないし」
顔や首は辛うじて傷はないが、訓練中についた多くの傷跡がカラダには無数に存在する。
「それで本当に私を誘惑してないの?」
イーティは俺の左手の手袋を外した。
手にも細かい傷跡が残っている。
綺麗とは一切無縁の手だ。
イーティは両手で握った。
「私はハニーだからこそ愛しく思うんだよ」
優しい声がものすごく嬉しい。
俺は生涯そんなこと言われることはないと思っていた。
誰からも愛されることはないと。
一人で生きていかなければならないと思っていた。
手から伝わる熱が嬉しい。
本当に俺でいいのなら。
「あ、、、あのイーティ、、、イーティにしたら安物だろうけど、俺が用意できるのは、今はこれが精一杯で」
「ハニー?」
「それでも、できれば持っていてくれたら嬉しい。指にはめなくてもいいから、、、」
最後は声が震えて小さくなってしまった。
俯いて顔も見れなくなってしまった。
イーティが身につけているのは服も小物も高級品だ。シンプルに見えながらも質が良く上品だ。金額は遠く及ばない。
当たり前だ。帝国の皇子なのだから。
お互いが制服だと気にならなかったが、こんなものを渡すなんてどうかしているとさえ思う。
俺が騎士学校の片手間に、冒険者で魔物討伐しても小遣い程度の稼ぎしかない。もう少し頑張っておけば良かった。
イーティにとってはオモチャ同然の品物だ。
それでも、魔法の盾を持っていってもらいたかった。
媒介となるものを渡したかった。
俺を忘れないでほしかった。
俺はなんとかイーティの掌に指輪を置いた。
細くシンプルで、宝石が小さく一つ埋め込まれているだけの指輪だ。
受け取ってもらえるだけで良かった。
「指輪をはめてくれないの?ハニー」
俯いた顔をイーティに覗かれた。
ああ、泣きそうだ。
「無理しなくても、、、こんなの指にしていたら、笑われる」
宝石貴金属を取り扱う商会の商会長がこんな指輪をしていたら。
「誰も笑わない。笑わせない。愛しい人からの指輪を笑う者なんて存在させない」
なんて優しい言葉をくれるのだろう。
イーティが差し出してきた手は左手。薬指をアピールしている。
そっとその指に指輪をはめる。
こんなことする機会もないと思っていた。
イーティはいろいろな角度から指輪を見ている。
もう少し俺に甲斐性があったら良かったなあ。。。
イーティは別に俺の稼ぎなんかどうでもいいくらい稼いでいるが、それでも贈り物は多少なりとも彼に見合った物をあげたかった。
バーレイ侯爵家には多くの宝飾品があるが、俺が自由にできる物は一つもない。それにあの家にある物は俺の物ではない。
「嬉しい。ハニーから指輪をもらえるなんて思ってもみなかったから」
「不向きな場所では外したり、手袋で隠したりして良いから、、、」
「えー、全人類に見せびらかすー。この愛の結晶をー」
たとえこの場だけの言葉であったとしても、喜びをかみしめる。
泣きそうなほど嬉しい。
「で、ハニー、この指輪の機能は?」
「俺の魔法の盾が埋め込まれている。攻撃する機能はないけど、防御の方は辺り一面が吹き飛んでも何とかなるよ。魔法の盾だから俺と通信することもできるし、他には、、、」
あれ?イーティがちょっと悲しげな顔になった。
もっと高性能な指輪にした方が良かったか?
いや、指輪が彼にとってお安い指輪だから、そっちの方かな。
「私が用意した指輪が霞むなあ」
イーティは私の左手を取って、指輪を薬指にはめてくれた。
こちらもシンプルな装飾の指輪だが、恐ろしいほどの金額なのはわかる。桁が全然違う。
「なっ、、、イーティ、、、これ、自分ではめていた方がいいんじゃ、、、」
「自分ではめたら意味ないもーん。ハニーの周囲にいる人たちに嫉妬しないように用意したんだけどねえ。もらってくれる?」
俺の左手をイーティは両手で包んでくれる。
ああ、温かい。
「ありがとう、イーティ。これはオルレアに取られないように死守する」
「、、、もし誰かに取られても、また贈るよ。大丈夫だから、自分の身を一番に考えてね」
あー、今の俺、かなり締まりのない顔になっているんだろうな。
嬉し過ぎて頬が緩み切っている。
「嬉しい。アルティ皇子殿下には魔法の盾を体内に埋め込んでいるけど、イーティにはせめて魔法の盾を身につけて欲しいと思って、、、用意して良かった。俺ももっと稼げるようになったら、今度こそマトモなものを贈りたい」
「え、埋め込んでる?その言葉、なーんか弟に嫉妬したんだけど。その話、詳細教えて」
おや、目が怖くなった。口元は笑っているのだけど。
ルイジィもアルティ皇子も言ってなかったのかな?
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