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3章 妄想のなかの、理想の王子様
3-10 帝国の皇子7 ◆バロン視点◆
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◆バロン視点◆
「マズいんじゃないですか、隊長」
「何が?」
マイア様から解放されて、キュジオ隊長と二人で通常業務に戻る。
「、、、何がって大問題でしょーっ。最強の盾が帝国に連れて行かれたら」
ドガッとキュジオ隊長に頭を押さえられた。痛い。
「小さい声で話せ。それにあの皇子はオルを落としにかかっているから、連れて行かれるという表現は間違いだ」
「同じですよー。この国から最強の盾がいなくなったら、この国は終わりですよー」
「、、、最強の剣がいれば、バーレイ侯爵家は続いていくんじゃないか?」
なぜかわざとらしく白々しい感じで聞かれた。
この国は終わりと言ってしまったからか。
「、、、オルト・バーレイは歴代の最強の盾でも最強ですよ。それなのに、あんなに自己評価低いのもバーレイ侯爵のせいなんですか」
「オルは幼い頃からバーレイ侯爵に落ちこぼれ、役立たずと言われ続けて、兄のクリストが同じ年齢でできていたのにお前はできないと比べ続けられていたんだ。虐待と言えるほどの訓練を騎士学校に入るまで続けていた」
キュジオ隊長は平民でも幼い頃に剣と魔法の才能を買われ、最強の剣であるクリストとともにバーレイ侯爵家で訓練してきた。
本来、バーレイ侯爵の直系男子に行う訓練は他の者にはやらせない。
だが、ライバルがいた方が何かと張り合うだろうと、バーレイ侯爵が用意したのが平民のキュジオ隊長だった。
死んでも文句が言われない者として。
ゆえに、地獄を生き抜いたキュジオ隊長は、バーレイ侯爵家が大嫌いだ。
そして、その最強の剣とキュジオ隊長が味わった地獄の訓練を超えるものをオルト・バーレイは日々こなしていたそうだ。
何もかもおかしいのだ。
オルト・バーレイはまだ騎士学校を卒業していない。
最強の盾として、動いていないはずの年齢なのに。
それにもかかわらず、国を守る結界はすでにオルト・バーレイが担当している。
最強の盾として、現在動かなければならないのはバーレイ伯爵なのに。
兄のバーレイ侯爵に可愛がられているからこそ、何もかも許される。
王都で最強の盾の仕事もせずにぬくぬくと暮らしている。
本来なら最強の盾には許されない、妻帯し子供まで作って。
バーレイ伯爵家を継ぐのはオルト・バーレイであるはずなのに。
今もなおその地位を譲る気配はない。
バーレイ伯爵は自分の子供だけが可愛いのだろう。自分の子供に譲る気なのだ。
国の上層部はそのことに憂いているが、憂いているだけだ。
今なお何の手立ても打ててない。
バーレイ伯爵の幸せは、すべてオルト・バーレイを犠牲にして成り立っている。
「オルが自分の意志でこの国を出たいというのなら、止める権利はないだろ」
「っ、それは」
キュジオ隊長が言いたいことも理解できる。
オルト・バーレイに爵位も何も用意できないこの国に、止める権利があるかというと、ない。
騎士爵程度では彼の働きとしての報酬には到底足りない。
平穏に暮らしたい、というのはこの国ではバーレイ侯爵家の最強の剣と最強の盾がいるからだ。
バーレイ侯爵家を継ぐ最強の剣はともかく、次の最強の盾には与える領地がない。
彼に正当な報酬を支払えないのであれば、彼が国のために働くかどうかは彼の意志によるしかない。
騎士学校を卒業したら、彼がどんな職を選ぼうともどこに住もうと選択は自由である。報酬が支払えないのだから。
最強の剣、最強の盾がこの国に必要だということが、この国の上層部にはわかっていないのかと思えるほどの行為をし続けている。
なぜ国王はバーレイ侯爵をとめない?
なぜバーレイ侯爵は最強の盾に双子の姉の代わりなんかさせているのか理解ができない。
バーレイ侯爵もバーレイ伯爵もオルレアもやりたい放題ではないのか?
