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2章 令嬢たちは嫉妬する
2-13 花びら舞う王子様8 ◆クオ王子視点◆
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◆クオ王子視点◆
「何やっちゃってくれているんでしょうねー」
私の親衛隊隊長のキュジオが文句を言っている。
国王の親衛隊隊員がオルレアの装飾剣にケチをつけた。
晩餐会での入場時、隊員の一人がオルレアに装飾剣を置いていくように指示を出した。
そもそも、オルレアの格好も装備も叔母上が用意したものだ。
王妹である叔母上はすでに父にも話はつけていた。にもかかわらず。
扉の前に王族が集合したため、国王である父がその場を収めたのだが。
報告を受けて青ざめたのは国王の親衛隊の副隊長である。あの隊長はそのぐらいでは何も動じない。
直接オルレアをとめた隊員に降格処分を親衛隊が決定した。
この短時間で素早いとも思うが、あの隊員の行動は王妹を軽んじた行動に他ならない。
ここは私の控室。
別室でソニアは叔母上の侍女たちに囲まれて化粧直しをされている。
今、この場にはキュジオと彼が信頼する部下しかいない。
「どこの親衛隊隊長もあの場にいなかったからって、ひどすぎません?真剣ではなく装飾剣は会場持参が認められている物のはずですがー?」
貴族の男性でも身につける者は少なくなったが、今回の会場にも装飾剣を携えてくる者は数名ほどいた。
だが、とめられたのはオルレアただ一人。
理由は単純。
女性だからだ。
報告書も反省文もすでに上がっている。
まさかだと思うが、最初から予定されていた劇なのではないかと思えるくらいだ。
準備された悪意だとしたら、降格処分くらいでは温すぎか。
とは私も思っているんだよ。
「キュジオ、なんかイラついてない?」
私を見たキュジオの目が怖い。
王子に向ける目ではない。が、キュジオは元々王子を王子と思っていない。
「イラつきもしますよ。どこの親衛隊も騎士団も横の連携が全く取れていない。これならうちの隊の一部の隊員だけで動いた方がまだマシだ」
「不可能なことを言うもんじゃない。王城だけでなく王都全体を守るのは数人では無理だ」
「クリストやオルトなら一人でも充分お釣りが来ますよ」
あの二人は別格だ。
「たかが晩餐会の警備で、最強の剣と最強の盾を呼べるわけがないだろう」
「前最強の剣のバーレイ侯爵と、現最強の盾のバーレイ伯爵を呼べば良かったんですよ。あの二人なら王都にいるし、あの二人でもなんとかなります」
「、、、ものすごい言い草だな。バーレイ侯爵家をそんな風に言える人間を始めて見た」
「裏で貴族の皆さんはもっとひどいこと言っているじゃないですか。自分は何もせずに国を守ってもらっているにもかかわらず。まあ、俺は、あの二人を尊敬なんか全然してないもので」
うん、やっぱりすごいことを言っている。
キュジオは平民ながら才能を見出され、バーレイ侯爵家で最強の剣クリストとともに修行した。
通常ならばバーレイ侯爵家に恩を感じるところなのだが、恨みや憎しみの方が勝っているらしい。
オルトは双子のオルレアと同じ年齢の十四歳。十五歳で成人なので、来年騎士学校を卒業したらバーレイ伯爵から最強の盾を引き継ぐ予定だ。
バーレイ侯爵の実の弟がバーレイ伯爵である。
「それに、なぜオルがいるのに、あのクソ親父はこの王城に来ないんだ」
憎しみを込めた目で、怒りの声でキュジオは言った。
バーレイ侯爵の最愛の娘への溺愛ぶりはひどい。
オルレアへの愛情は恐ろしいほどであると聞く。
オルレアがお茶会等で王城に来るときは、母親だけでも良いのに関わらず、父親のバーレイ侯爵ももれなくついてくると評判だった。
私には関係なかったことだから忘れていたが。
「そういえば、珍しいな。オルレアが王城にいるのに、何でバーレイ侯爵は今回来ないんだ?」
オルレアが王城に保護されているのに一度も来ていない。
この晩餐会にでさえ、オルレアがいるのなら招待状がなくとも勝手にやって来てもいいくらいの人間だ。
バーレイ侯爵だけでなく親族すら一人も来ないのはおかしいのではないか?確かに国防に忙しい一族とはいえ、バーレイ侯爵夫妻のどちらかが様子を見に来てもいいのではないか?
招待状は送ったが、バーレイ侯爵家からは不参加の返事がされている。
キュジオが私を見てから、深い深いため息を吐いた。
「あー、そうでしたね。はいはい、仕事に戻ります」
完全に私の言葉の何かが、キュジオを呆れさせ、怒りを放棄させた。
キュジオたちがいなくなると、ソニアたちが戻って来た。
叔母上に良いように玩具にされてない?