オルレアは幼い頃から我がまま姫として有名だった。
何でも人の物を欲しがる、思い通りにならないと癇癪を起こす等は有名な話だ。そして、オルレアの言う通りにしないとその家に制裁を下してしまう馬鹿な父親がいた。
きっと今回も何かオルレアが我がままを言い出したに違いない。
オルト・バーレイがいつも犠牲になる。
ものすごい不公平だと思う。
双子の姉は自由気ままに自分勝手に振舞えるのに、最強の盾だからといって寝る時間以外はすべて訓練に明け暮れる生活だったと聞いた。
騎士学校で彼を見たとき、愕然とした。
彼は貴族だ。侯爵家の令息だ。
本来なら傷一つないカラダであるべきだ。
しかも、オルト・バーレイ自身も治癒魔法を使えるのに。
彼が騎士学校での訓練中に半袖を着ていたのを見た。
そこから覗いていた両腕には、無数の傷跡が残っていた。
おそらく顔以外の全身にあるということは容易に推測できる。
オルレアに扮しているとき、彼は手袋を外さない。
男の手だから、剣を握っている手だから、というわけではないことを俺は知っている。
傷だらけだからだ。
オルレアではないことが一発でバレるからだ。
令嬢であるオルレア・バーレイには傷一つない。
あのバーレイ侯爵が溺愛する娘に傷を残させるわけがない。
「キュジオ隊長、最強の盾がこの国から去ったら、この国はどうなりますかね」
「、、、最強の盾がこの国から去る決心をつけたのなら、最強の剣だってこの国からいなくなる」
「え?何でですか?」
最強の剣はバーレイ侯爵を継ぐのに?
さっき、隊長は最強の剣がいれば、バーレイ侯爵家は続いていくと言っていなかったか?
「アイツは恐ろしいほどのブラコンだ。オルについて行くに決まっているだろ」
隊長の目がマジだ。
大声で叫ばなかった俺を褒めてもらいたい。
「え、じゃあ、、、」
「オルがこの国を捨てるなら、クリストも捨てる。今の状況だって甘んじて受け入れているわけじゃない。身の振り方は考えておいた方が良いぞ」
怪談話より怖い現実だった。
あの父親のせいで、この国は存亡の危機に立たされていたのか。
それを知っているのは僅かな者ばかり。
この国は最強の剣、最強の盾がいるから大丈夫。
昔から貴族も平民もこの国の者たちは当たり前のように言っている。
ならば、いなくなってしまえば。
「て、帝国に行っちゃうんですかね?」
「俺も護衛としてついて行こうかな」
あの二人、護衛なんていらない気がするが。
「ええーっ、隊長だけずるいっ。俺も誘ってくださいっ」
「お前は貴族だろ。平民の俺とは責任も何もかも重みが違うだろうが」
「そんなー。見捨てないでくださいよー」
「爵位を用意できないのなら、オルは成人したら自由の身だ。働きに見合った報酬をこの国が用意できないのなら、オルはよその国で条件のいい国を選ぶだろうよ」
最強の盾にはそれほどの価値がある。
どこの国だって欲しがる。
だって、ウィト王国が今なお存続しているのは、最強の剣と最強の盾がいるからだ。
どちらか一人だって欲しくてたまらない。
「ああ、まったくっ。クオ殿下はオルレアじゃなくオルトをしっかり口説くべきですよね。帝国の皇子の方がわかっているじゃないですかっ」
「その通りなんだが、アレがオルレアと思っているクオ王子にはどうしようもないだろ」
「何で、隊長は言わないんですかっ」
「、、、自分で気づかないのなら終わりじゃないか?」
ひゅっと息を飲んでしまった。
キュジオ隊長は王子に対してもキツイのである。王子だからといって敬う気持ちすらない。
だって、彼らは王族に対して何の恩も感じていないのだから。
「そ、それはさすがに可哀想なのでは?」
「どこがだ?オルだって、自分を見ない者には惚れないだろ」
「いやいや、隊長。クオ殿下がオルレアに興味持ったのは」
「それに、あの剣や魔法の腕前を見ているのにオルレアだと勘違いし続ける馬鹿共に、あのブラコンが結婚を許すわけがない」
複数形で言った、馬鹿共と。
「バ、バーレイ侯爵よりもクリスト様の方が弟を嫁にやらんと言っちゃう系ですか」
「オルを救えるほどの理想の王子様じゃないと許さないぞ、アイツ」
「げ」
それって該当する人物いるの?と思ってしまったが、今の時点でも一人いた。
オルト・バーレイを救える唯一の人物。クリスト・バーレイ、最強の剣、その人である。
けれど、それが意味するものは、やはりこの国の崩壊である。
「王子には頑張ってもらいたいな」
俺はボソッと呟いた。
妄想のなかにいる王子様は彼には必要ないのだが。
「マズいんじゃないですか、隊長」
「何が?」
マイア様から解放されて、キュジオ隊長と二人で通常業務に戻る。
「、、、何がって大問題でしょーっ。最強の盾が帝国に連れて行かれたら」
ドガッとキュジオ隊長に頭を押さえられた。痛い。
「小さい声で話せ。それにあの皇子はオルを落としにかかっているから、連れて行かれるという表現は間違いだ」
「同じですよー。この国から最強の盾がいなくなったら、この国は終わりですよー」
「、、、最強の剣がいれば、バーレイ侯爵家は続いていくんじゃないか?」
なぜかわざとらしく白々しい感じで聞かれた。
この国は終わりと言ってしまったからか。
「、、、オルト・バーレイは歴代の最強の盾でも最強ですよ。それなのに、あんなに自己評価低いのもバーレイ侯爵のせいなんですか」
「オルは幼い頃からバーレイ侯爵に落ちこぼれ、役立たずと言われ続けて、兄のクリストが同じ年齢でできていたのにお前はできないと比べ続けられていたんだ。虐待と言えるほどの訓練を騎士学校に入るまで続けていた」
キュジオ隊長は平民でも幼い頃に剣と魔法の才能を買われ、最強の剣であるクリストとともにバーレイ侯爵家で訓練してきた。
本来、バーレイ侯爵の直系男子に行う訓練は他の者にはやらせない。
だが、ライバルがいた方が何かと張り合うだろうと、バーレイ侯爵が用意したのが平民のキュジオ隊長だった。
死んでも文句が言われない者として。
ゆえに、地獄を生き抜いたキュジオ隊長は、バーレイ侯爵家が大嫌いだ。
そして、その最強の剣とキュジオ隊長が味わった地獄の訓練を超えるものをオルト・バーレイは日々こなしていたそうだ。
何もかもおかしいのだ。
オルト・バーレイはまだ騎士学校を卒業していない。
最強の盾として、動いていないはずの年齢なのに。
それにもかかわらず、国を守る結界はすでにオルト・バーレイが担当している。
最強の盾として、現在動かなければならないのはバーレイ伯爵なのに。
兄のバーレイ侯爵に可愛がられているからこそ、何もかも許される。
王都で最強の盾の仕事もせずにぬくぬくと暮らしている。
本来なら最強の盾には許されない、妻帯し子供まで作って。
バーレイ伯爵家を継ぐのはオルト・バーレイであるはずなのに。
今もなおその地位を譲る気配はない。
バーレイ伯爵は自分の子供だけが可愛いのだろう。自分の子供に譲る気なのだ。
国の上層部はそのことに憂いているが、憂いているだけだ。
今なお何の手立ても打ててない。
バーレイ伯爵の幸せは、すべてオルト・バーレイを犠牲にして成り立っている。
「オルが自分の意志でこの国を出たいというのなら、止める権利はないだろ」
「っ、それは」
キュジオ隊長が言いたいことも理解できる。
オルト・バーレイに爵位も何も用意できないこの国に、止める権利があるかというと、ない。
騎士爵程度では彼の働きとしての報酬には到底足りない。
平穏に暮らしたい、というのはこの国ではバーレイ侯爵家の最強の剣と最強の盾がいるからだ。
バーレイ侯爵家を継ぐ最強の剣はともかく、次の最強の盾には与える領地がない。
彼に正当な報酬を支払えないのであれば、彼が国のために働くかどうかは彼の意志によるしかない。
騎士学校を卒業したら、彼がどんな職を選ぼうともどこに住もうと選択は自由である。報酬が支払えないのだから。
最強の剣、最強の盾がこの国に必要だということが、この国の上層部にはわかっていないのかと思えるほどの行為をし続けている。
なぜ国王はバーレイ侯爵をとめない?
なぜバーレイ侯爵は最強の盾に双子の姉の代わりなんかさせているのか理解ができない。
バーレイ侯爵もバーレイ伯爵もオルレアもやりたい放題ではないのか?