喜びながら侍女たちが叔母上の元に戻っていくと同時に、私が王城にいるときに護衛としてそばにいる親衛隊隊員たちが入室した。
同じ親衛隊ですら、一枚岩ではない。
隊長自身が隊員の彼らの資質を疑っている。信頼関係などどこかに置き忘れてきている。
「ソニアはオルト・バーレイを知っているか?」
「次の最強の盾ですよね。オルレア様の双子の弟の」
それが何か?という顔でソニアは私を見ている。
ふとした好奇心だった。
「会ったことはあるか?」
「いいえ。オルト様は騎士学校に通っていらっしゃると聞いておりますから」
そう、王子の私が同学年にいるために、オルトはこの貴族学校に通うことができなかった。
王族とバーレイ侯爵家の癒着を防ぐために、というくだらない他の貴族の戯言のせいで。
オルト・バーレイは騎士学校で何もかも一番の成績でその学年の首席である。
本当に人間かと思えるほど、学業でも魔法でも剣でも体術でも何もかも秀でていると聞いているし、その成績も学校から国へと報告されている。
同じ学校に通っていたら、その才能に嫉妬していただろうか。
「オルレアと双子なのだから、顔は似ている。オルレアを慕う女子生徒のなかで、オルト・バーレイを好んでいる者はいないのか?」
「クオ殿下、言いたいことはなんとなくわかりますが、私はオルト様とはお会いしたこともありませんし、そういうお話を聞いたこともございません」
顔が同じなら、男性の方が良いのではないか?
憧れる相手、最終的には結婚する相手とするならば、ということである。
「それに、オルト様は微妙な位置にいらっしゃいます」
私は目を細める。
そう、彼には簡単に結婚を申し込めない。
彼自身というよりは、バーレイ侯爵家に。
彼の問題ではなく、バーレイ侯爵家に問題がある。
貴族ならば、周知の事実だ。
「できることならば、オルレア様は彼に対して心を痛まれず、穏やかな人生を送ってもらいたいものです」
「、、、」
お前は何目線で話しているんだ??
オルト・バーレイはバーレイ侯爵家の次男で、次期最強の盾である。
しかし、彼には用意されているはずの爵位がない。
このウィト王国は小国だ。昔は多少の領地も余っていたが、現在はどこにも残っていない。親族ですら奪い合う世知辛い世の中になってしまった。
バーレイ侯爵家は最強の剣、最強の盾を産み出す家である。この国を守るためにいなくてはならない一族である。
長男だけが次の最強の剣と最強の盾の男児を成すことができる。
バーレイ伯爵というのは、本来は最強の盾に用意されている爵位である。
つまり、バーレイ伯爵は次代の最強の盾に譲られるべき爵位であるため、代々のバーレイ伯爵は結婚もしなければ子を成すことも許されていなかった。
けれど、現バーレイ侯爵が弟のバーレイ伯爵に結婚を許してしまい、子まで儲けてしまったのである。
現バーレイ伯爵はオルトに爵位を譲らないだろうともっぱらの噂だ。自分の子供を跳ね除けて譲れるくらいなら誰も苦労はしない。
だからこそ、バーレイ伯爵というのは孤独であることを誰よりも強要される。
国に対しての忠臣ということならば、代々のバーレイ侯爵よりも代々のバーレイ伯爵の方が軍配が上がるだろう。
最強の盾の方が犠牲にするものが多すぎる。
にもかかわらず、最強の盾に爵位がないというのは、この国で許されることではない。
かなりの議論が交わされたにもかかわらず、いまだにこの議論には結論が出ていない。
オルト・バーレイが学校を卒業するまでに解決したい問題なのだが。
実は最強の盾を婿にしたい貴族の家は山ほど存在する。
そして、子供がいない貴族の家は養子縁組を望む声もある。
この二つの解決案のどちらかが通れば、わりと簡単な話だった。
そうすれば、今すぐではないが、彼に爵位を用意できることになる。
だが、バーレイ侯爵家が婿として出すことも、養子縁組も拒んだ。
当たり前だ。
最強の盾がバーレイ侯爵家の者ではなくなるのだから。
すべてはバーレイ侯爵の弟可愛さの甘い判断のせいなのに、その犠牲を子のオルト・バーレイに強いる。
大人たちはあまりにも身勝手だ。
自分の子供なら、何をしても許されると思っているのか。
私は彼を知らないからこそ、彼に同情する。
そして、彼がこの国の最強の盾として居続けていてくれるのか危惧する。
私だったら、ここまでされたらこの国にいないと考えるから。