オルレアは幼い頃から我がまま姫として有名だった。
何でも人の物を欲しがる、思い通りにならないと癇癪を起こす等は有名な話だ。そして、オルレアの言う通りにしないとその家に制裁を下してしまう馬鹿な父親がいた。
きっと今回も何かオルレアが我がままを言い出したに違いない。
オルト・バーレイがいつも犠牲になる。
ものすごい不公平だと思う。
双子の姉は自由気ままに自分勝手に振舞えるのに、最強の盾だからといって寝る時間以外はすべて訓練に明け暮れる生活だったと聞いた。
騎士学校で彼を見たとき、愕然とした。
彼は貴族だ。侯爵家の令息だ。
本来なら傷一つないカラダであるべきだ。
しかも、オルト・バーレイ自身も治癒魔法を使えるのに。
彼が騎士学校での訓練中に半袖を着ていたのを見た。
そこから覗いていた両腕には、無数の傷跡が残っていた。
おそらく顔以外の全身にあるということは容易に推測できる。
オルレアに扮しているとき、彼は手袋を外さない。
男の手だから、剣を握っている手だから、というわけではないことを俺は知っている。
傷だらけだからだ。
オルレアではないことが一発でバレるからだ。
令嬢であるオルレア・バーレイには傷一つない。
あのバーレイ侯爵が溺愛する娘に傷を残させるわけがない。
「キュジオ隊長、最強の盾がこの国から去ったら、この国はどうなりますかね」
「、、、最強の盾がこの国から去る決心をつけたのなら、最強の剣だってこの国からいなくなる」
「え?何でですか?」
最強の剣はバーレイ侯爵を継ぐのに?
さっき、隊長は最強の剣がいれば、バーレイ侯爵家は続いていくと言っていなかったか?
「アイツは恐ろしいほどのブラコンだ。オルについて行くに決まっているだろ」
隊長の目がマジだ。
大声で叫ばなかった俺を褒めてもらいたい。
「え、じゃあ、、、」
「オルがこの国を捨てるなら、クリストも捨てる。今の状況だって甘んじて受け入れているわけじゃない。身の振り方は考えておいた方が良いぞ」
怪談話より怖い現実だった。
あの父親のせいで、この国は存亡の危機に立たされていたのか。
それを知っているのは僅かな者ばかり。
この国は最強の剣、最強の盾がいるから大丈夫。
昔から貴族も平民もこの国の者たちは当たり前のように言っている。
ならば、いなくなってしまえば。
「て、帝国に行っちゃうんですかね?」
「俺も護衛としてついて行こうかな」
あの二人、護衛なんていらない気がするが。
「ええーっ、隊長だけずるいっ。俺も誘ってくださいっ」
「お前は貴族だろ。平民の俺とは責任も何もかも重みが違うだろうが」
「そんなー。見捨てないでくださいよー」
「爵位を用意できないのなら、オルは成人したら自由の身だ。働きに見合った報酬をこの国が用意できないのなら、オルはよその国で条件のいい国を選ぶだろうよ」
最強の盾にはそれほどの価値がある。
どこの国だって欲しがる。
だって、ウィト王国が今なお存続しているのは、最強の剣と最強の盾がいるからだ。
どちらか一人だって欲しくてたまらない。
「ああ、まったくっ。クオ殿下はオルレアじゃなくオルトをしっかり口説くべきですよね。帝国の皇子の方がわかっているじゃないですかっ」
「その通りなんだが、アレがオルレアと思っているクオ王子にはどうしようもないだろ」
「何で、隊長は言わないんですかっ」
「、、、自分で気づかないのなら終わりじゃないか?」
ひゅっと息を飲んでしまった。
キュジオ隊長は王子に対してもキツイのである。王子だからといって敬う気持ちすらない。
だって、彼らは王族に対して何の恩も感じていないのだから。
「そ、それはさすがに可哀想なのでは?」
「どこがだ?オルだって、自分を見ない者には惚れないだろ」
「いやいや、隊長。クオ殿下がオルレアに興味持ったのは」
「それに、あの剣や魔法の腕前を見ているのにオルレアだと勘違いし続ける馬鹿共に、あのブラコンが結婚を許すわけがない」
複数形で言った、馬鹿共と。
「バ、バーレイ侯爵よりもクリスト様の方が弟を嫁にやらんと言っちゃう系ですか」
「オルを救えるほどの理想の王子様じゃないと許さないぞ、アイツ」
「げ」
それって該当する人物いるの?と思ってしまったが、今の時点でも一人いた。
オルト・バーレイを救える唯一の人物。クリスト・バーレイ、最強の剣、その人である。
けれど、それが意味するものは、やはりこの国の崩壊である。
「王子には頑張ってもらいたいな」
俺はボソッと呟いた。
妄想のなかにいる王子様は彼には必要ないのだが。
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