そこまでされて、守るほどの家族や国かと思えてしまうから。
「何やっちゃってくれているんでしょうねー」
私の親衛隊隊長のキュジオが文句を言っている。
国王の親衛隊隊員がオルレアの装飾剣にケチをつけた。
晩餐会での入場時、隊員の一人がオルレアに装飾剣を置いていくように指示を出した。
そもそも、オルレアの格好も装備も叔母上が用意したものだ。
王妹である叔母上はすでに父にも話はつけていた。にもかかわらず。
扉の前に王族が集合したため、国王である父がその場を収めたのだが。
報告を受けて青ざめたのは国王の親衛隊の副隊長である。あの隊長はそのぐらいでは何も動じない。
直接オルレアをとめた隊員に降格処分を親衛隊が決定した。
この短時間で素早いとも思うが、あの隊員の行動は王妹を軽んじた行動に他ならない。
ここは私の控室。
別室でソニアは叔母上の侍女たちに囲まれて化粧直しをされている。
今、この場にはキュジオと彼が信頼する部下しかいない。
「どこの親衛隊隊長もあの場にいなかったからって、ひどすぎません?真剣ではなく装飾剣は会場持参が認められている物のはずですがー?」
貴族の男性でも身につける者は少なくなったが、今回の会場にも装飾剣を携えてくる者は数名ほどいた。
だが、とめられたのはオルレアただ一人。
理由は単純。
女性だからだ。
報告書も反省文もすでに上がっている。
まさかだと思うが、最初から予定されていた劇なのではないかと思えるくらいだ。
準備された悪意だとしたら、降格処分くらいでは温すぎか。
とは私も思っているんだよ。
「キュジオ、なんかイラついてない?」
私を見たキュジオの目が怖い。
王子に向ける目ではない。が、キュジオは元々王子を王子と思っていない。
「イラつきもしますよ。どこの親衛隊も騎士団も横の連携が全く取れていない。これならうちの隊の一部の隊員だけで動いた方がまだマシだ」
「不可能なことを言うもんじゃない。王城だけでなく王都全体を守るのは数人では無理だ」
「クリストやオルトなら一人でも充分お釣りが来ますよ」
あの二人は別格だ。
「たかが晩餐会の警備で、最強の剣と最強の盾を呼べるわけがないだろう」
「前最強の剣のバーレイ侯爵と、現最強の盾のバーレイ伯爵を呼べば良かったんですよ。あの二人なら王都にいるし、あの二人でもなんとかなります」
「、、、ものすごい言い草だな。バーレイ侯爵家をそんな風に言える人間を始めて見た」
「裏で貴族の皆さんはもっとひどいこと言っているじゃないですか。自分は何もせずに国を守ってもらっているにもかかわらず。まあ、俺は、あの二人を尊敬なんか全然してないもので」
うん、やっぱりすごいことを言っている。
キュジオは平民ながら才能を見出され、バーレイ侯爵家で最強の剣クリストとともに修行した。
通常ならばバーレイ侯爵家に恩を感じるところなのだが、恨みや憎しみの方が勝っているらしい。
オルトは双子のオルレアと同じ年齢の十四歳。十五歳で成人なので、来年騎士学校を卒業したらバーレイ伯爵から最強の盾を引き継ぐ予定だ。
バーレイ侯爵の実の弟がバーレイ伯爵である。
「それに、なぜオルがいるのに、あのクソ親父はこの王城に来ないんだ」
憎しみを込めた目で、怒りの声でキュジオは言った。
バーレイ侯爵の最愛の娘への溺愛ぶりはひどい。
オルレアへの愛情は恐ろしいほどであると聞く。
オルレアがお茶会等で王城に来るときは、母親だけでも良いのに関わらず、父親のバーレイ侯爵ももれなくついてくると評判だった。
私には関係なかったことだから忘れていたが。
「そういえば、珍しいな。オルレアが王城にいるのに、何でバーレイ侯爵は今回来ないんだ?」
オルレアが王城に保護されているのに一度も来ていない。
この晩餐会にでさえ、オルレアがいるのなら招待状がなくとも勝手にやって来てもいいくらいの人間だ。
バーレイ侯爵だけでなく親族すら一人も来ないのはおかしいのではないか?確かに国防に忙しい一族とはいえ、バーレイ侯爵夫妻のどちらかが様子を見に来てもいいのではないか?
招待状は送ったが、バーレイ侯爵家からは不参加の返事がされている。
キュジオが私を見てから、深い深いため息を吐いた。
「あー、そうでしたね。はいはい、仕事に戻ります」
完全に私の言葉の何かが、キュジオを呆れさせ、怒りを放棄させた。
キュジオたちがいなくなると、ソニアたちが戻って来た。
叔母上に良いように玩具にされてない?
喜びながら侍女たちが叔母上の元に戻っていくと同時に、私が王城にいるときに護衛としてそばにいる親衛隊隊員たちが入室した。
同じ親衛隊ですら、一枚岩ではない。
隊長自身が隊員の彼らの資質を疑っている。信頼関係などどこかに置き忘れてきている。
「ソニアはオルト・バーレイを知っているか?」
「次の最強の盾ですよね。オルレア様の双子の弟の」
それが何か?という顔でソニアは私を見ている。
ふとした好奇心だった。
「会ったことはあるか?」
「いいえ。オルト様は騎士学校に通っていらっしゃると聞いておりますから」
そう、王子の私が同学年にいるために、オルトはこの貴族学校に通うことができなかった。
王族とバーレイ侯爵家の癒着を防ぐために、というくだらない他の貴族の戯言のせいで。
オルト・バーレイは騎士学校で何もかも一番の成績でその学年の首席である。
本当に人間かと思えるほど、学業でも魔法でも剣でも体術でも何もかも秀でていると聞いているし、その成績も学校から国へと報告されている。
同じ学校に通っていたら、その才能に嫉妬していただろうか。
「オルレアと双子なのだから、顔は似ている。オルレアを慕う女子生徒のなかで、オルト・バーレイを好んでいる者はいないのか?」
「クオ殿下、言いたいことはなんとなくわかりますが、私はオルト様とはお会いしたこともありませんし、そういうお話を聞いたこともございません」
顔が同じなら、男性の方が良いのではないか?
憧れる相手、最終的には結婚する相手とするならば、ということである。
「それに、オルト様は微妙な位置にいらっしゃいます」
私は目を細める。
そう、彼には簡単に結婚を申し込めない。
彼自身というよりは、バーレイ侯爵家に。
彼の問題ではなく、バーレイ侯爵家に問題がある。
貴族ならば、周知の事実だ。
「できることならば、オルレア様は彼に対して心を痛まれず、穏やかな人生を送ってもらいたいものです」
「、、、」
お前は何目線で話しているんだ??
オルト・バーレイはバーレイ侯爵家の次男で、次期最強の盾である。
しかし、彼には用意されているはずの爵位がない。
このウィト王国は小国だ。昔は多少の領地も余っていたが、現在はどこにも残っていない。親族ですら奪い合う世知辛い世の中になってしまった。
バーレイ侯爵家は最強の剣、最強の盾を産み出す家である。この国を守るためにいなくてはならない一族である。
長男だけが次の最強の剣と最強の盾の男児を成すことができる。
バーレイ伯爵というのは、本来は最強の盾に用意されている爵位である。
つまり、バーレイ伯爵は次代の最強の盾に譲られるべき爵位であるため、代々のバーレイ伯爵は結婚もしなければ子を成すことも許されていなかった。
けれど、現バーレイ侯爵が弟のバーレイ伯爵に結婚を許してしまい、子まで儲けてしまったのである。
現バーレイ伯爵はオルトに爵位を譲らないだろうともっぱらの噂だ。自分の子供を跳ね除けて譲れるくらいなら誰も苦労はしない。
だからこそ、バーレイ伯爵というのは孤独であることを誰よりも強要される。
国に対しての忠臣ということならば、代々のバーレイ侯爵よりも代々のバーレイ伯爵の方が軍配が上がるだろう。
最強の盾の方が犠牲にするものが多すぎる。
にもかかわらず、最強の盾に爵位がないというのは、この国で許されることではない。
かなりの議論が交わされたにもかかわらず、いまだにこの議論には結論が出ていない。
オルト・バーレイが学校を卒業するまでに解決したい問題なのだが。
実は最強の盾を婿にしたい貴族の家は山ほど存在する。
そして、子供がいない貴族の家は養子縁組を望む声もある。
この二つの解決案のどちらかが通れば、わりと簡単な話だった。
そうすれば、今すぐではないが、彼に爵位を用意できることになる。
だが、バーレイ侯爵家が婿として出すことも、養子縁組も拒んだ。
当たり前だ。
最強の盾がバーレイ侯爵家の者ではなくなるのだから。
すべてはバーレイ侯爵の弟可愛さの甘い判断のせいなのに、その犠牲を子のオルト・バーレイに強いる。
大人たちはあまりにも身勝手だ。
自分の子供なら、何をしても許されると思っているのか。
私は彼を知らないからこそ、彼に同情する。
そして、彼がこの国の最強の盾として居続けていてくれるのか危惧する。
私だったら、ここまでされたらこの国にいないと考えるから。
そこまでされて、守るほどの家族や国かと思えてしまうから。
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